43 / 44
修行:ホドエリア編【七日目/休日】
しおりを挟む
どんよりとした雲が立ち込める。今にも雨が降り出しそうな、黒く重い雲が西の空に見える。
「今日は実践の方はお休みだよ。明日からホーネット戦ね。」
朝食を取りながら、リリンが予定を確認する。
「うん。…今日は夕方まで自由でいいのかな?」
フォークを持った手を止め、少し考えてからカインが確認のために問いかけた。
「そうだね。自由でいいよ。何か考えてる?」
「ちょっと昨日君に言われたことちゃんと考えようかなって。」
神妙な顔でカインは答えた。一方のリリンは昨日言ったこと? と首を傾げる。しばし考え、
「もしかして命に差を付けるって話?」
と、ぽろりと口にする。
「…うん。昨日、あの後考えたんだけと、やっぱりすっきりしなくて…」
カインの目線は手元に落ちている。
昨日持ち直したと思ったんだけどなぁ、とリリンは彼の様子を窺いながら考える。ここまで来ると、正直リリンはお手上げだと考えてしまう。これもカインがニンゲンだからだろうか。同時に何故自分がこの勇者の教育係に選ばれたのかも分からなくなってしまう。
「よし! 分かった。思いっ切り考えて。そして明日からはしっかり修行に励んでよね!」
リリンはそうカインに答える。ついでに自分は魔界に戻って、教育係に選ばれた意図を確認して来ようとリリンは考えた。
朝食を終えたところで、
「キミは部屋に戻るよね? アタシはちょっと魔界に行ってくる。遅くても夕食までには戻るから!」
とリリンはカインに言い残し有無を言わせぬまま姿を消した。
「え? いや、今ここで?」
誰も見ていなかったみたいだからいいけど… とカインは呆気に取られて呆然とリリンを見送る事しか出来なかった。
「まあ、唐突なのはいつもの事か。」
すぐに我に返る辺りリリンの言動に慣れてきたからなのだろう、気を取り直したカインは宿の部屋に戻る。
部屋の備え付けのスツールに腰かけたカインは、窓の外に視線を向けた。空の雲は重たそうにしている。カインの気分もそのまま落ち込みそうだったので、仕方なく室内に視線を戻した。
「答えが出なくても、気持ちは整理しなきゃ。」
カインは呟いた。
深呼吸をして、今考えるべきことを指折り数える。
「命に差を付ける、世界を壊す、」
それはリリンに言われたことだ。特に、世界を壊すと言うのは出会った当初に言われたことだ。そして、
「戦って自らの手を汚さなかったとしても全ての生きとし生けるモノは、他者の犠牲の上に成り立っている。」
恐怖に圧し潰されそうになった時にルシフェルさまに言われたこと。今さらだけと冷静に考えれば、毎日毎食食べているモノは、調理される前は確かに生きていたモノばかりなのだ。…たとえ果物や野菜であっても。
「あと、もう一つあったな。屠った命を無駄にしないと誓う覚悟さえ持てばいい。この世界のために生きるのだと。そう言われたんだっけ。」
リリンの言葉だけでは、命を奪う恐怖だけが膨れ上がっていった。怖くて怖くて仕方がなかった。それが事実だと理解できるからこそ、彼女の言葉を否定できず恐怖に呑まれるしかなかった。
「リリンが悪いわけじゃない…」
いつまでも覚悟を決められない自分にも原因があるのだろう。どう足掻いたところで、自分が勇者であることは変わらないのだろうし、誰かが代わりに慣れるものでもないのだろう。…それに、勇者が為すべきことを知った今でも、他の誰かが自分を差し置いて勇者になるなど受け入れられる気がしない。きっとまた、アベルに感じたような嫉妬を抱くのだろう。
それならさっさと覚悟を決めればいいのに。なのに、世界を壊すことに抵抗がある。
「だって… 父さんや母さんはどうなるんだ? アニキもアベルも勇者だったから良いけど、町のみんなは? 世界が壊れたら… みんなは。」
