未来が分かるチートな日記を手に入れた〜だけど悲惨な未来が降り注ぐので、タイムリープで全力回避しようと思います!〜

カツラノエース

文字の大きさ
上 下
61 / 80

第61話【提案】

しおりを挟む

 俺たちは部屋に入ると、そこにはまるで『対話を前提にしている様な』ソファが2つ対面に並んでいた。

 鎧を纏ったおじいさんは俺たちをその片方に座る様言うと、自分はもう片方に座った。
 言われた通り座ると、そこですぐにウェイリスさんが口を開く。

「で、早速本題に入って欲しいのだけれど、今日ウェイリスたちを呼んだのはどんな用があってなの?」
「はい。実は皆さんにひとつの『提案』をしようと思いまして。」
「提案?」

 すると、そこでおじいさんは説明を始めた。

「提案です。皆さんは昨日、洞窟でゴブリンを討伐して下さいました。その中にはゴブリンキングも混ざっていたと仰られていましたよね。」

 え?そうなのか?
 実は昨日、報告は全てウェイリスさんだったから俺たちも100パーセントは把握出来ていないんだよな。(戦ったのはウェイリスさんのみだし)

 おじいさんの発言に、俺たちはウェイリスさんの方を見る。

「えぇ、確かに言ったわ。まぁ、ウェイリスくらいになればゴブリンだろうがゴブリンキングだろうが一撃だけれどね。」

 流石ウェイリスさんだ……!!俺は絶対そんな事言えないぞ……!!(ちなみにゴブリンキングはゴブリンよりも体格ふたまわりほど大きく、木で出来た王冠を被っているモンスターの事だ。ゴブリン・ロードが起きる時は大体こいつがリーダー。)

「流石ウェイリス様ですね。そして話によると、その時からゴブリン・ロードが起きそうだと分かっており、そして実際にゴブリン・ロードが起きる間際だったのだとか。」
「えぇ。それに関してはウェイリス自身が思っていた訳じゃないけれど――まぁ結果的にはそうで、ゴブリン・ロードを未然に防ぐ形にはなったわね。――で?そろそろウェイリスたちにどうすれば良いのかを言って欲しいのだけれど。」
「はは、すみません。では早速――」

 そこでおじいさんは真剣な表情になると、

「私たちギルドは昨日の会議にて、『しばらく皆さんにこの街へ居てもらいたい』という結論が出ました。だから、しばらくの間、ナビレスへとどまってもらえないでしょうか?」

 ……え?
 い、いや、それじゃすぐにサンボイルへ行けなくなるじゃねぇか!?

「それは流石に――」
「もちろん、それなりの報酬をご用意したいと思っていますよ。ひとりずつに金貨10枚でどうでしょう。」
「「……ッ!?」」

 そこでケティ、セリエラに続いて俺も酷く驚き、声が出なくなる。

 今、金貨、10枚って言ったか……?10枚……!?
 これまで色々な依頼を受けてきたが、金貨1枚の依頼すら無かったぞ……?

「へぇ。中々出すわね。そこまでしてウェイリスたちをこの街へ居て欲しい理由はあるの?」
「はい。実は今、ナビレスで主に力を持っていた上級冒険者の方が遠征に行っておりまして。気づかない内にゴブリン・ロードが起こりそうになっていたという事も加味するとやはり何時でも街を守れる強い冒険者が必要だという結論に至りましてね。」

「……なるほど。ウェイリスは良いわよ。その『提案』、乗ってあげるわ。」
「わ、私もっ!!」「私もこれには賛成です。報酬が報酬ですから。」
「おっおい!?」

「皆さん、ありがとうございます。ハヤト様、どうですか?必要でしたら更に報酬を出しますが。」
「い、!?そんなに要らねぇよっ!?」

 いや!欲しいけど!
 ――うぅ、でもそれだとサンボイルに早く行くことが出来ない……けど、思えばナビレスに俺は無理やりこの3人に来て貰ったんだ。

 ……ここでまた自分のわがままを突き通し、振り回すことを俺は出来なかった。

「……分かったよ。俺も3人と同じく同意だ。」
「ありがとうございます。」

 そうして俺たちはしばらくナビレスに留まることとなった。

 ♦♦♦♦♦

 そしてそれから数十日後。
 あれから毎日色々な依頼をナビレスで受けていた俺たちは等級が下級下位から中級下位まで上がり今日4月30日、遂に俺たち4人はフレイラへ帰る事が出来た。

