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第2章2部【帝都ティルトル剣術祭編】

第53話【目覚め〜やっぱり年齢詐称してない?〜】

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「う、うぅ……」
「あぁ、目が覚めたのねぇ」

 そうだ思い出したぜ……確か俺はあの時ディザードを会心の一撃で倒して、その直後に倒れたんだ。
 一体あの試合の決着はどうなったんだろう。
 ま、まぁそれは良いか。それよりも今は――

「ここは……どこなんだ?」

 俺が目を覚ますと、そこは小さな休憩室の様な場所で、俺は硬いベッドの上で寝ていた。
 隣にはミラボレアが座っている、こうして目を覚ますまでずっと見ていてくれていたのだろうか?

「ここはぁ、ベイユ競技場の選手療養室よぉ」
「やっぱりか、って事はやっぱり……」

 あの時、しっかり気を失っていたらしいな。

「なぁ、あの後――試合の結末はどうなったんだ?」

 とりあえず、大体今の状況を理解した俺はミラボレアに恐る恐るそう尋ねる。
 これでもし負けてたらめちゃくちゃ恥ずかしいじゃねぇかよ。「リベンジマッチだ」とかカッコつけて言ったのに。

 だが、どうやらそれは杞憂だったらしく、ミラボレアはニッコリと笑い、

「大丈夫よぉ、心配する事はないわぁ。ちゃんととうまちゃんの勝ちだからぁ。」
「良かったぁ……」

 それを聞くと身体中から一気に力が抜けて行った。
 とりあえず、俺――伊吹冬馬は何とか初戦、ディザードに勝つ事が出来たのだった。

 ---

 そこから更に今の状況を理解する為、色々ミラボレアに質問をすると――どうやら今はあれから数十分後で、もう剣の部は一旦終わり、魔法の部が始まっている時間だと言う事が分かった。

 そして、今はミラボレアが俺を見てくれていたが、それはミラボレア自身の1回戦が終わったからで、それまではみさとやちなつ、くるみが見てくれていたんだそうだ。(もちろんミラボレアは初戦を勝ったみたいだぜ)

 はぁ、たくアイツらと来たら――本当に良い奴じゃねぇかよ馬鹿野郎!!

「う、うぅ……おではなんて良いながまをもっだんだぁ!!」
「そんなに嬉しいのねぇ、大号泣じゃなぁい?」
「当たり前だろ!だって俺には今までこんな仲間いなかったんだもん!」

 アイツらには色々もらったな、本当に。感謝してもしきれないぜ。
 今回の試合も実際アイツらの応援が無ければ俺はあのまま負けてた訳だし。

 すると、そんな大号泣する俺にミラボレアは「それならぁ、余計にここで泣いてる場合じゃ無いんじゃなぁい?」そう言い、こう続けた。

「確か今からぁ、くるみちゃんの初戦試合よぉ?」
「って、え!?てっきりもう終わってたのかと思ってたぜ!」
「まだぁ、間に合うわよぉ――って、」
「すまん!看病してくれてありがとうッ!俺行ってくるッ!!」

 俺はすぐにベッドから立ち上がると――まさかの全く身体が痛くなかった為、勢いそのままにその部屋の扉を開け、外に出た。
 おかしいぞ?さっきあんなにダメージを受けたのに――って、まぁとりあえず今は良いか。
 とにかく早く試合を観戦出来る場所まで移動しないと……!


 扉を開け、部屋から出ると、そこは意外にもものすごく見覚えのある場所だった。

「ここは……フィールド前のエリアか。」

 そう、見覚えがあったのも当然。そこはさっきまで俺が居たフィールド前の武器などが置いてある場所だったからだ。

 そして、そうなるともちろんそこには試合前の選手が居る。
 俺の目の前にもまた、何度も目にした可愛らしい顔の冒険者が立っていた。

「って、くるみ……!?」
「とうま!?大丈夫なの?」
「あ、あぁ」

 まぁそりゃ今居るとしたらここだよな。
 だが、凄く驚きはしたがこれは凄く良かった。
 俺はいきなり登場し、若干混乱気味のくるみに近付くと――頭に手を置き、スリスリと撫でながら感謝の言葉を述べた。

「くるみ、さっきは本当に助かったぜ。お前の応援が無かったら俺はきっとあそこで負けてた。」

 すると――最初こそ頬を赤らめて恥ずかしがっていたくるみも、

「そんなの当たり前だよ?だってとうまは私たちのリーダーなんだから!」
「……ッ!!ぐすっ、ぐすっ……」
「どうしたのとうま?」
「な、なんでもねぇよ!」

 やばいやばい、感謝を述べたつもりがこっちが泣いちまったじゃねぇか。
 俺は恥ずかしくて、鼻をズルズル鳴らしながら泣いている事を否定する。
 するとそこで――

「と、とうま……」
「って、どうした?」

 そう言うくるみの顔は赤く染まっている。
 ま、まさかここで告白パターンか……!?そんなにまだくるみの好感度ゲージは上げてねぇぞ!?
 こんな時でもエロゲ脳な俺である。

「私――」
「ゴクリ……」

「28歳だよ……?なにさっきから子供を撫でるみたいに撫でてるの……?私……恥ずかしいよ……」
「ぁあ…――」
 
「忘れてたじゃねぇかァァァ!?!?」

 可愛さのあまり、もうすぐ30歳の大人をなでなでする俺であった。

 ---

 それから軽くこれから試合のくるみにエールを送り、階段を上がって先程の観客席まで俺は戻ってきた。

「――って、とうま!目を覚ましたのね!」
「お、無事で良かったぜ。」
「大丈夫なのか?」
「心配したんやで!」

 席に戻ると、そんな俺に今は下に居るミラボレアと試合直前のくるみ以外の4人が各自声を掛けてきた。

「あぁ、俺は見ての通りびっくりするくらい元気だ。本当に心配掛けてすまなかったな。特にみさととちなつ。お前ら俺の看護をしてくれてたんだろ?それに試合中も応援してくれたり――本当に感謝してもしきれないぜ。」

 ありがとう。その気持ちを真っ直ぐ伝える為に俺は2人に頭を下げてそう言う。
 すると2人は「なに言ってんだよ」そう言わんばかりの表情で、

「そんなの当たり前だろ?私たちはとうまのパーティーメンバーであり、大切な仲間なんだからよ。」
「ちなつの言う通りよ。」
「お前らなぁ……」

「もう大好きだッ!!2人とも――いやくるみも合わせて3人とも!俺と結婚しようッ!!」
「ちょ!?急に抱きついてこないで!!」
「とうま!お前ダメージで頭の方がイカれたのか!?」
「ぐへぇ!?」

 笑顔で2人に抱きつき、それを蹴り飛ばされて拒否られる俺。
 とりあえず、帰ってきたな。
 よし……!じゃあくるみを応援するとしますかね!
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