45 / 98
第二章[グーネウム帝国編]
次行く場所は?
しおりを挟むミリゴから出発してから相当な時間が経った。
出発した時はまだ朝で、太陽も上り始めているという感じだったのだが、気付けばもう太陽は下り始めていた。
これは野宿パターンだなこりゃ......
俺はいくら歩いても全く景色の変わらない草原と、その横にある森林を見ながらそう思う。
まぁ、それは良いとして......
「疲れたぁぁ!!」
俺は片手に持っている杖をぶんぶん振り回しながらそう叫んだ。
すると、
「ちょ!いきなり叫ばないでよ!びっくりしたじゃない!」
俺の横を歩いていたセリヤがこっちを見ながらそう叫び返してきた。
いや、びっくりさせたのは悪かったけどさ。
もうかれこれ3時間くらい無言で前へ前へ進んでるんだぜ?叫びたくもなるだろ。
っていうかそもそも、ずっと真っ直ぐ歩いてるが果たしてセリヤは新しい場所への道を分かってんのか?
「なぁセリヤ、ずっと真っ直ぐ歩いてるが新しい場所への道とか分かってんのか?」
俺はため息混じりにそう聞く。
「まぁ大体は分かるわ。」
ほう?ただがむしゃらに前へ進んでるって訳では無いのか。
「ちなみに何処なんだ?新しい場所ってのは?いい加減、教えてくれても良いだろ。」
俺はそう続けてセリヤに質問をする。
そう、なんと俺はセリヤが目指しているという場所が未だに何処なのか分かっていなかった。
どう思うよ?コイツミリゴを出発する時、俺が「ちなみに何処に行くんだ?」って聞いても、無視して教えてくんなかったんだぜ?
すると、俺のセリフを聞いたセリヤは、何やら考え込むようにしてから、
「着いてから言いたかったのだけど......本当に知りたい?」
そう確認を取ってきた。
なんだ?コイツ。やけにもったいぶるじゃねぇか。まさかハーレム天国にでも連れて行ってくれるのか?
「とりあえず教えてくれよ、前情報が何も無い所に行くのは少し抵抗があるからよ。」
それに、セリヤは知っていて俺だけ知らないのはなんか不公平な感じがして嫌だからな。
するとセリヤは、
「分かったわ、教えてあげる。聞いて驚かないでよ?」
更にそうワンクッション挟んでから、
「......ふっ、なんと私たちが行くのはグーネウム帝国よ!!」
そう言った。――って、
え?
ぐーねうむ?なんだそりゃ?
「どこだよそれ。」
俺は思ったままの事を口に出してそう言う。
いや、だってこの世界に転生してきてから一度もグーネウム帝国なんて単語、聞いた事ねぇんだもん。
すると、俺がそのグーネウム帝国とやらを知らない事を知ったセリヤは、
「え!?グーネウム帝国を知らないの?テツヤって本当にこの世界で育った?」
俺をやばい目で見ながらそう言ってきた。
悪いな、セリヤは冗談半分で言ったんだろうが、俺は本当にこの世界で育って無いんだよ。
そんなグーネウムとか帝国とかじゃなくて、日本の会社で揉まれながら育ったからな。
まぁ、だからといって「異世界転生したから何も知らないんだよ」なんて言っても絶対信じないだろうから言わないけどよ。
「悪いな、俺本当に何も知らないんだよ。」
俺はそう、自分の無知さを誤魔化す。
するとセリヤは、
「ま、まぁ良いわ、教えてあげる。」
俺があまりに無知なせいでガッカリした様子だったが、説明を始めてくれた。
「グーネウム帝国っていうのは、ミリゴから比較的近くて、かつ凄く大きい街なのよ!」
ふむふむ、それで?
俺は続きの言葉を待つが、一向に聞こえてこない。
ま、まさかこれで説明終わりかよ!?もうそれ説明じゃねぇって!?
「ふ、ふぅ~ん?」
俺はここで「お前それ説明じゃねぇって!?下手くそかよ!?」と、死ぬほどツッコミを入れたかったが、こんなにドヤ顔で話してきたセリヤにそれをするのは流石に可哀想だと思い、いかにも「あなたの説明のおかげで知識が増えました!」みたいな感じに反応した。
まぁだがこれだけの情報で行くのは流石に心細いな......
だから俺は、
「ほ、他になにか無いのか?」
さりげなくそう聞く。
「他ってなによ?」
「なんかあるだろ、例えばそこに居るモンスターとか、特徴的な建物とか。」
すると俺のセリフを聞いたセリヤは質問に対して、腕を組んで考え始めた。
え?そんなに難しい質問したか?
俺がセリヤの回答を待っていると、
「そうねぇ......私も行った事が無いからよく分からないわ!」
ニコッと笑いながらそう言った。
こ、コイツ吹っ切れやがった!
「そ、そうなのか。」
俺はハハハと苦笑いをすると、セリヤからは見えない様に、小さくため息を吐いた。
こんなのでいけるのか?もう既に心配になって来たんだが。
まぁこういうのも俺たちらしいっちゃ、俺たちらしいけどよ。
するとそこで、
「ねぇ、テツヤ。」
さっきまであんなに楽しそうに話していたセリヤが、急に声のボリュームを落としてそう言ってきた。
0
お気に入りに追加
251
あなたにおすすめの小説
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
宝くじ当選を願って氏神様にお百度参りしていたら、異世界に行き来できるようになったので、交易してみた。
克全
ファンタジー
「アルファポリス」と「カクヨム」にも投稿しています。
2020年11月15日「カクヨム」日間異世界ファンタジーランキング91位
2020年11月20日「カクヨム」日間異世界ファンタジーランキング84位
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる