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88話

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ひとまず最後のメンバーとして、この廃れた西部で、唯一畑を開墾しようとしている者のもとへ向かった。

「こんにちは」
「こんにちは。このような僻地へ、嬢ちゃんみたいなのがよう来なさったな」
「お爺さんの真似はしなくて良いよ…ダークエルフ」
「人間にとって儂は爺の歳だからの。こうして偽装しているんだ。
それで?俺に何の用だ?見てのとおり、俺の力じゃあこの地に植物を作り出すのは無理でな」
「商会の創立メンバーに君を招待する。屋敷に来てちょうだい」
「拒否権がまるでない言い方だな」
「精霊と土地の再生。したいなら、屋敷に来なさい」
「…お前にそれができると?」
「精霊は相談してみないと分からないけど、少なくともこの土地を再生させるのはできる」
「…わかった。すぐに向かえばいいか?」
「1時間後に招集を掛けているから、それまでに来てくれたらいい」
「わかった、1時間後だな」
「うん、それじゃ。〔転移〕」

実際、精霊の問題は出来るかどうかがまだ分からない。精霊は基本的に、自然豊かな地にしか訪れない。
それもそのはず、精霊に宿る霊力は、自然豊かな土地にのみ生まれる聖素が基盤になるからだ。
そのため、西部全域を聖域へと変化させるか、もしくは土地を再生させて自然豊かにするか…その選択肢しかない。

「ここは神に相談しないとね。さてと…ここからは気を引き締めないとね。傭兵ギルド現ギルドマスターに会わないとだし」
「…あ!鳴海様!本日はどうされました?」
「ギルドマスターは居る?」
「現在上で事務作業中です。面会はこの後予定にないのでお会い出来るかと思いますが、聞いてきましょうか?」
「うん、お願い」
「おいおい嬢ちゃん、ギルマスに何の用だ?」
「さて、要点を纏めておかないと。交渉材料はどうしようかな。最悪神器や宝器で釣っても良いかもだけど…さすがに神器は神に怒られそうだしなぁ…」
「おい、聞いてんのか!」
「〔固定〕…身の程を弁えろ、愚者が」
「お待たせしました、お会い出来るそうなので、上へどうぞ」
「それ、片付けておいて」
「かしこまりました」

私は受付横の階段を上がり、2階にあるギルマスの部屋へむかった。

「コンコンッ…入ってもいい?」
「ああ、構わん」
「お邪魔しまーす」
「それで、傭兵ギルド1位の奴が俺に何の用だ?」
「傭兵ギルドの支部を西部に置く許可をくれない?」
「西部に?別に構わんが…あそこに良い人材がいたか?」
「西部の所有者になってさ。折角だから、治外法権濫用して開拓しまくりたいんだよね」
「なるほどな。だが、西部に人が集まるとは思えんぞ」
「ああ、そこは大丈夫。ちょっとそこの仕組みだけ合わせておきたくてさ。
今度魔道具作るから、ここのギルドと合併してくれない?」
「話してみろ」
「作ろうとしているのは、依頼を整理して、共有する。で、どっちかのギルドでクリアした依頼は自動的に記録、報酬が振り込まれるって感じ」
「まぁ、確かにそれなら管理が楽になるか…わかった。本当にその魔道具とやらが作れるってんなら、合併を許可しよう」
「あと、こっちの傭兵ギルドのギルドマスターは既に決まってるんだけど、合併の際の本部はそっちで、支部はこっちっていうのはそのままにして」
「話し合いは対等、表向きはこっちが上ってことか」
「そういう感じ。じゃ、私はこれで」
「ああ、ちょっと待て」
「なに?」
「お前、聞いたところによると鍛冶も出来るんだってな?」
「うん、神器から一般的な量産武器まで、なんでも作れるよ」
「依頼するから俺の武器をいくつか強化してくれねぇか?」
「うーん、見ても良い?」
「ああ、これだ」
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