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Perspektive wechseln 14

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「エドワード」


   支給品をいくつか選び取っていると名前を呼ばれて振り返る。すると同僚が手招きをしていた。


「どうした?なーんか隊長が俺ら2人で公爵領に行ってくれないかだってよ。あっちの方でゴーレムみたいなのが出て人手不足なんだと。今の時期ってどうしても冒険者稼業のやつら少なくなるから」


   今の時期は農作物の収穫のクエストで冒険者の数が減る。加護によって農作物の成長を早めたり、止めたり調節をして年に多くて6度ほどこのように人手不足に陥ってしまう。それは分かる。だが問題はそこではない。気になるのはひとつ。


「…公爵領、か」

「どうした?」


   ふと公爵領方面に帰っていく冒険者の装いの彼女が脳裏をよぎる。まさか、な。ゴーレム討伐に巻き込まれているわけなんてないだろう。


「いや、何でもない。隊長に了解と伝えておいてくれ。俺が馬を連れてくる」

「ん、りょーかいっ。任せたわ」


   愛馬と同僚の愛馬を引っ張って門の外まで連れてくると彼は既に隊長の元で新たな指示を貰ってきたようだった。


「隊長はなんて?」

「ギルドにて状況確認の後に対話鏡で報告。そのまま現場にいって討伐出来そうならして難しそうなら一時離脱。討伐達成次第帰ってきていいとさ」

「なかなか面倒くさそうな任務が回ってきてしまったな…」

「だよねー、それ俺も思った」


   愛馬を撫でてると擦り寄ってくる。ひとしきり撫で終えて背に乗ると俺と同じように愛馬に乗ったゼフィーがいくかと笑いかけてきた。


「おう、いくか。公爵領までよろしくエリー」


   愛馬を馬上から撫でるのを合図に王都の道を駆ける。流石長年のパートナーと言った所だろうか。手綱を握ぎらずとも進んでくれる愛馬に感謝しながら、剣の手入れをし直す。壊れているところはないかしっかり確認を終えた頃には公爵領で一番大きなギルドへたどり着いた。


「エリー。少し待っててくれな」


   鞄に詰め込んでいた果実を2つ地面に置いてギルドへ入る。普段より人数が少ないにも関わらずギルドの中は慌ただしく人が動き回っていた。


「これは、かなりやばいな」

「だな」


   ギルドの職員に声を掛けると数刻ほどお待ちくださいと残して去っていってしまった。


「これは暫く帰れなさそう…。まぁ、人手不足で街の人が犠牲になるよりは良いけどさ」

「騎士団員の拠点が王都だから追加で人員を呼ぶのも多少時間がかかるのも困りものだな」

「本当にな」


   戻ってきた女性の職員はいくつかの書類を手渡してきた。


「申し訳ございませんでした。王都からいらっしゃった騎士様であるのは百の承知ではございましたが、それ以上に大変な事態になっておりまして」


   渡された書類に目を通し始めると職員は失礼しますと仕事に戻っていった。書類を見ていると状況が何となく把握できた。


「なるほどなるほど、核の場所が分からないと。それが一体だけじゃない、か。何人か残ってた冒険者に声をかけてクエストを出したってわけね、でも随分とランクが…」


   これからの言葉は口にされなかった。状況の最悪さが伝わる文面に俺は顔をしかめた。

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