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2章 商業都市

78.

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「えーっと、教会は…あ、ここ…か?」
《なぁなぁ、教会ってなんだ?》
「宗教っていう、神を信仰している人間たちが神に祈りを捧げるために作り上げた場所、もしくは建物のことだ」
《神?》
「うーん、そうだな。色々と諸説はあるが…この世界を初めとした、あらゆるものを創り出した超越的存在、みたいなものかな。
特に、この教会は知り合いによると商業の神らしい」
《商業…》
「物を売買することで利益を出すことだな。
例えばほら、あそこの屋台の人は肉串を売ってるだろ?」
《ああ、美味そうな匂いをしてるな》
「あの食べ物に対して値段をつけて、客はその値段分を支払って食べ物を得て、売主はお金を貰う。
これが、商売で、こういった商売を総称して商業って言うんだ」
《なるほど》
「まぁ、取り敢えず入るか」
《ああ》

そう言いながら壱晴は肉串が美味しそうだったのかヨダレを垂らしながらずっとそっちを見ていた。

「…先に買ってから行こうか」
《良いのか!》
「おっちゃん、3本ほど包んでくれ」
「はいよ!」
《美味そうだなぁ…》
「こいつは特製のタレが美味いんだ」

味再現出来たら良いんだけどなぁ…まぁ、食べてみて…

「じゃ、行くか」
《おう!》

俺たちは肉串を食べながら教会に入っていった。

「祈りを捧げますか?」
「いや、えーっとな、ちょっと待ってくれよ。名前を思い出す…誰かに会いに来たんだが…ああ、そうそう。
セシリア・オーウェンとリカルド・オーウェン。その2人に会いに来た」
「…申し訳ありませんが、予約の方は…お二方はお忙しい方ですので」
「ああ、そうか。じゃ、この手紙だけその2人に渡しといてくれ。2人の知り合いから渡せって言われたから」
「…はぁ」
「んー、ついでに祈りだけやってくか。俺もそうだがお前にも一応関係あるだろ」
《そうなのか?》
「だって俺ら天使の一部を引き継いでるだろ?
仕える神は居ないが、一応天使ってのは誰かしらの神に仕えてるらしいからな」
「!?(えっ、この2人天使なのですか!?)」
《そういうもんなのか。じゃ、その祈りってやつだけやるか》
「ああでも、もし神に話しかけられても勧誘とかは全部断ってくれよ」
《もちろんだ、マスター》

壱晴と共に商業神の前で祈りを捧げると、壱晴と精神体の大天使が共鳴したのか、スキルは発動せずとも、自身にも大天使化の時の天翼が出てきた。

「…うん?うおっ…な、なんだここ…」
〖お待ちしておりました、開拓者よ〗
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