転生結界師―学園で無双する―

1章 学園

19話 火の霊殿

「あー、てか…こっちに来たからもう良いが…折角あそこまで行ったんなら、風の力も渓谷で手に入れたら良かったかもなぁ…」
«む、全属性を手に入れるつもりなのか»
「ああ、あるに越したことはないだろ？」
«ふむ、それもそうか。我らは他の属性が使えぬ分、あまり考えたことはないが…»
「えっ、使えないのか？」
«その代わりといってはなんだが、我ならば"冥夜の帝王"という闇の力を増幅させる称号を持っているのだ»
「へぇ…ちなみに効果は？」
«闇の力を使用する際に発動する称号で、威力増幅、消費魔力減少、詠唱破棄、闇の力の支配と無効化、リスク無しの多重詠唱と並列思考、あとは弱点の無効化とあらゆる敵に対して弱点を増やすというものだ»
「お、おお…もう…って、あれ？それって他の属性も一緒だよな？
じゃあなんでお前らあんなに俺の魔法に苦戦したんだ？」
«我らの力を吸収して増幅したからだな。無効化というのは敵の攻撃に対してなのだ。
つまり、自身の魔力で構成されたものは無効化できぬ。
初めは無効化できたが、我ら龍は基本的に自身の領域を創り出して戦闘するのだが…
あの時、咆哮によって辺りを闇の領域にしようとしたが、その瞬間にその全ての魔力を吸収されたのだ»
「なるほど？…っと、着いたようだな。さぁ、それじゃあ入ろう」
«…む？主よ、どうしたのだ？…っと、お主らも主と契約したようだな»
«赤の、久しいな»
「じゃ、俺は霊殿に行くから3人は久しぶりに話しでもしたら良い」
«む、霊殿に用があるのか…すまぬ、今霊殿を開けることは出来ぬのだ»
「え、そうなのか？」
«うむ。現在火の霊殿は最上位の火精霊であるイフリートにより、道を拒まれておる。
その為、入ることすら出来ぬのだ»
「うーん…まぁ、それじゃあ一応見るだけ見に行ってみるよ」

レイドはそう言って記憶を頼りに霊殿への道を進んで行った。

「なぁ、シルフィード。イフリートについてなにか知らないか？」
『ん、バカンス中。多分何処かの海で遊んでる。
暑苦しいけど、良い奴』
「そうか…んー、これって呼んでもいいのか？」
『怒ると思う。イフリート、男色家だか多分今男漁りしてるから』
「ふぅむ…まぁじゃあ、それ以外の精霊と契約すれば良いか」