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2章 商業都市

131.

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「お、本当に着いた」
 〖あら、ここは…え、聖域が出来てる?それにこの力…まさか、そんなはずは…〗
「俺と俺の仲間は天使の力を扱えるから、拠点はとりあえず聖域化させてあるんだ。
 それとさ、龍によって朽ちてしまった神霊樹が…って話があったが、その龍ってのは地龍か?」
 〖ええ、地神龍ガイアドラゴンの子孫がね…〗
「やっぱりな…てか、そもそも地龍は何故神霊樹を盗んでまで、それを隠したんだ?」
 〖地龍は恐らく、その血筋が覚醒してガイアドラゴンの力を一部継承していたのよ。
 だけれど、地神龍の持つその力は神を象徴する権能の力だったから、恐らくその力に耐えきれず、暴走するの。
 その為、神霊樹の浄化の力で自身の狂暴化を抑え込み、延命をしていたのだと思うわ〗
「なるほど、だから天地開闢後の地面にこの神霊樹が残っていたのか…〔解除〕」
 〖!そ、そんな…まさか、神霊樹がまだ残っていたなんて…旅人、この木を保護してくれてありがとう〗
「いいや、この木は不思議と気が楽になるからな。俺もこの庭に植えた時から、共存しているんだ」
 〖早速精霊王を呼んでも良いかしら!〗
「ああ、問題ない」

 その返事を聞くや否や、空間の精霊王はその場にゲートを開いた。
 すると、そのゲートから炎や水の肉体を持つ者や肉体の一部が岩となっている者、他にも色んな特徴を持った者らがわらわらと出てきた。

 〖火の精霊王、水の精霊王、風の精霊王、土の精霊王、雷の精霊王、氷の精霊王、光の精霊王、闇の精霊王、大樹の精霊王、時間の精霊王…まだ居るけれど、今日集まったのはこの精霊王達よ〗
「よろしく。俺のことはなんとでも呼んでくれ」
 〖うむ、うむうむ…人の身にして、そのような力を共存させるとは…それに、そこの建物の地下…火の精霊が住んでおるな?〗
「さぁ…俺は精霊が見えないから、現身を持っている精霊王はともかく、他はわからん」
 〖ふむ?霊力を持っていてなお、霊眼を持っていないのか。少し目を瞑れ〗

 火の精霊王に言われたとおり、目を瞑ってみると、火の暖かさが目の周りに集まりだした。

『火の精霊王より、霊力の覚醒を援助されました。
 これにより、〔霊眼〕を獲得。
 また、精霊王の存在力の影響により、霊眼が〔精霊眼〕に進化。
 精霊眼、心眼、天眼が複合し、〔聖瞳〕を獲得。
 精霊王の祝福を獲得。
 精霊王の加護を獲得』
「祝福と加護も良いのか?」
〖ああ、問題ない。お前は知らないから、先に説明しておくが、精霊が人間に近寄らないのは、魂を見ることができるからだ。
稀に人間の中で精霊と契約するものが居るが、それは魂が清らかであるからだ。
だが、この世界の侵入者…女神の眷属は嫌な魂をしているからな〗

なるほど…だから人間は王国スタート、エルフやドワーフなんかは別の場所で最初のログインを迎えていたのか…

〖これで目的も果たせたし、これからはここにいつでも来れるだろうから、俺はこれで〗
〖それで、転移の魔法陣を作りたいのよね?
そうねぇ…転移の原理としては、空間を2つ把握し、その2つの空間を繋げるというのが転移というもの。
その為、空間と空間の間に存在する3つ目の空間はあまり関係がなく…そうね。例えるなら…ここに火の玉が2つあるわね
転移は、この火の玉同士を魔力で繋げ、火の流れを伸ばす。これを転移と言うわ〗
「なるほど…ちなみに使う属性は?」
〖これも同じく空間の属性よ。そうね、空間属性を持っている天使が居るようだき…分からないことがあれば彼も教えられる筈だけれど、貴方は感応力が強いし、ひとまずは空間の属性に触れてみましょう〗

彼女から放出される空間の霊力を感知した後、その力に干渉する様感じたままに霊力を外に放出した。

「むっ…んー…こう、か?」
〖これが空間属性で初めに覚える空間把握の魔法よ〗
「なるほど、何となく理解した。となると、テレポートは…目視、というより…感応している空間内の中に霊力を設置して…その場所に…〔テレポート〕」
〖流石ね、もう扱えるとは〗
「まだ慣れないから、少し時間は必要だがな」

彼は次の魔法を試すためか、一度目を閉じたあと、家の庭をイメージしながら空間の属性霊力を放出したあと、その場所を聖瞳で霊力の有無を確認した。

「ふむ…空間属性の霊力は、感応した場所に自然と霊力が生まれるのか?」
〖半分正解で半分不正解、といったところかしら。
空間属性の霊力は、感応した場所に霊力を生んでいるのではなく、霊力をその場所に放出して感応しているのよ〗
「ああ、感応している時点で霊力を既に使っているのか。なるほど、空間把握…そういうことか。
なら、座標転移ってのは指定した座標を書き込んだ時点でその場所に霊力が生み出されるってことか?」
〖正解よ〗
「なるほど…こういった原理で…よし、なんとかなりそうだ。ありがとう、これで魔道具が作れる」
〖良いわよ。私も定期的にここに来させて貰うし〗
「ま、それは問題ない。精霊にとっても魔物にとっても、神霊樹の浄化の力は欲しい力だろうし」
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