17 / 18
Perspektive wechseln 14
しおりを挟む
「エドワード」
支給品をいくつか選び取っていると名前を呼ばれて振り返る。すると同僚が手招きをしていた。
「どうした?なーんか隊長が俺ら2人で公爵領に行ってくれないかだってよ。あっちの方でゴーレムみたいなのが出て人手不足なんだと。今の時期ってどうしても冒険者稼業のやつら少なくなるから」
今の時期は農作物の収穫のクエストで冒険者の数が減る。加護によって農作物の成長を早めたり、止めたり調節をして年に多くて6度ほどこのように人手不足に陥ってしまう。それは分かる。だが問題はそこではない。気になるのはひとつ。
「…公爵領、か」
「どうした?」
ふと公爵領方面に帰っていく冒険者の装いの彼女が脳裏をよぎる。まさか、な。ゴーレム討伐に巻き込まれているわけなんてないだろう。
「いや、何でもない。隊長に了解と伝えておいてくれ。俺が馬を連れてくる」
「ん、りょーかいっ。任せたわ」
愛馬と同僚の愛馬を引っ張って門の外まで連れてくると彼は既に隊長の元で新たな指示を貰ってきたようだった。
「隊長はなんて?」
「ギルドにて状況確認の後に対話鏡で報告。そのまま現場にいって討伐出来そうならして難しそうなら一時離脱。討伐達成次第帰ってきていいとさ」
「なかなか面倒くさそうな任務が回ってきてしまったな…」
「だよねー、それ俺も思った」
愛馬を撫でてると擦り寄ってくる。ひとしきり撫で終えて背に乗ると俺と同じように愛馬に乗ったゼフィーがいくかと笑いかけてきた。
「おう、いくか。公爵領までよろしくエリー」
愛馬を馬上から撫でるのを合図に王都の道を駆ける。流石長年のパートナーと言った所だろうか。手綱を握ぎらずとも進んでくれる愛馬に感謝しながら、剣の手入れをし直す。壊れているところはないかしっかり確認を終えた頃には公爵領で一番大きなギルドへたどり着いた。
「エリー。少し待っててくれな」
鞄に詰め込んでいた果実を2つ地面に置いてギルドへ入る。普段より人数が少ないにも関わらずギルドの中は慌ただしく人が動き回っていた。
「これは、かなりやばいな」
「だな」
ギルドの職員に声を掛けると数刻ほどお待ちくださいと残して去っていってしまった。
「これは暫く帰れなさそう…。まぁ、人手不足で街の人が犠牲になるよりは良いけどさ」
「騎士団員の拠点が王都だから追加で人員を呼ぶのも多少時間がかかるのも困りものだな」
「本当にな」
戻ってきた女性の職員はいくつかの書類を手渡してきた。
「申し訳ございませんでした。王都からいらっしゃった騎士様であるのは百の承知ではございましたが、それ以上に大変な事態になっておりまして」
渡された書類に目を通し始めると職員は失礼しますと仕事に戻っていった。書類を見ていると状況が何となく把握できた。
「なるほどなるほど、核の場所が分からないと。それが一体だけじゃない、か。何人か残ってた冒険者に声をかけてクエストを出したってわけね、でも随分とランクが…」
これからの言葉は口にされなかった。状況の最悪さが伝わる文面に俺は顔をしかめた。
支給品をいくつか選び取っていると名前を呼ばれて振り返る。すると同僚が手招きをしていた。
「どうした?なーんか隊長が俺ら2人で公爵領に行ってくれないかだってよ。あっちの方でゴーレムみたいなのが出て人手不足なんだと。今の時期ってどうしても冒険者稼業のやつら少なくなるから」
今の時期は農作物の収穫のクエストで冒険者の数が減る。加護によって農作物の成長を早めたり、止めたり調節をして年に多くて6度ほどこのように人手不足に陥ってしまう。それは分かる。だが問題はそこではない。気になるのはひとつ。
「…公爵領、か」
「どうした?」
ふと公爵領方面に帰っていく冒険者の装いの彼女が脳裏をよぎる。まさか、な。ゴーレム討伐に巻き込まれているわけなんてないだろう。
「いや、何でもない。隊長に了解と伝えておいてくれ。俺が馬を連れてくる」
「ん、りょーかいっ。任せたわ」
愛馬と同僚の愛馬を引っ張って門の外まで連れてくると彼は既に隊長の元で新たな指示を貰ってきたようだった。
「隊長はなんて?」
「ギルドにて状況確認の後に対話鏡で報告。そのまま現場にいって討伐出来そうならして難しそうなら一時離脱。討伐達成次第帰ってきていいとさ」
「なかなか面倒くさそうな任務が回ってきてしまったな…」
「だよねー、それ俺も思った」
愛馬を撫でてると擦り寄ってくる。ひとしきり撫で終えて背に乗ると俺と同じように愛馬に乗ったゼフィーがいくかと笑いかけてきた。
「おう、いくか。公爵領までよろしくエリー」
愛馬を馬上から撫でるのを合図に王都の道を駆ける。流石長年のパートナーと言った所だろうか。手綱を握ぎらずとも進んでくれる愛馬に感謝しながら、剣の手入れをし直す。壊れているところはないかしっかり確認を終えた頃には公爵領で一番大きなギルドへたどり着いた。
「エリー。少し待っててくれな」
鞄に詰め込んでいた果実を2つ地面に置いてギルドへ入る。普段より人数が少ないにも関わらずギルドの中は慌ただしく人が動き回っていた。
「これは、かなりやばいな」
「だな」
ギルドの職員に声を掛けると数刻ほどお待ちくださいと残して去っていってしまった。
「これは暫く帰れなさそう…。まぁ、人手不足で街の人が犠牲になるよりは良いけどさ」
「騎士団員の拠点が王都だから追加で人員を呼ぶのも多少時間がかかるのも困りものだな」
「本当にな」
戻ってきた女性の職員はいくつかの書類を手渡してきた。
「申し訳ございませんでした。王都からいらっしゃった騎士様であるのは百の承知ではございましたが、それ以上に大変な事態になっておりまして」
渡された書類に目を通し始めると職員は失礼しますと仕事に戻っていった。書類を見ていると状況が何となく把握できた。
「なるほどなるほど、核の場所が分からないと。それが一体だけじゃない、か。何人か残ってた冒険者に声をかけてクエストを出したってわけね、でも随分とランクが…」
これからの言葉は口にされなかった。状況の最悪さが伝わる文面に俺は顔をしかめた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる