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目を覚ますと、私は忘却の泉にいた。外が明るい。どうやらあの激しい雨もようやく止んだらしい。側には少女も、少年も、天使もいた。膝には私の気に入りの赤いコートが掛けられていた。ようやく帰ってきたという気がして、ほっと息を吐く。
「助けてくれたの」
うなだれた少女に問い掛ける。どうして、という言葉は飲み込んだ。
「……他人のことは助けておいて、自分は死んでもいいだなんて、言えないよね」
彼女は苦しそうに胸を押さえる。けれど、もうそこに傷は見えなかった。
「そうだね、それはちょっと無責任かもね」
それは自分に向けた言葉でもあった。
「だから、私のせいにしていいよ。助けてしまったんだから仕方がないって、思っておいて。私はもう助けられちゃったから、仕方がないんだって言い訳しておいて」
彼女はしばらく何も言わず、やがて小さく頷くと、それから自分を納得させるように、うんうんと、大きく頷いた。その目に光るものを見て視線を逸らすと、横目でこちらを見ていた少年も慌てて視線を逸らした。私はその背中に、ありがとう、と声を掛けた。
私たちの様子を黙って見ていた天使は溜息を吐いて頷くと、一つ目の試練は合格だと言った。それが私の天使になるための試練のことだというのは分かったものの、そんなものをいつ出されたのかは記憶になかった。試練って何だったのかと天使に聞くと、彼女を連れ戻してくることだと天使は答えた。
「そんなの聞いてない」
言いそびれたのだと、悪びれる様子もなく天使は言った。試練だから天使は助けに来てくれなかったのだろうか。そういえば泉に飛び込む前から天使はやたら落ち着いて二人が争うのを見ていたなと思う。今みたいにやたら達観したような顔で。どうやらあの時の天使は、少年と同じように考えていたらしかった。彼女は一度すべてを忘れてしまった方が良いのではないかと。
その場合私の試練はどうなっていたのかと尋ねると、天使はにやりと笑んだ。初めて彼の陰鬱そうな部分ではなく、どこか子供のような印象の瞳と表情とが合致したように思った。
「それに、別に私が連れ戻したわけじゃない」
横目で少女を見ると、彼女はうつむけていた顔を上げた。
「でも、あなたが迎えに来なかったら、私はここに戻ってきてないと思う」
ずっと腕の中にあったものがなくなったのが落ち着かないらしく、もじもじと指を絡ませながら少女が言う。なんだかむず痒いような心持ちだったけれど、彼女がそう言うならいいかと納得しておくことにして、改めて天使を見た。試練は三つと言っていたはずだ。天使は頷くと、少年を見てその肩に優しく手を置き、二つ目は彼に泉の水を飲ませることだと言った。
少年が黙って金色の杯を差し出す。
「いいの?」
私はそれを受け取るのをためらった。
「ラクチンな試練でよかったな」
いたずらっぽく笑う少年に促され、受け取った杯で泉の水をすくう。清らかに澄んだ水は、金色の杯の中ではとろりとした蜜のように見えた。
本当にこれを彼に飲ませてしまってもいいのだろうか。それは、生きたいと願っていた彼に、生きるのを諦めさせたということでもある。そう思うとどうしてもためらってしまうのだった。
けれど彼は自分からそれを受け取り、一息に飲み干した。少年の喉がごくりと動くのをぼんやりと眺め、その剥き出しの胸にあった傷のことを思う。それはもう水を飲む前からなくなっていたのだけれど、こちらへ穏やかに微笑みかける少年の顔を見て、これでもう本当におしまいなんだなと思った。
それは少年が望んでいたこと。だからそれは私の身勝手な感傷に過ぎないのだけれど、これであの熱の元もなくなってしまったのだと思うと、どうしても素直に喜べないのだった。そんな私の表情に気づき、少年は少し困ったような顔をする。それで、私もこんな顔をしていてはいけないと、ぎこちないながら笑みをつくってみせた。
気持ちを切り替え、これで次が最後の試練だと、天使を見る。
私の視線を受けて頷くと、天使はスーツのポケットから金色の小さな鈴を取り出した。受け取ってまじまじと観察してみたけれど、何の変哲もない鈴のように見える。
貴方が善き事を為したと思った時に、その鈴を鳴らしなさい—―、と急に物々しい口調で告げられ、私は少し緊張しながら上目遣いに天使を見た。
