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フィアの欲求

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「プリンが食べたい!」

 フィアが帰宅するなりいきなり体を乗っ取り、一言発してから引っ込んだ。

「え何で?」

(正直甘い物が食べたい気分なのじゃ)

「えじゃあ甘い物でいいじゃん?」

(今食べたいのじゃよ、今、ナウ!)

 初めてフィアが必至になっているので戸惑ってしまう。

「というかどうしたの?」

(お前の記憶の漁っていたら急に食べたくなったのじゃ)

「あー飯テロにあったのか」

(そういう事じゃ、責任とれ)

(私もプリンを食べてみたいです)

 フィアの熱意に充てられたのかカルラも主張を始めた。

「というか材料とか買いに行く必要があるんだけど」

(そこじゃ、本来ならロールケーキとかフルーツのタルトとかシフォンケーキとかフォンダンショコラとかもろもろの甘い物が食べたい、じゃが今すぐ作れそうな物はプリンしかないから妥協しておるんじゃ、それにプリンの材料なら自前で精製できるじゃろ?)

「……あー出来るのか」

 確かに植物由来以外なら精製可能なので卵や乳砂糖などは精製できる、もっとも自分で作った物を摂取したところで体力を消費するだけでやろうとはしない。

「……やるか、というかどう作るんだっけ?」

 前世から今までお菓子を含めて料理を作ってきたがプリンは作ったことが無かった、というも前世ならケーキやクッキーなら検索して調べながら作ったりしていたし、今なら直感で適当に料理をしておりお菓子などは基本的に購入しているので今世ではあんまりお菓子系は作っていない。

「卵と牛乳と砂糖と……なんだ?」

 プリンを作った事が無いのでつくり方が分からない、とりあえずこの世界で広く流通している卵と牛乳、それから砂糖を精製する。

「……っ、はぁ、はぁ、うぐっ……思ったよりしんど、とりあえず全部混ぜて蒸してみるか……」

 卵をしっかりと混ぜた物に牛乳を適当と砂糖を多めに入れて混ぜるから5分ほど蒸してみる、その間に砂糖と水を混ぜた物をあぶってカラメル部分を作り上げる。

「カラメルは上手くいったけどこっちはどうだろ、もうちょい?」

 ふたを開けてみるとまだ液体が残っていたので様子を見ながら蒸していき固まるのを確認してから一気に冷やす。

「ひとまず完成かな」

「どれ、我が味見してしんぜよう」

(あ、ちょ……)

 いきなり乗っ取られて主導権を奪われしまい、そのまま勢いよく食べる。

「……甘い卵焼きじゃな」

 どうやら失敗したようだ、フィアが落ち込んで引っ込んだので食べてみると確かに前世で食べたプリンと比較すると確かに卵焼きに近かった、次は牛乳を多めにすれば大丈夫だろう。

 次は牛乳と砂糖を多めにすると上手くいった。
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