RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第一編第三章 蔓延る悪意

犯罪シンジケートの足跡

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「サバネさんは、此の儘例の犯罪シンジケート、ワグラターナを追うのか?」


「ええ、記者としてココまで来たら突き止めないと。真実をね」



腕が鳴るという様子のサバネを見て
ロード達は顔を見合わせて何かを
示し合わせた様にサバネに向き直る。



「サバネさん。少し俺等にも手伝わせてくれねぇか?」


「え?それはまた、どうしてです?」


「サバネさん。ロードはね、関係無い所に首を突っ込むのが得意なの」


「私達もロードが首を突っ込んだからこそ、出逢えたのさ。さっきも言ったが気掛かりは放っておけないタチらしい」



どこか呆れた様に、どこか嬉しそうに
サバネが息を吐いて笑みを浮かべる。



「ありがとう。少し足を使って情報を集めなくちゃいけなくてですね、お言葉に甘えさせて貰うとします」


「そうと決まったらさっそく行こうぜ!麻薬なんて簡単に振り撒かれてたまるかってんだ」



一行は記者のサバネが追う麻薬“SD6”と
其の背後に隠れる“ワグラターナ”の存在。

何か情報を手にしようと、四人は別れて
リューグウの町で聞き込みを始めた。

時折、集まっては交わす会話はどれも
「知らない」「話せない」ばかりで
ワグラターナは町民に圧力と、恐怖を
与えている事だけは、町民の表情を
見れば簡単に解る事だった。

周りが夕陽に包まれて、気温が段々と
下がって行く頃に、四人は困った表情で
固まって話して居た。



「んー…困ったな」


「ああ。表情を見れば此の町に根付いて居る事は解りきっているのに」


「みんな怖がっているのが見え見えなんだよね…話したくても話せないみたいな」


「ええ。いや、弱りましたね。少し踏み込めれば情報が手に入りそうなのに」



往来を避ける様に角で集まっていた四人の
声に何やら反応した女性が近寄って来る。

継ぎ接ぎのある紫の着物にかんざしを差した
女性に気付いて皆が目を向ける。



「あ、あの…」


「はい、何か御用でしょうか?」



其の女性の接近にいち早く気付き距離を
詰めたのはシャーレだった。

勢い良く近付いて来たシャーレに
怯えた様に後退りする着物の女性。



「な、なにいきなり距離詰めてんの?このスケベ…」


「いや。だって綺麗な女性なんですもの」


「未境無しかッ!!」



呆れた様にポアラにしばかれているシャーレ
を一瞥すると着物の女性にロードが寄る。



「何か用か?」


「あ、あの。此処では話しにくいので此方へお越しください…」



多少、不審に思いながらもロード達は
着物の女性を追ってとある飯処の暖簾を
潜って中へと入る。

開店前な様で、椅子が机に逆様に
乗せられて居る店内を眺める四人に
振り返り着物の女性が口を開く。



「御足労願って済みません。私はマオ、皆さんの探しているワグラターナの居所に覚えがあります…!」
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