今までも考えていたことだ。その真意が分からないまま勇者であることを求められて、答えを見いだせないままここまで来た。だからこそ、リリンに『命に差を付ける』と言われ酷く動揺した。動揺して恐怖に呑まれた。
「アベルもアニキもどう思っているんだろうか。」
世界を壊すということを。オレは、昨日ようやくルシフェル様の声を聴けた。ルシフェル様の言葉で、ほんの少しのヒントを得て心は少し軽くなった。二人にはルシフェル様のような存在はいるのだろうか。昨日のオレのように恐怖に呑み込まれていたりはしないのだろうか。
二人のことが心配になる。アベルにはルシフェル様の弟が付いているようだけど、正直彼には恐怖を感じたのだ。そんな相手の許に居てアベルは大丈夫なのだろうか。それに、アニキはどうしているのだろう。
そこまで考えてカインは我に返る。
だけど、今は。
「オレ自身のことちゃんとしないと。」
屠った命を無駄にしないと誓う覚悟、とルシフェル様は言っていたんだっけ。その言葉で、何かが分かったような気がした。それで心が軽くなった。
覚悟が足りなかったんだ、と昨日は思った。それも間違っていないのだろう。けど、それだけじゃないはず。他にも意味があって、だからこそあのわずかの間のルシフェル様の言葉でオレは持ち直したんだ。
「ルシフェル様の城で会おうって言っていた。それまでに強くならなきゃいけない。覚悟も、決めないと。」
ただ生きているだけでも、他の何かを喰らっているからこそ生きていける。喰らっているということは…
別に今に限った事じゃなかったんだ。ただ、直接手を下していた訳じゃない、ただそれだけのこと。
いつか、ルシフェル様の城でルシフェル様に会った時に教えてもらえる全ての事柄がどんな内容だったとしても、オレは。
勇者として生きていく覚悟を決めなければ。
そうしなければ、マルクトエリアからここまで倒してきた怪物たちは意味もなくオレに殺されていたことになるんだ。たとえ、怪物たちが人間の敵であったとしても。
カインは自分の両手を見詰めた。今はまだ、分からないこともある。だけど、せめて。
「覚悟は決める。今決める。」
そう呟いてカインは拳を握った。
気が付けはだいぶ日は落ちていたようで、部屋の中は薄暗かった。朝からずっと考えていたのか、そう思ったところで空腹に気付く。
「昼、抜いちゃったからな。」
カインは苦笑した。1日がかりで覚悟を決めたと知ったらリリンは何て言うだろうか。
「ま、しょうがないか。明日からちゃんとするってことで勘弁してもらおう。」
そう独り言ちてカインは遅い昼食と言うべきなのか早めの夕食と言うべきなのかと一人考えながら食事をとるために食堂へ向かった。
「今日は実践の方はお休みだよ。明日からホーネット戦ね。」
朝食を取りながら、リリンが予定を確認する。
「うん。…今日は夕方まで自由でいいのかな?」
フォークを持った手を止め、少し考えてからカインが確認のために問いかけた。
「そうだね。自由でいいよ。何か考えてる?」
「ちょっと昨日君に言われたことちゃんと考えようかなって。」
神妙な顔でカインは答えた。一方のリリンは昨日言ったこと? と首を傾げる。しばし考え、
「もしかして命に差を付けるって話?」
と、ぽろりと口にする。
「…うん。昨日、あの後考えたんだけと、やっぱりすっきりしなくて…」
カインの目線は手元に落ちている。
昨日持ち直したと思ったんだけどなぁ、とリリンは彼の様子を窺いながら考える。ここまで来ると、正直リリンはお手上げだと考えてしまう。これもカインがニンゲンだからだろうか。同時に何故自分がこの勇者の教育係に選ばれたのかも分からなくなってしまう。
「よし! 分かった。思いっ切り考えて。そして明日からはしっかり修行に励んでよね!」
リリンはそうカインに答える。ついでに自分は魔界に戻って、教育係に選ばれた意図を確認して来ようとリリンは考えた。
