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王女と公爵令嬢とエルフからの救援要請

目の前にお星様がー

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 目が覚めた。他の三人を見ると、まだ寝ている。初めて俺が一番最初に起きられたらしい。まだ体は横になったままだから起きたと言うのも微妙だけど。


「まだ寝てたいんだよなー…………二度寝するか」


 やはり二度寝……!二度寝は世界を救う……!
 
 いやそんなネタはどうでもいい。とにかくもう一回寝る。


「また失礼して、と」


 寝ている間に位置がずれていたようなので抱き枕サーシャをもう一度しっかりと抱き締める。


「ああ……猫耳モフモフしてて気持ちいい……至高だ」


 このモフモフだけで三時間はゆったりできる。 

 ……え?時間盛り過ぎ?三時間は無理? 

 何を言っているんだ!何処の誰かは知らないが君はこのモフモフを知らないからそんなことが言えるのだ!
 見ろ!この圧倒的モフモフを! 

 毛並みは毎晩手入れしているから整っているし、体温も温かくて気持ちいい。そしてお膝だっこの状態にしてしまえば丁度手のおける位置……!
 尚今は俺がサーシャを抱えるような体勢をしている。例えるなら俺がスプーンでサーシャが具みたいな。 

 ……分かりにくいな、すみません。 

 ともかく、これだけの条件が揃っていれば三時間などあっという間よ!
 しかも今はサーシャが寝ているから揉み放題!


「ふぁ……ひゃぁ……」


 ほらどうだ!サーシャだって気持ち良くて声が出ているじゃないか!





 声が……出て、いる……?


「……もしかして、サーシャ……起きてる……?」


 ビクッ!


 あっ……これ起きてる反応だ……。


「お、おーい。サーシャちゃーん?起きてるなら、なんか反応欲しいなー、なんて……」


「……起きて……ます」


 やっぱり起きてたーー!!
 ど、どうしよう。さっきからずっと撫で回していたんだよね。いくら主人でもずっと触られ続けたら気持ち悪いよな。とりあえず謝るか、うん。 

 というか、こんなことやってるから懐かれないんじゃないのか?愛花が言ってたことが本当だとしても、やりすぎはよくないぞ、俺!


「ご、ごめんな!触りすぎたよな」


「あ、いや、それはいいんです、けど……」


 あれ?いいの?


「触る時に、声をかけて欲しいなって……その、いきなりだとどうしても、声が出てしまうので……」


 ………………。


 モミモミモミモミ。


「ふひゃぁ!?あっ、ちょっと、ご主人様!?」


「凄く可愛いこと言うからついやっちゃった」


 これは不可抗力だろう。サーシャが可愛すぎるのが悪い!俺は無罪だ!


「ついって……ふぁひゃぁ」


 うむ。なかなかいい声で啼くではないか。ではもうちょっと。


 モミモミモミモミモミモミモミモミ……。


「あっ……はぁ……ひぅ……っぁ……」


 フフフ。気分が乗ってきたぞ?もっとやってやるか。


「ほれほれ、ここがええのんか?」


「もぅ……だめ、で……ひぅ……す……ごしゅ、じんさまぁ……」


「まだまだいけるだ……」


「いい加減にしなさいっ!!」


 スッパッーン!!!!


「いった!!??」


 なんだなんだ、何が起きた!?なんで俺の目の前にお星様がいっぱいあるんだ!?


「全く、朝っぱらから何やってるのよ。サーシャちゃん、大丈夫?」


「は……はい……凄い、疲れました……けど」


「ごめんね、海斗のバカが好き勝手やっちゃって……」


 バカとはなんだ!バカとは!! 

 あっ、まずい。また頭がフラッときた……。


「い、いえ……大丈夫…………いややっぱり、少し寝たいです……」


「そうよね。疲れたわよね。分かったわ。朝の諸々はバカにやらせるから、サーシャちゃんは休んでて」


「ありがとうございます……」


「ほら海斗!いつまでも目を回してないで、早く動きなさい!」


「ちょ、待って、目が、頭が……」


 やっとお星様が半分くらいになった……。


「あんたが悪いんでしょ。あんなことするから」


「いや、俺はただモフモフを堪能しようと……」


「それにしたって限度ってものがあるでしょうよ」


「仰る通りでございます……」


 何も反論出来ない……。


「ほら、二人が寝ている間に荷物の手入れとかいろいろ終わらせるわよ」


「了解。……あれ?まだミーシャも寝てるの?」


 普段なら起きているんだが。 

 というか、やっと思考が元に戻った。しばらくお星様は見えなくていいかな。


「さっき一回は目を覚ましたんだけどね。まだ寝惚け眼で眠そうにしてたからもう一回寝かしつけといたわ」


「そうか。やっぱり疲れてたのかな」


「まあそうでしょうね。何せ今まで背負ってたものを全部吐き出したわけだし」


 あの二人が背負ってたものの重さを俺達は分からない。だってそんな経験したこともないから。でも、その荷物を下ろしてあげることはできる。
 そうした結果が今というわけだ。


「……とりあえず、二人のマイナスな感情は一旦精算したって所か」


「あくまで一旦ね。まだやらないといけないことはいっぱいあるもの」


「そうだな」


 トラウマをどう回復するかもそうだし、二人の両親に会いに行くこともそうだ。まだやることはいっぱいあるが、とりあえず今はこれでいいか。


「あ、そうそう。この前アリスちゃんから聞いたんだけど、もしかしたらエルフの里にはリルちゃんも一緒に行くことになるかもしれないって」


「リルって、あのエルフだよな?それまたなんで?」


 報酬の前払いですか?何、もしかして俺達そんなに期待されちゃってる?もう~照れるなぁ~。


「……あんたが何考えているかはこの際気にしないことにするわ。それで、理由としてはエルフの里に行く途中で里について話を聞いておいた方がいいだろうってことらしいわよ」


「ああ、なるほど」


 何故俺の妄想がバレているのかはさておき、理由は納得できた。確かに何の情報もなしに行くよりはある程度前情報があった方がいい。備えあれば憂いなし、だ。


「というか、この前っていつだよ?」


 愛花とアリスが話しているところなんて見てないんだが。


「国王様と話したときよ。帰り際に少し話したの」


「全然気付かなかった……」


「乙女の裏話はコッソリとやるものなのよ」


「コッソリすぎるだろ……」


 裏で悪口言われてないか心配になる。


「そんなもんよ。海斗もそういうことは知っておいた方がいいわよ?」


「……精進します」 

 
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