89 / 110
88話
しおりを挟む
ひとまず最後のメンバーとして、この廃れた西部で、唯一畑を開墾しようとしている者のもとへ向かった。
「こんにちは」
「こんにちは。このような僻地へ、嬢ちゃんみたいなのがよう来なさったな」
「お爺さんの真似はしなくて良いよ…ダークエルフ」
「人間にとって儂は爺の歳だからの。こうして偽装しているんだ。
それで?俺に何の用だ?見てのとおり、俺の力じゃあこの地に植物を作り出すのは無理でな」
「商会の創立メンバーに君を招待する。屋敷に来てちょうだい」
「拒否権がまるでない言い方だな」
「精霊と土地の再生。したいなら、屋敷に来なさい」
「…お前にそれができると?」
「精霊は相談してみないと分からないけど、少なくともこの土地を再生させるのはできる」
「…わかった。すぐに向かえばいいか?」
「1時間後に招集を掛けているから、それまでに来てくれたらいい」
「わかった、1時間後だな」
「うん、それじゃ。〔転移〕」
実際、精霊の問題は出来るかどうかがまだ分からない。精霊は基本的に、自然豊かな地にしか訪れない。
それもそのはず、精霊に宿る霊力は、自然豊かな土地にのみ生まれる聖素が基盤になるからだ。
そのため、西部全域を聖域へと変化させるか、もしくは土地を再生させて自然豊かにするか…その選択肢しかない。
「ここは神に相談しないとね。さてと…ここからは気を引き締めないとね。傭兵ギルド現ギルドマスターに会わないとだし」
「…あ!鳴海様!本日はどうされました?」
「ギルドマスターは居る?」
「現在上で事務作業中です。面会はこの後予定にないのでお会い出来るかと思いますが、聞いてきましょうか?」
「うん、お願い」
「おいおい嬢ちゃん、ギルマスに何の用だ?」
「さて、要点を纏めておかないと。交渉材料はどうしようかな。最悪神器や宝器で釣っても良いかもだけど…さすがに神器は神に怒られそうだしなぁ…」
「おい、聞いてんのか!」
「〔固定〕…身の程を弁えろ、愚者が」
「お待たせしました、お会い出来るそうなので、上へどうぞ」
「それ、片付けておいて」
「かしこまりました」
私は受付横の階段を上がり、2階にあるギルマスの部屋へむかった。
「コンコンッ…入ってもいい?」
「ああ、構わん」
「お邪魔しまーす」
「それで、傭兵ギルド1位の奴が俺に何の用だ?」
「傭兵ギルドの支部を西部に置く許可をくれない?」
「西部に?別に構わんが…あそこに良い人材がいたか?」
「西部の所有者になってさ。折角だから、治外法権濫用して開拓しまくりたいんだよね」
「なるほどな。だが、西部に人が集まるとは思えんぞ」
「ああ、そこは大丈夫。ちょっとそこの仕組みだけ合わせておきたくてさ。
今度魔道具作るから、ここのギルドと合併してくれない?」
「話してみろ」
「作ろうとしているのは、依頼を整理して、共有する。で、どっちかのギルドでクリアした依頼は自動的に記録、報酬が振り込まれるって感じ」
「まぁ、確かにそれなら管理が楽になるか…わかった。本当にその魔道具とやらが作れるってんなら、合併を許可しよう」
「あと、こっちの傭兵ギルドのギルドマスターは既に決まってるんだけど、合併の際の本部はそっちで、支部はこっちっていうのはそのままにして」
「話し合いは対等、表向きはこっちが上ってことか」
「そういう感じ。じゃ、私はこれで」
「ああ、ちょっと待て」
「なに?」
「お前、聞いたところによると鍛冶も出来るんだってな?」
「うん、神器から一般的な量産武器まで、なんでも作れるよ」
「依頼するから俺の武器をいくつか強化してくれねぇか?」
「うーん、見ても良い?」
「ああ、これだ」
「こんにちは」
「こんにちは。このような僻地へ、嬢ちゃんみたいなのがよう来なさったな」
「お爺さんの真似はしなくて良いよ…ダークエルフ」
「人間にとって儂は爺の歳だからの。こうして偽装しているんだ。
それで?俺に何の用だ?見てのとおり、俺の力じゃあこの地に植物を作り出すのは無理でな」
「商会の創立メンバーに君を招待する。屋敷に来てちょうだい」
「拒否権がまるでない言い方だな」
「精霊と土地の再生。したいなら、屋敷に来なさい」
「…お前にそれができると?」
「精霊は相談してみないと分からないけど、少なくともこの土地を再生させるのはできる」
「…わかった。すぐに向かえばいいか?」
「1時間後に招集を掛けているから、それまでに来てくれたらいい」
「わかった、1時間後だな」
「うん、それじゃ。〔転移〕」
実際、精霊の問題は出来るかどうかがまだ分からない。精霊は基本的に、自然豊かな地にしか訪れない。
それもそのはず、精霊に宿る霊力は、自然豊かな土地にのみ生まれる聖素が基盤になるからだ。
そのため、西部全域を聖域へと変化させるか、もしくは土地を再生させて自然豊かにするか…その選択肢しかない。
「ここは神に相談しないとね。さてと…ここからは気を引き締めないとね。傭兵ギルド現ギルドマスターに会わないとだし」
「…あ!鳴海様!本日はどうされました?」
「ギルドマスターは居る?」
「現在上で事務作業中です。面会はこの後予定にないのでお会い出来るかと思いますが、聞いてきましょうか?」
「うん、お願い」
「おいおい嬢ちゃん、ギルマスに何の用だ?」
「さて、要点を纏めておかないと。交渉材料はどうしようかな。最悪神器や宝器で釣っても良いかもだけど…さすがに神器は神に怒られそうだしなぁ…」
「おい、聞いてんのか!」
「〔固定〕…身の程を弁えろ、愚者が」
「お待たせしました、お会い出来るそうなので、上へどうぞ」
「それ、片付けておいて」
「かしこまりました」
私は受付横の階段を上がり、2階にあるギルマスの部屋へむかった。
「コンコンッ…入ってもいい?」
「ああ、構わん」
「お邪魔しまーす」
「それで、傭兵ギルド1位の奴が俺に何の用だ?」
「傭兵ギルドの支部を西部に置く許可をくれない?」
「西部に?別に構わんが…あそこに良い人材がいたか?」
「西部の所有者になってさ。折角だから、治外法権濫用して開拓しまくりたいんだよね」
「なるほどな。だが、西部に人が集まるとは思えんぞ」
「ああ、そこは大丈夫。ちょっとそこの仕組みだけ合わせておきたくてさ。
今度魔道具作るから、ここのギルドと合併してくれない?」
「話してみろ」
「作ろうとしているのは、依頼を整理して、共有する。で、どっちかのギルドでクリアした依頼は自動的に記録、報酬が振り込まれるって感じ」
「まぁ、確かにそれなら管理が楽になるか…わかった。本当にその魔道具とやらが作れるってんなら、合併を許可しよう」
「あと、こっちの傭兵ギルドのギルドマスターは既に決まってるんだけど、合併の際の本部はそっちで、支部はこっちっていうのはそのままにして」
「話し合いは対等、表向きはこっちが上ってことか」
「そういう感じ。じゃ、私はこれで」
「ああ、ちょっと待て」
「なに?」
「お前、聞いたところによると鍛冶も出来るんだってな?」
「うん、神器から一般的な量産武器まで、なんでも作れるよ」
「依頼するから俺の武器をいくつか強化してくれねぇか?」
「うーん、見ても良い?」
「ああ、これだ」
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる