RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第一篇第一章 旅路の出逢い

身も凍る重圧

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「やっと来やがった。此処まで来たんだ、今更イモ引いて怖気付くなよ?小僧共ォ」


後ろの扉を開けて現れた2メートルに
届こうかという筋骨隆々の大男は蓄えた
白髭を揺らすように口角を上げる。

二人の目の前に緩り緩りと歩を進めた
大男を前に二人の額から大粒の汗が
滴り落ちるが拭う事も目を逸らす事も
出来ずに居た。

巨大な斧を軽々と片手で担いだ大男は
見下ろすように二人を眺める。


「何だ、コイツは…さっき迄とは格が違ェ」


やっとの思いで口を開いたロードの言葉に
シャーレが振り絞る様に続ける。


「流石に…知っている。だが、何故こんな所に…?」


「誰なんだ、コイツは…?」


「此の国の裏社会で二大極道と呼ばれていた牛鬼組の組長にして…現在は“護国師団反乱軍”の幹部に名を連ねる男…」


「反乱軍…?」


「護国師団反乱軍幹部猛牛もうぎゅうアドラス・ホーキンス…!」


猛牛と異名を取るその男の重圧か、殺気か
みしみしと床が音を立てるその空間の中で
二人は膝を付いて動けずにいた。


「あァ?…ああ、そうか。血気盛んと言えど此れ・・の前じゃあ身動き取れねぇか。ええじゃろ…」


何かから解き放たれた様に、二人の身体が
軽くなり音を立てていた床が鎮まる。


「ん?何だったんだ、気圧されたのか?さっきまで全く動ける気がしなかった…」


「ああ、私もだ…」


二人は理由を考える余裕も無く目の前の
アドラスに向けて、武器を構え震えていた
身体を何とか抑え込む。


「きっちりエモノ持って離すな。ちっとでも気を抜けゃあポックリあの世行きやど。オラ、イモ引いてねぇでまとめて掛かって来ォいッ!!!!」


咆哮の様な叫び声に圧されながらも
二人は床を蹴って、アドラスの懐へと
飛び掛かり、刀を向ける。

しかし、担がれていた斧を軽々と
振り回して二人を背後へと吹き飛ばす。


「ニャロウ…」


「まだまだ」


何とか体勢を立て直した二人は、壁を蹴り
アドラスの元へと走り出す。

殺気を帯びたアドラスの笑みが溢れる中
シャーレは、踏み込んだ所をアドラスの
拳で払われ床に飛ばされる。

床に減り込む程の衝撃に全身が悲鳴を
上げるシャーレを救おうと空中から
ロードが斬り掛かるが、斧で薙ぎ払われる。

何とか刀で防御しても、その勢いは
止める事は叶わなかった。

床に臥したシャーレを足で踏み付けにした
アドラスは詰まらないと言った表情で
呆れて見せる。


「チッ…殴り込みなんざ久方振りでのう。今は足を洗った身じゃが血が湧いてしょうがなかったんじゃ。じゃがまるで赤子。儂の元子分共を襲った落とし前、どう付ける!?小僧共ォ!!」


「流石、大親分殿だな」


「アドラスの親父は変わらずお強い…」


背後のバズー、ドノバンも歓喜する。

その嘲りの様な笑いは二人の怒りを
引き出す事となる。

血を流し壁に衝突し、倒れていたロードが
静かな怒りを燃やし、最高速でアドラスへ
斬り掛かると、アドラスは体勢を崩す。

そのまま回避した拍子に踏み付けて居た
足が退け、シャーレも静かに立ち上がる。
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