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72話
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「いよーし!着いた~!こっちの大陸だとお金ってこれじゃないよね?」
「うむ、違うな」
「じゃ、まずは適当に資金集めでもしようかな。冒険者ギルドとかってあるの?」
「冒険者ギルド?はよく分からんが…主なら腕っ節で稼げるだろうから、傭兵ギルドに入れば良い」
向こうの大陸での冒険者ギルドがこっちの傭兵ギルドと同等の扱いなのかな?
「じゃ、そこに連れて行って」
「その前に…私と手合わせしろ。やはり、貴方に我が師匠が負けたとは思えん」
「…あ?」
その瞬間、一瞬にしてその場の空気が変わった。
周りの者は指一本触れられず、彼女の殺気の混じった威圧だけで恐怖を覚える。
彼女が一歩、また一歩と歩く度に、近づかれた者はその重圧に耐え切れず、その場に膝を落としていった。
「かかってこい。すぐに終わらせてやる」
英雄王額に手を向け、ボソッと終わった…と呟いた。
そして、その弟子が恐怖を持ちながらも剣を構えた瞬間、空間が停止した。
「勝てる相手、勝てない相手…逆らってはいけない相手…見極めることは大切だが、なによりもそれを本能が察知することが多い。
純粋に魔力量や、相手の気配…お前の師匠ならばこのような不埒な真似はしなかっただろうな。
だが、貴様は師匠の顔も立てず、自分勝手にこのような真似をした…お前の得物で戦ってやろう。
加減はしてやるが、腕の一本程度消えても知らぬぞ」
そういった瞬間、彼女は大太刀を取り出した。すると、辺りには先程の重圧は消えた代わりに、緊張感が一気に走った。
「さぁ、かかってこい」
彼女と弟子は約10m程しか距離が空いていないが、弟子が一歩に近付く度に、彼に死の気配が近づいていくのが分かった。
しかし、それを分かったとしても、誰も彼を止めることは出来なかった。一歩近付けば、彼女に斬られること明白だったからだ。
「…〔至高の一太刀:一閃〕」
緊張が走るその空間内に、ほんの一瞬、強者でも感知できるか分からぬほどの一瞬だけ、殺気が現れた。その瞬間、誰も彼女が刀を抜いたことは見えず、ただ、弟子が斬られたことだけが、分かった。
「…ゴハッ…なっ、いつの、まに…」
「英雄王、弟子が居るならば躾くらいはしておけ」
「…はっ、申し訳ありません。
(…やっぱ言った通りになったじゃねぇか…てか、俺が戦った時より、もっと強くなってやがる…この短期間で何があったんだよ…)」
彼女は刀を鞘に戻すと、気持ちを切り替えていつもの彼女に戻った。
「…さ、傭兵ギルドに行こっか!」
「あ、ああ」
英雄王の案内のもと、傭兵ギルドに向かうと、全員が一斉にこちらを睨みつけてきた。
「おいおい、嬢ちゃん。場所を間違えてないか?」
「ばっ、お前やめっ…」
彼女は瞬時にどうすれば良いか理解し、その場を威圧した。
「この程度の威圧でも、動ける者は居ないのか。傭兵というのも、所詮は飾り言葉か?」
彼女はゆっくりと、堂々と受付の前に歩いていき、受付にて傭兵の登録を行った。
「登録を」
「は、はい!」
「主、そろそろ威圧を…」
「もう!なんで男って女性ってだけでなめてかかるのかなぁ…」
「あ、主が可愛いから守ってやりたくなるんだよ」
「そう?嬉しいことを言ってくれるじゃん」
「こ、こちらの書類に記入をお願いします」
書類には、名前と特技、職業の欄しかなかった。
「これだけで良いの?」
「傭兵ギルドは強い奴を迎えるだけだからな。結局は、犯罪者も傭兵になれる。
まぁ、受付はほぼ全員強いから早々舐めた真似をする奴は居ねぇが…」
「そうなんだ。受付さん、特技って言うのは?」
「えっと、ほとんどの方は魔法ならば魔法欄に丸を付けて、属性を。
物理ならば攻撃に丸をつけて、得物を書きます。
あと、稀に居ますが四大属性以外の属性持ちや、特殊能力持ちはその他の欄に書かれますね。
ちなみに、登録の際に使うだけで、以降受付の私達を含め、本人が許可しなければその能力は誰も見ることができません。
あくまで、傭兵の身分証に記録されるだけですので」
「じゃ、全部書いてもいいかな」
私は四大属性を含め、全ての事項に丸を付けた。
「書き終わりましたら、こちらの魔道具に紙を入れてください」
「えっ…この炎に?」
「はい。この炎が情報を整理してタグを作成します。
また、この紙は特殊で、嘘を記入すればタグは出てきませんのでお気をつけください。
固定初期ランクは存在せず、炎から出てきたタグの色にて、ランクが決まります。
最低ランクはブロンズ、そこから順に、
シルバー、ゴールド、プラチナ、ミスリル、ブラックとなります。
この場に居る殆どの傭兵はブロンズかシルバーですね」
「ふーん…」
「タグの更新をするには、多くの依頼を受けて実績を作る必要があります」
「まぁ、それはどこも同じだね。っと、出てきた」
「これで登録が完了です。
受けたい依頼があれば、それにタグの先端をつけて頂ければ受理されますので、受付に寄るのは依頼完了時か、素材を売りたい時、あとは依頼を出したい時のみで大丈夫です」
「うむ、違うな」
「じゃ、まずは適当に資金集めでもしようかな。冒険者ギルドとかってあるの?」
「冒険者ギルド?はよく分からんが…主なら腕っ節で稼げるだろうから、傭兵ギルドに入れば良い」
向こうの大陸での冒険者ギルドがこっちの傭兵ギルドと同等の扱いなのかな?
