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1章 始まり

21.

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「余裕、ではあるとは思うが…うーん、そもそも平原で見かけないんだよなぁ…夜になると、逆に兎やスライムは殆ど見かけないしな…なんか出現条件とかあるのかね」

 俺は平原を散策しながら、レベル上げをしていたが、服屋の言っていた緑狼は未だに出会わなかった。

「そろそろ真昼くらいかなぁ…太陽が真上だ」
 «アォォォン!»
「…おぉ!この声は狼の声!…って、不意打ち!?あぶねっ…」

 あっぶねぇ…避けれたはいいが…どういうことだ?狼種は不意打ちが無くなったんじゃ…

 〔緑狼〕
 日中の平原に稀に出現する狼系統の上位種。
 風の能力を持っていて、高速で動きながら敵を翻弄することもできる。
 また、狼種はお互い縄張り意識が強い。

「ってことは、黒狼の戦友はこいつにはいかないのか…ただ、他の狼には効くところを見るに、夜の平原の狼と日中の平原狼、あとはボス狼か…特定の属性にとっ筆している上位種以外ならこの称号は有効ってことだな。
 じゃあ、謎もわかったことだし…早速戦ってみるか!
 あ!だが、風魔法にだけは常に警戒しておかないとな…
 あれは実戦は初めてだし…」

 取り敢えず、平原狼から削るか。数は…黒狼の時と同じく4体か。
 こっちの狼の方が弱いから、出来れば一発で仕留められたら楽だか…

「っらァ!よし、タイミングを見計らってぶん殴る!
 これが一番だな!
 てか、こいつの装備作ったら俊敏系の強化装備が作れそうだな。
 となると、足装備とかはこっちの方が良さそうだ」
 «グルルッ…»
「お、全員倒せた…あれ、もう逃げるのか!?まだ攻撃していないが…って、早!こりゃ時間が掛かるほど逃げられるぞ…
 なら、投擲物は…んー…うん、ない!仕方ない、〔組み立て〕!」

『難易度を選択してください』
「当然、Hellモードだ」
『組立パズルを開始いたします。制作するものを選択して下さい』
「投槍」
『灰狼の牙を消費し、装備名〔灰狼の投槍〕を制作します。
 制限時間は5分です』

 俺はその合図と共に、間違いのないよう慎重に、かつ素早くパズルを組み立てていった。

『組立成功。難易度ボーナスを付与。
 〔灰狼の投槍:☆5〕』

「よし、野球は少ししかやった事ないが…
 この距離ならちょっと上を狙えば当たるだろ…っと!」

 俺が槍を狼に向けて投げるとその槍は狼の首を貫いた。

「うわ、最悪だ。これじゃあ皮が台無しになるな。
 うーん、倒せたはいいがどうやれば傷をあまり付けずに倒せるんだろうな…囲い込む…のは平原で無理だし、最後の1匹を倒した瞬間に、叫んだあと逃亡になるから、そのタイミングで捕縛するか?となると縄が必要だが…売ってるかなぁ…取り敢えず、首から上はなしで解体だけ済ませるか…」
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