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1章 稀代の商人

五十、防衛作戦(1)

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「…つかぬ事を聞くが、ナインが言っていた、人間の相手とは…あれはどういう意味なのだ?」

「あぁ?んなもん決まってるだろ。これほどまでに神聖な気配が神殿から出てきてんだ。
そこに居るのが神であろうとなんであろうと、その恩恵に預かりたい、助けられたいと思う者は無数にいる。
スラム街連中をはじめ、市民もそうだが…成金の貴族から挙句の果てには王族まで…それら全てが今、ここに押し寄せてくる。
強大な力を持った者ってのは、それほど役目を課せられるんだよ。
だから、俺達は…〘守護領域〙
──ここから先は立ち入り禁止とする!
この領域は何人たりとも通ってはいけない。
もし、通る者が居ればその者は…神の意思を侵した重罪人となり、即刻死刑とする!」

「…ふむ、ならば…〘不落城〙
我は守りを担当しよう」

「なら、俺は攻めだな」

「…ガラハド様、只今より──王令を伝えさせて頂きます」

「だからどうした?
こちらは神の代理人の命令…神託だ!
いつから王は神より偉くなったのだ!
用があるのならば、その者を連れてこい!」

「…やはり、これはユーグの気配か」

「…アレクサンダー国王、そなたでもここから先は1歩も入れることは出来ないぞ」

「…私は親としてここに来たのだ!今すぐそこをどけ!
円卓の騎士よ、部下であるそなたに対し…王である我からの命令だ!」

「我、円卓の騎士ガラハドは、神の代理人ユーグ様の部下だ!
神の意思に反することは、如何に王であろうと覆すことは出来ぬ!」

「くっ…ならば仕方あるまい!
全軍…我が息子、ユーグを保護しろ!突撃!」

「円卓の騎士ガラハドより、聖杯に命ずる!
我が主を守る剣となり、盾となれ!」

その瞬間、ガラハドに聖杯の紋が出現し、膨大な量の守護力が溢れ出した。

「ユーグ…お前の力、借りるぞ。
〘剣戟──滅剣〙」

『聖杯の力が剣に宿り、聖剣へと変化致しました。
悪なる心を切り裂き、善ある者に正する道があらんことを』

「『我、聖なる杯の主なり。
此度の聖戦により、我が王の剣となりて不殺の聖剣をここに創する!』」

その瞬間、無数の聖剣が兵に次々と向かっていった。

「安心しろ、仮死状態なだけだ。
聖剣は悪しき心を断ち、善なる心を生み出す」

「…(我、要らないのでは…)」
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