朝食を終えたところで、
「キミは部屋に戻るよね? アタシはちょっと魔界に行ってくる。遅くても夕食までには戻るから!」
とリリンはカインに言い残し有無を言わせぬまま姿を消した。
「え? いや、今ここで?」
誰も見ていなかったみたいだからいいけど… とカインは呆気に取られて呆然とリリンを見送る事しか出来なかった。
「まあ、唐突なのはいつもの事か。」
すぐに我に返る辺りリリンの言動に慣れてきたからなのだろう、気を取り直したカインは宿の部屋に戻る。
部屋の備え付けのスツールに腰かけたカインは、窓の外に視線を向けた。空の雲は重たそうにしている。カインの気分もそのまま落ち込みそうだったので、仕方なく室内に視線を戻した。
「答えが出なくても、気持ちは整理しなきゃ。」
カインは呟いた。
深呼吸をして、今考えるべきことを指折り数える。
「命に差を付ける、世界を壊す、」
それはリリンに言われたことだ。特に、世界を壊すと言うのは出会った当初に言われたことだ。そして、
「戦って自らの手を汚さなかったとしても全ての生きとし生けるモノは、他者の犠牲の上に成り立っている。」
恐怖に圧し潰されそうになった時にルシフェルさまに言われたこと。今さらだけと冷静に考えれば、毎日毎食食べているモノは、調理される前は確かに生きていたモノばかりなのだ。…たとえ果物や野菜であっても。
「あと、もう一つあったな。屠った命を無駄にしないと誓う覚悟さえ持てばいい。この世界のために生きるのだと。そう言われたんだっけ。」
リリンの言葉だけでは、命を奪う恐怖だけが膨れ上がっていった。怖くて怖くて仕方がなかった。それが事実だと理解できるからこそ、彼女の言葉を否定できず恐怖に呑まれるしかなかった。
「リリンが悪いわけじゃない…」
いつまでも覚悟を決められない自分にも原因があるのだろう。どう足掻いたところで、自分が勇者であることは変わらないのだろうし、誰かが代わりに慣れるものでもないのだろう。…それに、勇者が為すべきことを知った今でも、他の誰かが自分を差し置いて勇者になるなど受け入れられる気がしない。きっとまた、アベルに感じたような嫉妬を抱くのだろう。
それならさっさと覚悟を決めればいいのに。なのに、世界を壊すことに抵抗がある。
「だって… 父さんや母さんはどうなるんだ? アニキもアベルも勇者だったから良いけど、町のみんなは? 世界が壊れたら… みんなは。」
今までも考えていたことだ。その真意が分からないまま勇者であることを求められて、答えを見いだせないままここまで来た。だからこそ、リリンに『命に差を付ける』と言われ酷く動揺した。動揺して恐怖に呑まれた。
「アベルもアニキもどう思っているんだろうか。」
世界を壊すということを。オレは、昨日ようやくルシフェル様の声を聴けた。ルシフェル様の言葉で、ほんの少しのヒントを得て心は少し軽くなった。二人にはルシフェル様のような存在はいるのだろうか。昨日のオレのように恐怖に呑み込まれていたりはしないのだろうか。
二人のことが心配になる。アベルにはルシフェル様の弟が付いているようだけど、正直彼には恐怖を感じたのだ。そんな相手の許に居てアベルは大丈夫なのだろうか。それに、アニキはどうしているのだろう。
そこまで考えてカインは我に返る。
だけど、今は。
「オレ自身のことちゃんとしないと。」
屠った命を無駄にしないと誓う覚悟、とルシフェル様は言っていたんだっけ。その言葉で、何かが分かったような気がした。それで心が軽くなった。
覚悟が足りなかったんだ、と昨日は思った。それも間違っていないのだろう。けど、それだけじゃないはず。他にも意味があって、だからこそあのわずかの間のルシフェル様の言葉でオレは持ち直したんだ。
「ルシフェル様の城で会おうって言っていた。それまでに強くならなきゃいけない。覚悟も、決めないと。」
