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1章 始まり

22.

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「さてと…とりあえずこれで一体だが…血の匂いに釣られて随分とモンスターが集まってたなぁ…平原の奥だからかスライムとかは居ないがレベルの高めな兎と狼が結構多かったな。
 だが、それでも緑狼は居なかったし…もしかして、狼の上位種ってこの間の黒王狼が呼び出すみたいなこといがいでは、フィールドに一体しか存在しないのか?だとしたら探すのが面倒くさそうだが…お、あの地形…ここら辺を見渡せそうだな」

 山なりになっている地形の所まで登り、平原のフィールドを見渡していると、緑狼はやはり殆ど居なかった。

「…うーん、見つけたは良いが…誰かと戦闘中か…うわ、しかも結構剣で斬ったりしてる…ありゃあ素材がダメになるな。
 となると、もう1匹出るのを待つしかないか…
 出現条件が分かれば少しは楽になると思うんだがなぁ…ま、気長に待つとするか…って、さっきのパーティやられてるし…にしても、平原のフィールドだけでもめちゃくちゃ広いな…前行った鉱山が思ったよりも遠くでこっからだと見えん…
 あれ、緑狼が消えた…デスポーン?ててことは、何か条件があるのか?
 うーん…って、またリスポーンした…今度は別の場所か…近くにプレイヤーは…居ないな。
 じゃあ、あれは俺が貰いに行こう」

 俺は見つけた緑狼のもとへ走っていくと、道中ちらほらとプレイヤーが見えた為、念の為に顔を隠すように狼の毛皮を被った。

「撮影許可は…オフにしておかないとな。ただ、勝手に盗撮される場合があるのがなぁ…見つけたら通報できるが、その間に噂自体は広まるし…まぁ、唯一の救いは動画のダウンロードができないことか…その動画を更に撮影するってのも出来ないらしいしな…ま、顔は映ってないし普段の俺とは違うから良いか。
 てか、そうか…どうせソロプレイするなら、見た目を決めといた方が分かりやすいか。
 そしたら、無為に誘われる心配もないし…うん、今度からはコンセプトに従った装備を作ってみるか。顔を隠せるやつで」

顔が映らないようにした状態で、撮られたとしてもその状態でソロプレイと公表すれば誘われることはなくなるはず…ま、無理に誘ってくるなら決闘すれば良いだろ。

「さぁて…俺の緑狼はっと…見つけた。今度は逃がさねぇぞ」

俺はその緑狼の周りにいる平原狼を残り1匹になるまで直ぐに片付けた。

「さて、平原狼を全滅させると逃げるなら…お前の近くで残り1匹を倒せば良いんだろ?」

平原狼の攻撃を上手く誘導しながら、緑狼の近くで倒した後、緑狼が遠吠えを始めた瞬間に俺は懐に潜り込んだ。

「あごががら空きだぞ、犬っころ」
«!?、キャウン!…»

…なるほど、こうやって戦えばいいのか。これなら皮をあまり傷付けずに倒せるな…

「はぁ…条件は分かったが…俺の分も含めたらもう何体か倒さないとなぁ…って、あれ?緑狼がどこにもリスポーンしてない…なんでだ?」

太陽を見る限りまだ昼間だからいると思ったんだが…

「って、まさか…緑狼は太陽が丁度真上に登る真昼しか出てこない?てことは、黒狼は…真夜中の月が真上を通る時…か?だが、だったら黒王狼は…そういえば…昨日って…確認してみるか」

俺は緑狼の捜索を諦め、一度冒険者ギルドに戻ることにした。
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