「はぁ……!!やっと帰ってこれたな。」
「なんかすごく懐かしい気分だよ。」
「私に関しては、ナビレスに居る期間の方が長かったので、旅行に来た気分ですよ。」

 冒険者ギルドの横に止めた馬車から降りると、俺たちはそう言う。

 思えばこの世界に飛んでからももうほとんど1ヶ月が経ったのか。(前の世界と同じくらい、ケティ、セリエラとも信頼関係が築けた。)

「じゃあ、ギルドに入るわよ。帰ってきた報告しなきゃいけないしね。」
「そうだな。」

 そうして御者をしてくれたウェイリスさんも馬車から降りたところで俺たち4人は冒険者ギルドの中へ入って行った。


 そして、それから数時間後。夜になり、寝る前。
 俺はベットに座ると、デスティニーレコードを膝の上に乗せていた。

 あの後、冒険者ギルドに入ると色んな冒険者から褒められたぜ。(どうやらナビレスでの俺たちの活躍が、フレイラ内でも話題になっていたらしい。)
 それで宴会もしたりして騒いだりしたからもう身体がバキバキだが。

 俺はデスティニーレコードを開く。

 5月1日:レイバー、イザベルと知り合う。

 そう、まだまだこれからなのだ……!!
 次はサンボイルでの冒険者同士の殺し合いを止める……!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

俺だけ成長限界を突破して強くなる~『成長率鈍化』は外れスキルだと馬鹿にされてきたけど、実は成長限界を突破できるチートスキルでした~

つくも
ファンタジー
Fランク冒険者エルクは外れスキルと言われる固有スキル『成長率鈍化』を持っていた。 このスキルはレベルもスキルレベルも成長効率が鈍化してしまう、ただの外れスキルだと馬鹿にされてきた。 しかし、このスキルには可能性があったのだ。成長効率が悪い代わりに、上限とされてきたレベル『99』スキルレベル『50』の上限を超える事ができた。 地道に剣技のスキルを鍛え続けてきたエルクが、上限である『50』を突破した時。 今まで馬鹿にされてきたエルクの快進撃が始まるのであった。

異世界転生漫遊記

しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は 体を壊し亡くなってしまった。 それを哀れんだ神の手によって 主人公は異世界に転生することに 前世の失敗を繰り返さないように 今度は自由に楽しく生きていこうと 決める 主人公が転生した世界は 魔物が闊歩する世界! それを知った主人公は幼い頃から 努力し続け、剣と魔法を習得する! 初めての作品です! よろしくお願いします! 感想よろしくお願いします!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界の英雄は美少女達と現実世界へと帰還するも、ダンジョン配信してバズったり特殊部隊として活躍するようです。

椿紅颯
ファンタジー
黒織秋兎(こくしきあきと)は異世界に召喚された人間だったが、危機を救い、英雄となって現実世界へと帰還を果たした。 ほどなくして実力試験を行い、様々な支援を受けられる代わりに『学園』と『特殊部隊』へ所属することを条件として提示され、それを受理することに。 しかし帰還後の世界は、秋兎が知っている場所とは異なっていた。 まさかのまさか、世界にダンジョンができてしまっていたのだ。 そして、オペレーターからの提案によりダンジョンで配信をすることになるのだが……その強さから、人類が未踏破の地を次々に開拓していってしまう! そんな強すぎる彼ら彼女らは身の丈に合った生活を送りながら、ダンジョンの中では今まで通りの異世界と同じダンジョン探索を行っていく!

死んで全ての凶運を使い果たした俺は異世界では強運しか残ってなかったみたいです。〜最強スキルと強運で異世界を無双します!〜

猫パンチ
ファンタジー
主人公、音峰 蓮(おとみね れん)はとてつもなく不幸な男だった。 ある日、とんでもない死に方をしたレンは気づくと神の世界にいた。 そこには創造神がいて、レンの余りの不運な死に方に同情し、異世界転生を提案する。 それを大いに喜び、快諾したレンは創造神にスキルをもらうことになる。 ただし、スキルは選べず運のみが頼り。 しかし、死んだ時に凶運を使い果たしたレンは強運の力で次々と最強スキルを引いてしまう。 それは創造神ですら引くほどのスキルだらけで・・・ そして、レンは最強スキルと強運で異世界を無双してゆく・・・。

処理中です...