ただ生きているだけでも、他の何かを喰らっているからこそ生きていける。喰らっているということは…
別に今に限った事じゃなかったんだ。ただ、直接手を下していた訳じゃない、ただそれだけのこと。
いつか、ルシフェル様の城でルシフェル様に会った時に教えてもらえる全ての事柄がどんな内容だったとしても、オレは。
勇者として生きていく覚悟を決めなければ。
そうしなければ、マルクトエリアからここまで倒してきた怪物たちは意味もなくオレに殺されていたことになるんだ。たとえ、怪物たちが人間の敵であったとしても。
カインは自分の両手を見詰めた。今はまだ、分からないこともある。だけど、せめて。
「覚悟は決める。今決める。」
そう呟いてカインは拳を握った。
気が付けはだいぶ日は落ちていたようで、部屋の中は薄暗かった。朝からずっと考えていたのか、そう思ったところで空腹に気付く。
「昼、抜いちゃったからな。」
カインは苦笑した。1日がかりで覚悟を決めたと知ったらリリンは何て言うだろうか。
「ま、しょうがないか。明日からちゃんとするってことで勘弁してもらおう。」
そう独り言ちてカインは遅い昼食と言うべきなのか早めの夕食と言うべきなのかと一人考えながら食事をとるために食堂へ向かった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
絶対零度女学園
ミカ塚原
ファンタジー
私立ガドリエル女学園で起こった、謎の女生徒凍結事件。原因不明の事件を発端として、学園を絶対零度の闇が覆い尽くす。時間さえも凍結したかのような極寒の世界を、正体不明の魔がうごめき始めた。ただ一人闇に立ち向かうのは、病に冒され夢を挫かれた少女。この世に火を投じるため、百合香は剣を取って巨大な氷の城に乗り込む。
◆先に投稿した「メイズラントヤード魔法捜査課」という作品とは異なる方向性の、現代が舞台のローファンタジーです。キービジュアルは作者本人によるものです。小説を書き始めたのは今年(2022年)が初めてなので、稚拙な文章は暖かい目で読んでくださると幸いです。
キンメッキ ~金色の感染病~
木岡(もくおか)
SF
ある年のある日を境に世界中で大流行した感染病があった。
突然に現れたその病は非常に強力で、医者や専門家たちが解決策を見つける間もなく広まり、世界中の人間達を死に至らしめていった。
加えてその病には年齢の高いものほど発症しやすいという特徴があり、二か月も経たないうちに世界から大人がいなくなってしまう。
そして残された子供たちは――脅威から逃れた後、広くなった地球でそれぞれの生活を始める――
13歳の少年、エイタは同じ地域で生き残った他の子供達と共同生活を送っていた。感染病の脅威が収まった後に大型の公民館で始まった生活の中、エイタはある悩みを抱えて過ごしていた……。
金色の感染病が再び動き出したときにエイタの運命が大きく動き出す。
Fragment-memory of future-Ⅱ
黒乃
ファンタジー
小説内容の無断転載・無断使用・自作発言厳禁
Repost is prohibited.
무단 전하 금지
禁止擅自转载
W主人公で繰り広げられる冒険譚のような、一昔前のRPGを彷彿させるようなストーリーになります。
バトル要素あり。BL要素あります。苦手な方はご注意を。
今作は前作『Fragment-memory of future-』の二部作目になります。
カクヨム・ノベルアップ+でも投稿しています
Copyright 2019 黒乃
******
主人公のレイが女神の巫女として覚醒してから2年の月日が経った。
主人公のエイリークが仲間を取り戻してから2年の月日が経った。
平和かと思われていた世界。
しかし裏では確実に不穏な影が蠢いていた。
彼らに訪れる新たな脅威とは──?
