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1章 始まり

23.

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「ただいま」
「おかえりなさい。先日は黒狼の納品ありがとうございました。精算は既に終了しておりますので、こちらをどうぞ」
「おう、ありがとうな。あーそれと、ちょっと聞きたいことがあるんだが…」
「次も訓練ですか?」
「いや、昨日の夜のことなんだが…昨日って満月の夜だったか?」 
「ええ、快晴で星がよく見えた夜でしたよ?」
「なるほど…となると、黒王狼の出る条件は…夜の…」
「ま、待ってください!まさか、黒王狼に出会ったのですか!?」
「ああ。そうだが…知り合いなのか?」
「ええ。ですが、この仕事についてからは忙しくお会いできておらず…もしよろしければ、伝言を頼みたいのですがよろしいですか?
あ、勿論依頼となりますので報酬は…」
「いや、報酬は要らないぞ。フレンド登録をしてあるしな。それで、伝えたいことって?」
「長年お会いできず、申し訳ないと」

[おい、身勝手なバカ狼]
[ガウッ!?]
[受付嬢さんから伝言だ。長年会いに行けずに申し訳ないだとよ]
[グルル]
[はぁ?なんで俺が…]
[ガウッ]
[俺にメリットがねぇよ]

「どうですか?」
「あー、ちょっと待ってくださいね」

[グルル…ガウガウ]
[まぁ、その条件なら…]
[グルル]
[はいはい]

「受付嬢さん、黒王狼から伝言。3日後の満月の夜に平原で待っているってさ。
道案内も頼まれたから、夜に迎えに来る」
「ほ、本当ですか!」
「ああ」

さてと、次は…服屋かな。

「カランカランッ…集めてきたぞ」
「待ってたよ。どれどれ…うん、品質もかなり良いね。ほら、報酬だよ」
「おう」

『クエスト〔狼の毛皮を納品〕をクリアしました』

「あ、そうだ。2つほど聞きたいことがあるんだが今時間いいか?」
「ああ、大丈夫だよ」
「とりあえず1つ目。毛皮のマントってどうやって作ったら良いんだ?」
「ん、そうだねぇ…毛皮の方に伸縮性の高い皮を縫い付けるって感じだね」
「なるほど…」
「でも、あんたの場合マントも良いけど…この首の部分を使った仮面みたいな帽子を作るってのも手だね。その体の刺青が映えるようにね」
「ああ、なるほど…」
「それに、マントにしたら動きにくいだろう?特殊効果を付けたいなら、マントは黒狼は闇だから隠密とかは着くかもしれないけど…多分帽子でも同じようになるよ?」
「そうなのか?」
「ちょっとは変わるかもしれないけどね。まぁ、試してみないことには…」

うーん、狼の仮面か…確かにそっちの方が良いかもな…

「でもなぁ…うーん…」
「…ああ、なるほど。もしかして羽織が欲しい?」
「羽織?」
「色々とあるけど…そうね、例えばフード付きにして…上半身まで、もしくは機動力を考えて脇腹までみたいに…こんな感じ?」
「…これ、良いな。うん、これが作りたい」
「なら、生地を作ってから…その生地に合わせて…うん、今回は一緒に作ってみる?」
「いいのか?」
「もちろん」
「ちょ、ちょっと待っててくれ。デザインを考えてくるから、それが出来次第頼む」
「分かったわ」
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