「じゃ、そこに連れて行って」
「その前に…私と手合わせしろ。やはり、貴方に我が師匠が負けたとは思えん」
「…あ?」
その瞬間、一瞬にしてその場の空気が変わった。
周りの者は指一本触れられず、彼女の殺気の混じった威圧だけで恐怖を覚える。
彼女が一歩、また一歩と歩く度に、近づかれた者はその重圧に耐え切れず、その場に膝を落としていった。
「かかってこい。すぐに終わらせてやる」
英雄王額に手を向け、ボソッと終わった…と呟いた。
そして、その弟子が恐怖を持ちながらも剣を構えた瞬間、空間が停止した。
「勝てる相手、勝てない相手…逆らってはいけない相手…見極めることは大切だが、なによりもそれを本能が察知することが多い。
純粋に魔力量や、相手の気配…お前の師匠ならばこのような不埒な真似はしなかっただろうな。
だが、貴様は師匠の顔も立てず、自分勝手にこのような真似をした…お前の得物で戦ってやろう。
加減はしてやるが、腕の一本程度消えても知らぬぞ」
そういった瞬間、彼女は大太刀を取り出した。すると、辺りには先程の重圧は消えた代わりに、緊張感が一気に走った。
「さぁ、かかってこい」
彼女と弟子は約10m程しか距離が空いていないが、弟子が一歩に近付く度に、彼に死の気配が近づいていくのが分かった。
しかし、それを分かったとしても、誰も彼を止めることは出来なかった。一歩近付けば、彼女に斬られること明白だったからだ。
「…〔至高の一太刀:一閃〕」
緊張が走るその空間内に、ほんの一瞬、強者でも感知できるか分からぬほどの一瞬だけ、殺気が現れた。その瞬間、誰も彼女が刀を抜いたことは見えず、ただ、弟子が斬られたことだけが、分かった。
「…ゴハッ…なっ、いつの、まに…」
「英雄王、弟子が居るならば躾くらいはしておけ」
「…はっ、申し訳ありません。
(…やっぱ言った通りになったじゃねぇか…てか、俺が戦った時より、もっと強くなってやがる…この短期間で何があったんだよ…)」
彼女は刀を鞘に戻すと、気持ちを切り替えていつもの彼女に戻った。
「…さ、傭兵ギルドに行こっか!」
「あ、ああ」
英雄王の案内のもと、傭兵ギルドに向かうと、全員が一斉にこちらを睨みつけてきた。
「おいおい、嬢ちゃん。場所を間違えてないか?」
「ばっ、お前やめっ…」
彼女は瞬時にどうすれば良いか理解し、その場を威圧した。
「この程度の威圧でも、動ける者は居ないのか。傭兵というのも、所詮は飾り言葉か?」
彼女はゆっくりと、堂々と受付の前に歩いていき、受付にて傭兵の登録を行った。
「登録を」
「は、はい!」
「主、そろそろ威圧を…」
「もう!なんで男って女性ってだけでなめてかかるのかなぁ…」
「あ、主が可愛いから守ってやりたくなるんだよ」
「そう?嬉しいことを言ってくれるじゃん」
「こ、こちらの書類に記入をお願いします」
書類には、名前と特技、職業の欄しかなかった。
「これだけで良いの?」
「傭兵ギルドは強い奴を迎えるだけだからな。結局は、犯罪者も傭兵になれる。
まぁ、受付はほぼ全員強いから早々舐めた真似をする奴は居ねぇが…」
「そうなんだ。受付さん、特技って言うのは?」
「えっと、ほとんどの方は魔法ならば魔法欄に丸を付けて、属性を。
物理ならば攻撃に丸をつけて、得物を書きます。
あと、稀に居ますが四大属性以外の属性持ちや、特殊能力持ちはその他の欄に書かれますね。
ちなみに、登録の際に使うだけで、以降受付の私達を含め、本人が許可しなければその能力は誰も見ることができません。
あくまで、傭兵の身分証に記録されるだけですので」
「じゃ、全部書いてもいいかな」
私は四大属性を含め、全ての事項に丸を付けた。
「書き終わりましたら、こちらの魔道具に紙を入れてください」
「えっ…この炎に?」
「はい。この炎が情報を整理してタグを作成します。
また、この紙は特殊で、嘘を記入すればタグは出てきませんのでお気をつけください。
固定初期ランクは存在せず、炎から出てきたタグの色にて、ランクが決まります。
最低ランクはブロンズ、そこから順に、
シルバー、ゴールド、プラチナ、ミスリル、ブラックとなります。
この場に居る殆どの傭兵はブロンズかシルバーですね」
「ふーん…」
「タグの更新をするには、多くの依頼を受けて実績を作る必要があります」
「まぁ、それはどこも同じだね。っと、出てきた」
「これで登録が完了です。
受けたい依頼があれば、それにタグの先端をつけて頂ければ受理されますので、受付に寄るのは依頼完了時か、素材を売りたい時、あとは依頼を出したい時のみで大丈夫です」
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