「それは私が判断するの」
天使は頷いた。
「私が良いことをしたと思えば、たとえば今でも、鳴らしていいの」
それで自分が納得できるなら、と天使は言った。私はもう一度手の中の鈴を見た。
まだ鳴らせない――、と思った。
ならば、私が少年をこの先に連れて行くことはできない。私が連れて行くと約束したのに。少年が呆れたように溜息をつく。
「お前が天使になるのなんか待ってらんないからさ、先に行くよ」
唇の端を歪めるようにして少年は笑った。さっきの穏やかな笑みよりずっと少年らしい笑い方だと思った。
「ごめんね」
「なんで謝るんだよ」
「だって、私が連れて行くって約束したのに。それに、他にも、その……」
「アンタのおかげだよ」
私の言葉を遮るように、少年は言った。視線を逸らし、照れたようにくしゃくしゃの髪の毛をぐしゃぐしゃとかき回すと、それでも最後にはちゃんと私の目をまっすぐに見つめた。
「俺の人生を、憎しみで終わらせないでくれて、ありがとう」
「ありがとうなんて……」
私がいなければこんな目に合わずに済んだかもしれないのに。私は彼を振り回しただけだ。感謝される資格なんてない。
「ありがとうくらい言ってもいいだろ。俺が言うべきだと思ったから言ったんだ」
それでいいだろ、と少年は言った。視線を合わせ、私たちは少しだけ笑い合った。
「では、行こうか」
天使が少年の肩に手を添える。行けるところまででいいからと、私は一緒に連れて行ってくれるよう天使に頼んだ。この旅で初めて天使は私がついていくことを許してくれた。
さっきまでの雨が嘘のような晴天で、あんなに不気味に見えた森の木々の梢から差す木漏れ日が心地よくさえ感じられた。天使の後をついて行くと、不思議と森の木々が道を開けているようにも見える。雨に洗われたような清々しい空気が肺に流れ込んでくる。この心地よさは、私がしばらく忘れていたものだ。久し振りにちゃんと呼吸をした気がした。
森を抜け、川原に出る。あの凶暴にうねっていた濁流は、まるで雨などなかったかのように、穏やかに水面をきらめかせていた。向こう岸には緑の野が露に濡れてキラキラと輝いている。お祖父さんはあちらへと渡って行ったのだ。
私がついて行けるのはここまでだった。
天使は少年の手を取り、ふわりと浮かび上がった。
少年が振り向いて手を振り、私もそれに応えて手を振った。黙ってついてきていた少女も隣で小さく手を振っているのを、視界の端で見る。二人が向こう岸に降り立った時、柔らかな雨がレースのカーテンのようにさあっと横切って行った。私はその中に人影を見たような気がした。雨はすぐに過ぎ去り、一瞬しか見えなかったので、気のせいかもしれなかった。
さよならを言うなら、今しかないと思った。そこにはもう誰の姿も見えなかったし、それは声に出して言う必要はないと思えたので、心の中でそっと告げた。
ようやく大事な人にちゃんとお別れをすることができたのだと思うと、ほっとして涙が出た。
いつまでもこのまま突っ立っているわけにもいかないけれど、すぐには立ち去る気にもなれなくて、しばらく対岸を見つめていた。生きることを望んだ少年と、死ぬことを願った少女と、どうして正反対の結果になるのだろう。そんなことをぼんやりと考えていた。
傍らの少女に目をやると、ちょうど視線が合った。そして私たちは、何も言わずにその場を後にした。
森は町までの道を開けてくれていた。町の壁はまばゆいばかりに白く輝き、ここをあの気味の悪い亡霊がうろついているところなどもう想像もできなかった。今さら寄り道をすることもないので、まっすぐ駅へ向かう。駅にはなぜか天使が先にいて、私たちを待っていた。
「君たちが線路の上なんかを歩いて行かないようにね」
彼のことが死神に見えていたのが信じられないくらい、今の彼は紛れもなく天使だった。ホームではすでに電車が扉を開けて待っている。
「君たちなら送って行かなくてもだいじょうぶだね」
私たちは顔を見合わせて苦笑した。
電車は私たちが乗り込むとすぐに動き出した。大事な鈴を失くしてしまわないようにしっかりと握り締め、空いている方の手で天使に手を振った。天使は手を振り返してはくれなかった。あれほどに焦がれた場所が遠ざかっていく。そのことに何の感慨も抱かないほど割り切れていたわけではないものの、今すぐ電車を飛び降りたいという気にもならなかった。
背もたれに寄りかかり、電車の揺れに身を任せていると、段々うとうとしてきて、やがて眠ってしまった。
「助けてくれたの」
うなだれた少女に問い掛ける。どうして、という言葉は飲み込んだ。
「……他人のことは助けておいて、自分は死んでもいいだなんて、言えないよね」
彼女は苦しそうに胸を押さえる。けれど、もうそこに傷は見えなかった。
「そうだね、それはちょっと無責任かもね」
それは自分に向けた言葉でもあった。
「だから、私のせいにしていいよ。助けてしまったんだから仕方がないって、思っておいて。私はもう助けられちゃったから、仕方がないんだって言い訳しておいて」
彼女はしばらく何も言わず、やがて小さく頷くと、それから自分を納得させるように、うんうんと、大きく頷いた。その目に光るものを見て視線を逸らすと、横目でこちらを見ていた少年も慌てて視線を逸らした。私はその背中に、ありがとう、と声を掛けた。
私たちの様子を黙って見ていた天使は溜息を吐いて頷くと、一つ目の試練は合格だと言った。それが私の天使になるための試練のことだというのは分かったものの、そんなものをいつ出されたのかは記憶になかった。試練って何だったのかと天使に聞くと、彼女を連れ戻してくることだと天使は答えた。
「そんなの聞いてない」
言いそびれたのだと、悪びれる様子もなく天使は言った。試練だから天使は助けに来てくれなかったのだろうか。そういえば泉に飛び込む前から天使はやたら落ち着いて二人が争うのを見ていたなと思う。今みたいにやたら達観したような顔で。どうやらあの時の天使は、少年と同じように考えていたらしかった。彼女は一度すべてを忘れてしまった方が良いのではないかと。
その場合私の試練はどうなっていたのかと尋ねると、天使はにやりと笑んだ。初めて彼の陰鬱そうな部分ではなく、どこか子供のような印象の瞳と表情とが合致したように思った。
「それに、別に私が連れ戻したわけじゃない」
横目で少女を見ると、彼女はうつむけていた顔を上げた。
「でも、あなたが迎えに来なかったら、私はここに戻ってきてないと思う」
ずっと腕の中にあったものがなくなったのが落ち着かないらしく、もじもじと指を絡ませながら少女が言う。なんだかむず痒いような心持ちだったけれど、彼女がそう言うならいいかと納得しておくことにして、改めて天使を見た。試練は三つと言っていたはずだ。天使は頷くと、少年を見てその肩に優しく手を置き、二つ目は彼に泉の水を飲ませることだと言った。
少年が黙って金色の杯を差し出す。
「いいの?」
私はそれを受け取るのをためらった。
「ラクチンな試練でよかったな」
いたずらっぽく笑う少年に促され、受け取った杯で泉の水をすくう。清らかに澄んだ水は、金色の杯の中ではとろりとした蜜のように見えた。
本当にこれを彼に飲ませてしまってもいいのだろうか。それは、生きたいと願っていた彼に、生きるのを諦めさせたということでもある。そう思うとどうしてもためらってしまうのだった。
けれど彼は自分からそれを受け取り、一息に飲み干した。少年の喉がごくりと動くのをぼんやりと眺め、その剥き出しの胸にあった傷のことを思う。それはもう水を飲む前からなくなっていたのだけれど、こちらへ穏やかに微笑みかける少年の顔を見て、これでもう本当におしまいなんだなと思った。
それは少年が望んでいたこと。だからそれは私の身勝手な感傷に過ぎないのだけれど、これであの熱の元もなくなってしまったのだと思うと、どうしても素直に喜べないのだった。そんな私の表情に気づき、少年は少し困ったような顔をする。それで、私もこんな顔をしていてはいけないと、ぎこちないながら笑みをつくってみせた。
気持ちを切り替え、これで次が最後の試練だと、天使を見る。
私の視線を受けて頷くと、天使はスーツのポケットから金色の小さな鈴を取り出した。受け取ってまじまじと観察してみたけれど、何の変哲もない鈴のように見える。
貴方が善き事を為したと思った時に、その鈴を鳴らしなさい—―、と急に物々しい口調で告げられ、私は少し緊張しながら上目遣いに天使を見た。
「それは私が判断するの」
天使は頷いた。
「私が良いことをしたと思えば、たとえば今でも、鳴らしていいの」
