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第2章2部【帝都ティルトル剣術祭編】
第44話【本番当日〜レザリオの奴、すぐに姿を消しやがる〜】
しおりを挟む帝都ティルトル剣術祭のトーナメント表発表から2日後――時間はあっという間に過ぎていき、気が付けばもう祭り当日になっていた。
あの日、そのままレザリオの家に帰り、特に何もすることなく1日を終え、そして次の日もスザクに言われた通り依頼を受けること無く終わった。
前も言った気がするが、こんな時に依頼で怪我なんてしたら最悪だしな。それに、久しぶりの休日。じっくり身体を休める事が出来たぜ、帝都ティルトル剣術祭で「疲労が溜まっていて――」みたいな言い訳は出来ないくらいにはな。
――と、じゃあ早速物語を進めて行こうか。
今は先程も言った様に、帝都ティルトル剣術祭当日の朝だ。
もうレザリオたちと共に開催場所のベイユ競技場まで移動し、その中の選手席に座っている。
たく……それでレザリオのやつはどこ行きやがったんだ?
俺は周りをキョロキョロと見るが、そこにレザリオの姿は無い。
あいつ、今日も朝早くから「絶対に遅れたらあかん、」とか張り切って叩き起してきた癖に、競技場に着いたらすぐに姿を消しやがったんだよな。
まぁ、多分いつもの様にフラフラ帰ってくると思うから良いんだが。
俺の近くで居るスザクやミラボレアが全く気にしていないのが、何よりの証拠だろう。
俺たちよりずっと、一緒に居る時間が長いだろうからな。
「それにしても、さっきから何度も思っていたけど中々凄い競技場ね」
そこで横に座っていたみさとが観客席にぐるっと囲まれた中心のフィールドを見ながらそう言う。
「全くだぜ。まさかここまでデカい競技場がこの世に存在していたなんてな」
「それは流石に大袈裟だろ」、笑いながらそうツッコんで来るちなつ。確かに彼女は前の世界でアイドルをしていたと言っていたから、こういう形のドームには行き慣れて居たのかもしれないな。
ん……?という事はこいつ……実は結構有名なアイドルだったのでは……?
二次元にしか興味が無かった俺は三次元アイドルに詳しくなかったからよく分からないが、確かにそうと言われても疑わないくらいには、こいつは可愛かった。――と、まぁそれは良いとして、
せっかく今ベイユ競技場の話題が出たんだし、ここで俺が分かる限りでどんな造りをしているのか、説明して行こうと思う。
まず、俺たちが今いる観客席だが、これは3階層に分かれていて、それぞれどんな人が座るのか決まっている。
まず、1番下の階層、これは最も間近で戦いを見る事の出来る場所で、主に俺たち――出場者や、関係者等が座る席がある。
次に真ん中の階層、下から2番目だな。
そこには主に貴族や王族と言った位の高い人が座る。
――さっきサラッと見てみたが、全員凄い豪華な服を着ていて、とても将来関わりのある奴らだとは思わなかったぜ。
そして最後、1番上の階層は、主にそれ以外の一般人が座る席だ。
俺的には(上の方が全体を見れて良いじゃねぇか、離れてるから何かあっても危険は少ないだろうし)そう思うのだがな。
最後に軽く補足をしておくと、2階席に座る事の出来る貴族、王族は3階席にも座る事が出来るぜ。
ま、それでもやっぱり殆どの貴族、王族は2階席に座っているらしく、3階席がパンパンで2階席が空いているという、日本では中々見ない光景になっているがな。
――と、こんな所だろうか。
じゃあ次はフィールドだな。
フィールドに関しては本当に良くある感じだからどう説明したら良いのか分からんが……
形は楕円形で、その周りを高さ2.5メートル程のレンガで出来た壁が覆っている。
だから、さっき俺たちの座っている1階席は間近で戦いを見れるとは言ったが、案外高いところに座っているんだぜ?
それに――縦50メートル、横20メートルはありそうな巨大なフィールドで、そんなに壁沿いに来てくれるかってのも微妙だろうしよ。
――と、これくらいが今俺が分かる限りのベイユ競技場の見た目だ。
前外側から見た時も同じような事を思った気がするが、この建物自体が帝都ティルトルのシンボルみたいで、凄く良いと思うぜ。
するとそこで、急にベイユ競技場全体にひとりの男の声が響いた。
「よっしゃ!準備出来たで!今日戦うやつは今からフィールドに集合してくれぇ!」
「って、レザリオ!?」
「な、なんであいつがあんなところに居るんだ……!?」
聞き覚えのある声のした方を見ると、そこに居たのはなんとフィールドの中心でそう叫ぶレザリオだった。
いや、あいつマイクも無しで良くこんなに声が通るな。(この世界にマイクは無いのかも知れないが)
まぁそれは良い、あいつ、まさか帝都ティルトル剣術祭の関係者だったりするのだろうか?
俺は「よし、じゃあ行くか」そうミラボレアと話しながら、裏の階段から降りてフィールドに向おうとするスザクにこう言う。
「なぁ、なんでレザリオがあんなとこに居るんだよ?」
「ん?なんでってそりゃあ――」
この街で一番強いあいつが、戦いの祭りを仕切らない訳無いだろ?
「なるほど……」
いや、正直なところ全然納得してはいないのだが、とりあえず言われた通りフィールドに向かう事にしよう。
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