異世界に行って転生者を助ける仕事に就きました

不思議な動力で一気にＳＦに

行き過ぎた科学は云々…

「お帰りなさい、少し遅かったですね、もしかして向こうで食事してました？」
「まぁ、遅いと解るわな、じゃ俺らはこれで…」
先輩は大きく欠伸をした後、めんどくさそうに退出していった。

「さて、先ほどの仕事が簡単すぎて拍子抜けしたかもしれませんが、新人に回す仕事なんてこんなもんですよ、安全第一です」
確かに、いきなり世界を救って来いみたいなどこぞの王族みたいなセリフが来るのではと頭の片隅にあったがそんな事はなかった。
「あ、一応雇用形態は正社員だから福利厚生は安心してね」
異世界転生して正社員になったのはなんだか複雑な気持ちだ…。
「まぁ、確かにほとんど異世界に行って貰ってるから、休みとかは結構自由がきくわ、向こうで問題がなければ別に楽しんできても問題はないわ、というか遊んでいるかこっちからは報告書しか見れないからね」
「報告書？」
「えぇ、異世界で仕事したら、向こうでどんな事をしたのか、と依頼完遂書を異世界の転生者から貰ってね、どうしても貰えない時は記憶を見せてもらうわ、もちろん依頼関係の記憶しか読まないからその辺は心配いらないわ、それと後これも支給しておきます」
スマートフォンが手渡される、しかしボタンらしき物が見えないため、自分の前世にあった物とは別物のようだ。
「その様子じゃ使い方が解らないようね、簡単に説明するわね」
幾つかこの世界のスマホについて説明を受けたが基本はあんまり変わらなかった、あとゲーム類が一切使えないらしい、前世のゲーム類ならショックが大きいがこの世界のゲームなのでそこまで大きなショックは無かった、とういうか未だに前世のゲームに未練があるようだ。

「じゃあ早速次の研修なんだけど、大丈夫かな？」
「別に疲れてないし用事ないですし大丈夫ですよ」
「それは助かるわ、じゃあ次の研修は異世界で約一ヶ月ほど暮らしてほしいの」
「一ヶ月ほど暮らすってそれだけでいいのですか」
「えぇ、ただし方法は全てあなたに任せます、もちろんリタイヤも出来ます、一応緊急時のみ手を貸してくれる見張りがいるので頑張って生き延びて下さい」
「あ、あの全部監視されるのでしょうか」
サヨが手を上げて質問する。
「全部って訳じゃないよ」
「なら大丈夫です」
一体何が良いんだろ…。
「あ、行った先で事件等を起こした場合は？」
「なるべく起こしてほしくないけど大体みんな起こすからほどほどにね、一ヶ月が過ぎたらキリが良い時に帰ってきてもらいます」
もしかして結構適当？
「じゃあ早速行きましょうか」
目の前の女性が両手を叩くと既に周囲の景色が変わっていた、というか外にいた。

「なんていうかノーモーションで異世界に来るのってどうなだろ…」
「ゲームとかアニメじゃないんだしいいんじゃない、業務用ってなんかダサいし」
「そうか僕の前世の世界だとそこそこいいデザインの業務用の機械があったぞ」
「へー」
サヨが興味なさそうに答えるメカ娘の癖に機械類に興味がないのか…、確かに機械類に強いなどの設定はしてないがそのせいなんだろうか、メカ娘だから機械強いっていうのは偏見なんだろうな。
「といかここはどんな世界だろ？」
「多分、化学が発達した世界かな」
機会の電源が落ちるようなテンションの下がる音と共にサヨが答える。