上 下
83 / 98
2章 自慢の仲間

八十四、門出

しおりを挟む
「漫遊傭兵団、適当だが的は射てるだろ。
よし、これで決定!」
「朝陽、ギルマスが変わってくれだってさ」
「うん?」
「訓練が終わったら俺も着いていっていいか!」
「お前は妻を持ってんだろ?そっちはどうするんだ」
「連れていく、俺の妻の料理は最高だぞ!」

料理、か…たしかに料理は食えればなんでもいいって人しか居ないしな…
ナインの負担も減らせるし、いいかもしれん。

「じゃ、その妻に聞いてみろ」
「わかった、ちょっとだけ訓練を中断して聞いても良いか?」
「ああ」

俺はゲートを開いてギルマスを一旦こちらへ連れてきた。

「じゃ、門で待ってるから早めに来てくれよ」
「あー、それと…収納のあの結晶を貸してくれないか?
荷物を纏めたいんだ」
「ああ、たしかに…良いぞ」

結晶を渡すと、ギルマスは直ぐに家の方へと走っていった。

「…ミラ!ちょっと良いか?」
「あら、おかえり。忙しくなるって聞いてたけど…」
「ああいや、知り合いに訓練を頼んでてな…
それより、これからその師匠たちが旅に出るんだが、俺も一緒に行きたいんだ。
一緒に着いてきてくれないか?」
「ええ、良いわよ。それじゃ、荷物を整理しないとね」
「い、いいのか?」
「ええ、私の居場所は貴方の隣だもの」
「じゃあこれ、物を収納出来る結晶らしいんだ」
「へぇ、便利ね…
もしかして、これ家ごと収納出来るのかしら」

俺たちは外に出て、家に結晶を当てると淡い光を発した後、決勝の中に入っていった。

「わぁ…凄いわね、これ…」
「じゃあ、待たせてるから背中に乗ってくれ」
「ええ、お願いね」
「っと、その前にギルドに寄らないとな…退職の旨を伝えないと」
「じゃ、ギルドに先に行きましょ」

俺は妻をおんぶしながら、ギルドへと走って向かった。

「…足早くなったわね?」
「ああ…もしかしたら、訓練の成果かも」
「凄いわね…そんなに効果があるなんて」
「まぁ、そんだけ過酷なんだがなぁ…っと、もう着いたのか…やっぱ早くなってんな」
「あ、ギルドマスター!丁度良いところに!
先程王太子殿下から直接連絡がありまして…」
「俺、ギルマス退職するわ!
あとは任せた!じゃっ!」
「えっ、ちょっ…まっ!…嘘、ですよね?誰か、嘘と言ってください…」
「それより、その師匠ってどんな人なの?」
「あー…1人は世界最強の騎士で、もう1人は魔王、ラストが…うん、化け物だな」
「化け物とは失礼な、普段は制御しているだろう?」
「…そういうとこだろ、師匠」
「あ、あら?子供が飛んでいるわ…」

俺は2人の前に着地して、彼の妻の方を見た。

「はじめまして、ユーグと申します。
この度、漫遊傭兵団の団長を努めさせて頂きます」
「あ、これはご丁寧に…トール、下ろしてちょうだい」
「あ、ああ」
「はじめまして、トールの妻の、ミラと申します。
これから、よろしくお願いしますね、ユーグ王太子殿下」
「その地位は捨てたので、ユーグ、と」
「分かりました、ユーグ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

悪役令嬢にざまぁされた王子のその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。 その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。 そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。 マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。 人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~

松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。 なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。 生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。 しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。 二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。 婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。 カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

処理中です...