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秘密よ秘密/テーマ:桜を嫌いな理由
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私は小学校を卒業と同時に転校した。
田舎の中学に通う事が決まり、都会から一気に田舎暮らしになる事は不便で不満もあったけど、おばあちゃんの体調が悪くて一緒に暮らすことになったから仕方がないし私が何を言っても変わらない決定。
おばあちゃんのことは心配だけど、私達が来なくてもおばあちゃんを家に連れてきたら良かったのにと不満は募るけど、日にちは少しずつ過ぎていき中学の入学式。
両親と共に学校に行けば、私が通ってた小学校よりも小さなところで、生徒も私を含め十人にも満たない。
入学式といっても体育館があるわけでもなく、一ヶ所しかない教室で軽く挨拶程度。
それが終われば親は帰り、残った生徒は先生の話を聞いてから帰宅。
流石田舎というべきか、中学生だけじゃなく小学生も纏めて一つのクラス。
こんな小さな村だからか、実際の新入生は私だけ。
つまり私だけがよそ者というわけで、どう話したらいいのかわからない。
「一緒に帰ろ」
年齢がバラけた三人の女子に声をかけられ、これは仲良くなるタイミングかと思い一緒に帰ることにした。
外に出ると来たときは気づかなかったけど、隅の方に桜の木が見える。
「あの桜の木、なんであんな隅にあるんだろ」
私がつぶやくと三人の足だピタリと止まり、不思議に思い振り返れば、まるで恐ろしいものを見るかのように顔を真っ青にさせ三人は震えていた。
どうしたのか尋ねようとしたとき一人が私の両肩を掴み「桜の話は絶対に大人の前でしちゃだめだからね」と言われ不思議に思ったが、それよりも方を掴む手の力とそう言った彼女の表情が怖くて静かに頷いた。
それから数日が過ぎ、小さな村ではあっという間にみんなと仲良くなった。
桜のことも忘れかけていたある日の帰り道、教室に忘れ物をしたので皆には先に帰ってもらい一人戻る。
机に置いたままになっていた筆箱を鞄にしまい、帰ろうと外に出たとき桜の木の下に先生がいることに気づく。
何をしてるんだろうとじっと見ると、スコップで穴を掘っているみたい。
入学した日に友達から言われた言葉が頭をよぎり、あの桜に何かあるんだろうかと近づき先生に声をかけると、ピタリと手を止めた先生。
不思議に思いながら掘っている場所を覗き、私は小さな悲鳴が口から漏れる。
振り返った先生はスコップを上から振り下ろし、私は地面に倒れた。
冷たく重い何かが私の上に積っていく——。
桜には秘密がある。
みんな桜は嫌いなさい。
でないとアナタもこの下へ——。
《完》
田舎の中学に通う事が決まり、都会から一気に田舎暮らしになる事は不便で不満もあったけど、おばあちゃんの体調が悪くて一緒に暮らすことになったから仕方がないし私が何を言っても変わらない決定。
おばあちゃんのことは心配だけど、私達が来なくてもおばあちゃんを家に連れてきたら良かったのにと不満は募るけど、日にちは少しずつ過ぎていき中学の入学式。
両親と共に学校に行けば、私が通ってた小学校よりも小さなところで、生徒も私を含め十人にも満たない。
入学式といっても体育館があるわけでもなく、一ヶ所しかない教室で軽く挨拶程度。
それが終われば親は帰り、残った生徒は先生の話を聞いてから帰宅。
流石田舎というべきか、中学生だけじゃなく小学生も纏めて一つのクラス。
こんな小さな村だからか、実際の新入生は私だけ。
つまり私だけがよそ者というわけで、どう話したらいいのかわからない。
「一緒に帰ろ」
年齢がバラけた三人の女子に声をかけられ、これは仲良くなるタイミングかと思い一緒に帰ることにした。
外に出ると来たときは気づかなかったけど、隅の方に桜の木が見える。
「あの桜の木、なんであんな隅にあるんだろ」
私がつぶやくと三人の足だピタリと止まり、不思議に思い振り返れば、まるで恐ろしいものを見るかのように顔を真っ青にさせ三人は震えていた。
どうしたのか尋ねようとしたとき一人が私の両肩を掴み「桜の話は絶対に大人の前でしちゃだめだからね」と言われ不思議に思ったが、それよりも方を掴む手の力とそう言った彼女の表情が怖くて静かに頷いた。
それから数日が過ぎ、小さな村ではあっという間にみんなと仲良くなった。
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机に置いたままになっていた筆箱を鞄にしまい、帰ろうと外に出たとき桜の木の下に先生がいることに気づく。
何をしてるんだろうとじっと見ると、スコップで穴を掘っているみたい。
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不思議に思いながら掘っている場所を覗き、私は小さな悲鳴が口から漏れる。
振り返った先生はスコップを上から振り下ろし、私は地面に倒れた。
冷たく重い何かが私の上に積っていく——。
桜には秘密がある。
みんな桜は嫌いなさい。
でないとアナタもこの下へ——。
《完》
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