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悪魔でシスターですから

臆病者

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翌朝。

「長く寝てた気がする」
 お金を使い切る目的もあって高級な宿を利用したせいで宿を出るのが昼過ぎになってしまった。
「とりあえず、まぁ行くか……」
 軽く伸びをしてから現場に向かう、距離事態は大した事がないのでそこそこ急いで向かう。

「コレだろうね」
 貰った地図に指定されている場所と目の前の人工的な建造物で間違いはないだろう、人の気配が無いが封鎖されており、普通の人では安易に侵入できないようになっている。

「やるかぁ」
 まだ起きてからそこまで時間がかかっていない事と周りに誰もいない事であまりやる気が上がらないまま仕事を始める。
 受付の人が言っていた防御陣は遺跡に入って行く方向に関しては効果を発揮しないようで安易に遺跡の中に侵入できた、中は元々何かの施設だったようで家具だったであろう残骸がいくつか放置されている、この世界の事はよくわからないのであまり触れないようにして通過していく。
「魔物は……、いないのかな?」
 5分ほど奥へ進んでみるが討伐対象の魔物どころか生き物ですら全く見ない。
「おーい!!」
 試しに大きな声を出してみるが、変に反響するだけでそれ以外では何も返ってこなかった。
「……本当にいるのかな?」
 真っ暗な中を進んでいくので軽くホラーの探索ゲームのようで精神的にもちょっと辛くなってきた。

「何もいない、と報告になるのかねぇ……」
 隅々まで、という程ではないにしてもできるだけの捜索はしているが生き物は全く見当たらなかった。
「……うーん、一旦帰るか」
 このまま探しても見つかる気がしなかったので探索を打ち切って戻る事にした、受付の人には何と報告しようかと悩みながら来た道を戻っていく。
「普通に出れた……、本当に何も無いのかな?」
 場所を間違えた可能性もあると思ったが、封鎖はしっかりとされているし、貰った地図を見直しても場所は間違ってないようだ。
「何でだ?」
 とりあえずもう1回だけ入って軽く見てから、それでも何も無ければもう何もありませんでしたと報告するしか無いだろう。
 このまま同じように探索しても同じような結果しか得られないように気がしたので、試しに気配を消しながら進んでみる。
(いた、けど……)
 遺跡にいて人の形をしていないので、おそらくアレが討伐対象なのだろ、しかし怪我をしているかゆっくりと足を引きずっており、とても脅威には見えなかった。
 アレが討伐対象なら既に討伐されているだろうし、アレが討伐対象じゃなかったとすると、本当の討伐対象はアレに怪我を負わせた存在だろう。
(しばらく様子見で)
 気配を消すことなく探索した結果は何も遭遇しなかった事を考慮すれば下手にアレに手を出すよりもしばらく様子を見てからうごいた方が良いだろう、アレを襲った何かが出てくるならそれを仕留めればいいし、そういった存在が無ければアレを討伐すれば良いだけなのだから。
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