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Ⅳ ノノ

26話 依頼の報酬

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帰りはなんとも呆気なく、モンスターが索敵にすら掛からない程だった。
一番危険なアンデッドマイナーにも会わなかったし良かったと思う。

「依頼の品を持ってきました。」

「あいよ。見せてみな。」

私がリノさんに鉱石を渡す。

「ふぅん。素人にしちゃ悪くない。
上質な物を採ってきたね。
これなら合格さね、」

リノさんが言った。
実はノノが採る鉱石を指定したのだ。
なんでもドワーフは鉱石の見分けがつくらしくノノ曰く上質な物らしい。

「だが、ノノもいてこれじゃあ少し期待外れかねぇ。もっと上質なのもあったはずさね。
まぁ、これでも充分合格だからあれこれ言わないけどねぇ。」

リノさんがそう言ってから鉱石を木箱にいれる。

「あんたらの武器を見せてみな。」

リノさんが言った。
私達は武器を机の上にだした。

「これは仕込み杖だねぇ。刃はアダマンタイト、鞘はオリハルコン、装飾はミスリルだね。クリスタルにはレインボークオーツかい。こりゃまた随分と腕の良い職人が鍛えたんだねぇ。
全てにおいて無駄が無いよ。」

そう言ってからリノさんは私に武器を返した。

「こっちは・・・マナライト鉱石の大剣だね。
柄は黒曜石かい。重くズッシリとしてるし魔力の通りも良い。
魔法剣士向けの武器だね。
けど、これじゃ重すぎるねぇ。
中距離を得意とする魔法剣士には少し扱いづらいだろう?」

リノさんはそう言ってラナの大剣を軽々と片手で振り回してからラナに返した。
リノさん凄い力持ちなんだなぁ。

「まぁ、重いですけど軽くすると威力下がっちゃって・・・マナライトの武器だとどうしても重くなるみたいで。」

ラナがそう言って武器をしまった。

「次は・・・ほう、ライフルかい。柄は木製・・・マナウッドだね。他はミスリル製・・・魔法メインの銃だね。
ミスリルだからライフルにしては重量がかさんじまうが魔力適正はかなり高いねぇ。」

リノさんはそう言ってエリシアに武器を返す。

「んで、最後は短剣だね。
刃はアダマンタイト、柄はマナライトメタルだねぇ。それに、この柄は伸び縮みするのかい。
両刃薙刀、弓、短剣どれも性能は中々だね。」

そう言ってミーナに武器を返した。
一目見ただけなのに凄いなぁ。

「お姉ちゃん、皆の武器見るなんてどうしたの?」

「報酬の為さ。
さて、報酬の発表といこうかね。
報酬はあんたらの武器をこのレインボークオーツで作ってやるよ。」

リノさんが微笑む。
最高位とも言われるレインボークオーツの武器はかなり性能が良く、レア度も高い。それこそAランク以上の冒険者が使うレベルだ。

「お姉ちゃん!?」

ノノがリノの両肩を掴んで詰め寄った。
何かあるんだろうか?

「なんさね。ノノの武器も作ったのはあたしでしょ?問題ないだろ?」

「いや、お姉ちゃんの武器は・・・」

ノノが肩を掴んだままリノさんと目をそらして言った。

「なんだい。あたしの作る武器じゃ不満かい?」

「お姉ちゃんのは目をひくから・・・」

ノノが言った。目を引く?どう言うことだろう。

「あの、うちのお姉ちゃんね、達人鍛冶師マスタースミスなんだよ。世界に5人しかいないマスタースミスの1人なの。だからね、お姉ちゃんの武器を欲しがる人は多い。
そんなのを初心者パーティー全員が持ってたら・・・」

ノノが言った。
マスタースミス!?
この世界に5人しかいない鍛冶師の中でも更に腕が良い鍛冶師だ。
勇者の武具を作った人や王宮お抱えの鍛冶師等鍛冶師に詳しくない人でも知っている程の高位の存在。
まさかリノさんがそんなマスタースミスだとは思わなかった。

「なんだい、そんな事かい。
そんな事心配するんじゃないよ。あんたらの武器には作成者のサインを入れないでおくさね。そうすりゃ誰が作ったか気付くのなんてそこそこ腕の良い鍛冶師だけさ。」

リノさんがそう言って豪快に笑う。
本当、色々な意味で凄い人だ。

「それにね、これはお礼でもあるんだよ。
ウチのノノをパーティーに入れてくれた皆へのね。」

リノさんがそう言って鉱石を持って工房へと入っていく。

「ちょ!」

「見たけりゃ着いてきな。マスタースミスの腕を見せたげるよ。」

私達はリノさんのお言葉に甘えて工房を見学する事にした。
ノノは不服そうだったが。


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