──それは過去から未来へ紡ぐ物語
虹の向こうへ
もりえつりんご
ファンタジー
空の神が創り守る、三種の人間が住まう世界にて。
智慧の種族と呼ばれる心魔の少年・透火(トウカ)は、幼い頃に第一王子・芝蘭(シラン)に助けられ、その恩返しをするべく、従者として働く日々を送っていた。
しかしそれも、透火が種族を代表するヒト「基音」となり、世界と種族の繁栄を維持する「空の神」候補であると判明するまでのこと。
かつて、種族戦争に敗れ、衰退を辿る珠魔の代表・占音(センネ)と、第四の種族「銀の守護者」のハーク。
二人は、穢れていくこの世界を救うべく、相反する目的の元、透火と芝蘭に接触する。
芝蘭のために「基音」の立場すら利用する透火と、透火との時間を守るために「基音」や「空の神」誕生に消極的な芝蘭は、王位継承や種族関係の変化と共に、すれ違っていく。
それぞれの願いと思いを抱えて、透火、芝蘭、占音、ハークの四人は、衝突し、理解し、共有し、拒絶を繰り返して、一つの世界を紡いでいく。
そう、これは、誰かと生きる意味を考えるハイファンタジー。
ーーーーーーーーー
これは、絶望と希望に翻弄されながらも、「自分」とは何かを知っていく少年と、少年の周囲にいる思慮深い人々との関係の変化、そして、世界と個人との結びつきを描いたメリーバッドエンドな物語です。
※文体は硬派、修飾が多いです。
物語自体はRPGのような世界観・設定で作られています。
※第1部全3章までを順次公開しています。
※第2部は2019年5月現在、第1章第4話以降を執筆中です。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百花繚乱 〜国の姫から極秘任務を受けた俺のスキルの行くところ〜
幻月日
ファンタジー
ーー時は魔物時代。
魔王を頂点とする闇の群勢が世界中に蔓延る中、勇者という職業は人々にとって希望の光だった。
そんな勇者の一人であるシンは、逃れ行き着いた村で村人たちに魔物を差し向けた勇者だと勘違いされてしまい、滞在中の兵団によってシーラ王国へ送られてしまった。
「勇者、シン。あなたには魔王の城に眠る秘宝、それを盗み出して来て欲しいのです」
唐突にアリス王女に突きつけられたのは、自分のようなランクの勇者に与えられる任務ではなかった。レベル50台の魔物をようやく倒せる勇者にとって、レベル100台がいる魔王の城は未知の領域。
「ーー王女が頼む、その任務。俺が引き受ける」
シンの持つスキルが頼りだと言うアリス王女。快く引き受けたわけではなかったが、シンはアリス王女の頼みを引き受けることになり、魔王の城へ旅立つ。
これは魔物が世界に溢れる時代、シーラ王国の姫に頼まれたのをきっかけに魔王の城を目指す勇者の物語。
最強執事の恩返し~大魔王を倒して100年ぶりに戻ってきたら世話になっていた侯爵家が没落していました。恩返しのため復興させます~
榊与一
ファンタジー
異世界転生した日本人、大和猛(やまとたける)。
彼は異世界エデンで、コーガス侯爵家によって拾われタケル・コーガスとして育てられる。
それまでの孤独な人生で何も持つ事の出来なかった彼にとって、コーガス家は生まれて初めて手に入れた家であり家族だった。
その家を守るために転生時のチート能力で魔王を退け。
そしてその裏にいる大魔王を倒すため、タケルは魔界に乗り込んだ。
――それから100年。
遂にタケルは大魔王を討伐する事に成功する。
そして彼はエデンへと帰還した。
「さあ、帰ろう」
だが余りに時間が立ちすぎていた為に、タケルの事を覚えている者はいない。
それでも彼は満足していた。
何故なら、コーガス家を守れたからだ。
そう思っていたのだが……
「コーガス家が没落!?そんな馬鹿な!?」
これは世界を救った勇者が、かつて自分を拾い温かく育ててくれた没落した侯爵家をチートな能力で再興させる物語である。
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる