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93話

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「よし、〔製作:設計図展開、建築〕これで研究所ができたかな」
「1回目のスキルで全部作ったら良かったんじゃないのか?」

カーヴェが首を捻りながらこちらに問いかける。私は少し考えてから応えを出した。

「製作のスキルレベルが上がるか、スキルが進化すれば出来るかもしれないけど、設計図があってもできるのは目視できる範囲なんだよね。
ただ、内部は設計図通りに出来てるから、範囲として目視できる範囲の中、って感じかな。
目視できる地上なら内装も纏めてできるけど、地下は目視できないからスキルが反映されてないっ感じ?」
「なるほどなぁ…そのスキルにも欠点があんのか」
「万能なスキルなんてこの世にはないんじゃない?」

私は笑いながらカーヴェに冗談交じりに言ってから、研究所へと入った。

「さてと、それじゃあ今からすることだけど…錬金術のスキルは持ってる?」
「ああ」
「なら、このデザインに金を加工しておいてくれる?」

カーヴェに渡した設計図には、巨大な水晶を軸に、土台と、水晶を囲むリングが幾つか均等に掛けられているようなデザインだ。

「わかった。お嬢はどうするんだ?」
「私?私は魔石を魔道具に組み込む術式を作るよ。
魔力とは使い勝手が多少変わるから、その調節が必要でさ」
「それは…できることなのか?」
「うーん、どうだろ?カーヴェは精霊魔法を使うんだっけ?」
「ああ。基本的に火と土の精霊は殆どのドワーフが持っている」
「精霊の魔法は人間が使う魔法や武功とは大分違うから、精霊の力を魔道具に変えるってなると難しいかもだけど、魔法と武功の原則や理はある程度合致する部分があるのは分かる?」

少し難しいが、解けるだろうか…と思いながらカーヴェに聞くと、精霊魔法と、魔法や武功の違いを整理するためか、少し考え込んだ後、憶測として語った。

「精霊魔法は事象そのものをその場に引き起こす魔法…で、魔法や武功は事象を再現するか、事象に干渉する力…と言ったところか?」
「正解!精霊の使う魔法は、風の精霊だったら、その場に風が吹く、とか竜巻が起こる、という事象…まぁ自然現象かな。それを意図的に起こすことができる。
けれど、魔法を定義する事象の再現、というのは、あくまで魔力を使って擬似的なものを作り出しているから、魔力が途絶えるとその瞬間竜巻は消える。
事象に干渉する時はそもそも事象がその場に存在しなければいけないしね」
「ふぅむ…」
「これらを踏まえて、今から功力の篭もった魔石を魔道具に組み込めるようにする。
ただ、問題は魔力を使った事象は、事象の創作再現…と言った感じで、こういう事象が起きる、という指定の詠唱魔法になるけど、
武功だと、事象が存在する、といった感じになってしまうから、そのズレが問題になるんだよね。
だから、今から集中して、解析を使いながらするから、そっちは任せたよ」
「ああ」

さてと…魔石の解析は始めてだけど、多分上手く出来ないんだよね。まぁ、やるって言ったからには何とかしてみないといけないけど。

「〔解析〕
…うーん、やっぱりね。魔道具を1度見直さないといけないみたいだけど…この彫刻している文字、何の文字なんだろうね。これが分かれば、手がかりが出てきそうなものだけど…
魔石自体には解析が効かない。
というのも、魔石は魔力と、瘴気の複合からできていて、しかも魔物が死んだ後もずっと動き続けている半不死性の心核のようなものって感じかな…
問題は、神から授けられるステータスは基本的に善神としての授与スキルになるけど、魔物とかの瘴気を持つものは魔なる者…邪神に近しい存在のものてな对となっている…
じゃあなんで魔道具はできたんだろ?
瘴気を避ける方法があったのか、もしくは魔石自体を浄化する機械があった?この大陸だと魔石は何に使われるんだろ?
うーん、分からないことが多い…とりあえず、手がかりがあるかもしれないところから考えてみよう。
まずは、王国の所の魔道具…5といっても、持ってないから買いに行かないとか。〔転移〕」
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