それで自分が納得できるなら、と天使は言った。私はもう一度手の中の鈴を見た。
まだ鳴らせない――、と思った。
ならば、私が少年をこの先に連れて行くことはできない。私が連れて行くと約束したのに。少年が呆れたように溜息をつく。
「お前が天使になるのなんか待ってらんないからさ、先に行くよ」
唇の端を歪めるようにして少年は笑った。さっきの穏やかな笑みよりずっと少年らしい笑い方だと思った。
「ごめんね」
「なんで謝るんだよ」
「だって、私が連れて行くって約束したのに。それに、他にも、その……」
「アンタのおかげだよ」
私の言葉を遮るように、少年は言った。視線を逸らし、照れたようにくしゃくしゃの髪の毛をぐしゃぐしゃとかき回すと、それでも最後にはちゃんと私の目をまっすぐに見つめた。
「俺の人生を、憎しみで終わらせないでくれて、ありがとう」
「ありがとうなんて……」
私がいなければこんな目に合わずに済んだかもしれないのに。私は彼を振り回しただけだ。感謝される資格なんてない。
「ありがとうくらい言ってもいいだろ。俺が言うべきだと思ったから言ったんだ」
それでいいだろ、と少年は言った。視線を合わせ、私たちは少しだけ笑い合った。
「では、行こうか」
天使が少年の肩に手を添える。行けるところまででいいからと、私は一緒に連れて行ってくれるよう天使に頼んだ。この旅で初めて天使は私がついていくことを許してくれた。
さっきまでの雨が嘘のような晴天で、あんなに不気味に見えた森の木々の梢から差す木漏れ日が心地よくさえ感じられた。天使の後をついて行くと、不思議と森の木々が道を開けているようにも見える。雨に洗われたような清々しい空気が肺に流れ込んでくる。この心地よさは、私がしばらく忘れていたものだ。久し振りにちゃんと呼吸をした気がした。
森を抜け、川原に出る。あの凶暴にうねっていた濁流は、まるで雨などなかったかのように、穏やかに水面をきらめかせていた。向こう岸には緑の野が露に濡れてキラキラと輝いている。お祖父さんはあちらへと渡って行ったのだ。
私がついて行けるのはここまでだった。
天使は少年の手を取り、ふわりと浮かび上がった。
少年が振り向いて手を振り、私もそれに応えて手を振った。黙ってついてきていた少女も隣で小さく手を振っているのを、視界の端で見る。二人が向こう岸に降り立った時、柔らかな雨がレースのカーテンのようにさあっと横切って行った。私はその中に人影を見たような気がした。雨はすぐに過ぎ去り、一瞬しか見えなかったので、気のせいかもしれなかった。
さよならを言うなら、今しかないと思った。そこにはもう誰の姿も見えなかったし、それは声に出して言う必要はないと思えたので、心の中でそっと告げた。
ようやく大事な人にちゃんとお別れをすることができたのだと思うと、ほっとして涙が出た。
いつまでもこのまま突っ立っているわけにもいかないけれど、すぐには立ち去る気にもなれなくて、しばらく対岸を見つめていた。生きることを望んだ少年と、死ぬことを願った少女と、どうして正反対の結果になるのだろう。そんなことをぼんやりと考えていた。
傍らの少女に目をやると、ちょうど視線が合った。そして私たちは、何も言わずにその場を後にした。
森は町までの道を開けてくれていた。町の壁はまばゆいばかりに白く輝き、ここをあの気味の悪い亡霊がうろついているところなどもう想像もできなかった。今さら寄り道をすることもないので、まっすぐ駅へ向かう。駅にはなぜか天使が先にいて、私たちを待っていた。
「君たちが線路の上なんかを歩いて行かないようにね」
彼のことが死神に見えていたのが信じられないくらい、今の彼は紛れもなく天使だった。ホームではすでに電車が扉を開けて待っている。
「君たちなら送って行かなくてもだいじょうぶだね」
私たちは顔を見合わせて苦笑した。
電車は私たちが乗り込むとすぐに動き出した。大事な鈴を失くしてしまわないようにしっかりと握り締め、空いている方の手で天使に手を振った。天使は手を振り返してはくれなかった。あれほどに焦がれた場所が遠ざかっていく。そのことに何の感慨も抱かないほど割り切れていたわけではないものの、今すぐ電車を飛び降りたいという気にもならなかった。
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