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番外編『受験生と、温泉と』
〈5〉……累目線
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累たちが学習から解放されたのは、午前0時少し手前だった。
店の経営についての小難しい話し合いをする彩人たちの声をBGMに、空と向かい合って勉強に励んでいたが、さすがに二十三時半をすぎたあたりからくたびれてしまい、もう一度温泉に入って寝ることにしたのだ。
襖を隔てた小上がりの和室でミーティングをしていた彩人たちも「あっ、もうこんな時間か」と我に返っていた。そしてめいめい、自分たちの部屋へと戻っていったというわけである。
ようやく空と二人きりの時間が訪れたものの、久しぶりに集中してじっくり長時間勉強をしていたせいか、頭の芯がずずーんと重く疲れている。空も同じような状態らしく、机に突っ伏して動かない。
「空、空……大丈夫? 寝るならベッドで寝なよ」
「あー……うん、平気。すっごい頑張ったなぁ~と思ってさ」
「ふふ、ほんとだね」
若干目の下にクマを作りながら、空はうーーんと伸びをした。そして気を取り直すように息を吐くと、「温泉、入ろっか」と立ち上がる。
まずは気分転換にと、二人は窓を開いてベランダへ出た。
湯が岩風呂に流れ込む水音を聴きながら夜空を見上げると、予想通り、真っ暗な空にキラキラとたくさんの星が敷き詰められている。
「う、わぁ~~~! すごいねぇ、すごい星見えるじゃん!」
「わ、ほんとだ……」
都内では到底見ることのできないほどの星の数だ。
夜空がすぐそこにまで迫り、手を伸ばせば触れてしまえそうな満点の星々。呼吸をすれば、清涼な山の空気が累の胸を満たし、疲れていた頭と頭をきれいに濯いでゆくようだった。
累はふと、幼い頃に空と共に見た夜空を思い出していた。
お泊まり保育の夜、ふたりきりで見上げた美しい星空と、空の大きな瞳に映った瞬く星々のことを。
——すごく幸せだったな、あのとき。僕の気持ちが、初めて空にきちんと伝わったような気がしたんだ。空はきっと、覚えてないだろうけど……。
トイレに起きた空を連れて用を足した後、宿泊施設内を彷徨ううち偶然見つけた夜空だった。星を見た後すぐ、空は眠たげに目を擦っていた。累は空と手を引いて、そのまま布団に連れ帰ったのだ。
小さな手と手を繋ぎ、誰もいない静かな場所で、二人だけで見上げた星空だった。
「ねぇ、累」
する……と空の手が累の手に繋がる。累ははっとして、空のほうを見下ろした。
「なんか……前もこうやって、累と星を見たような気がするんだけど……」
「えっ」
「気のせいかな。家の近所じゃ、こんなにたくさん星見えるとこなんかないもんね。夢かなぁ……」
「空」
ぎゅ、と空の手を強く握り返す。その強さに驚いたのか、空の視線が累のほうへ。
澄んだ瞳に、夜空が幻想的に映り込んでいる。あのときと同じだ、と累は思った。
幼い頃から何も変わらない、純粋で優しい空の瞳が愛おしい。溢れるほどに募らせていた空への想いが、今はこうして実を結んでいるという奇跡に、改めて感動する。胸が詰まるほどに幸せだ——
累は無言のまま、空にキスを贈った。
触れ合う唇は素直でやわらかく、キスに応える空の吐息はあたたかい。
感じ慣れた空の唇を食み、何度か啄んだあと、累はぎゅっと空を腕の中に閉じ込めた。
「累……?」
「好きだよ、空」
「へっ……どうしたのいきなり」
「あの頃からずっと、ずっと好き。これから先も、僕は空を愛していく」
「っ……」
鼻先を触れ合うほどの距離で累がそう囁くと、指先に感じる空の頬が、ぽっと熱くなる。
「空と一緒にいられて、僕はすごく幸せなんだ」
「累……」
累の瞳に魅入られるように、空の眼差しにも熱がこもってゆく。はっきりと言葉にしなくても、今、空が何を想っているのか——不思議と、体温を通じて伝わってくる。
浴衣の襟を軽く引かれ、少し背伸びをした空の唇が触れる。やや拙さのある空のキスが嬉しくて、累はぐいと空の腰を抱き寄せた。
「ん、っ……ん」
深く空のなかを舌で愛撫すると、空は雛鳥のように口を開いて先をねだった。
付き合いたての頃に噛みつかれたことが嘘のように、空は気持ちよさそうに累のキスを受け止めてくれる。
自分の行為で空が快感を得えているという悦びが、累の欲に火を灯してしまう。すでに何度も交わしてきたキスも、セックスも、今のふたりにとってはごく自然なコミュニケーションだ。
「るいっ……だ、だ、だめだよ、最後までは……っ」
キスをしながら浴衣を落とし、空の唇や耳、首筋にまで唇を這わせていた累の胸を、空が力なく押した。
空の言いたいことは良く分かる。
隣の部屋で彩人と壱成が過ごしていると分かりつつ、外で空を抱くなんてことは累にもできない。
温泉同士が壁一枚を隔てて隣り合うことがないよう、配置に工夫がなされているのは分かっているが……。
「じゃあ、口でさせて。空のこれ……こんなだよ?」
「ひぇっ……」
指の背で、思わせぶりな手つきで空の股座を撫でる。ボクサーパンツの中で硬く張り詰めたそれに触れるだけで、累の興奮も否応なしに高まってしまう。
「け、けどっ……声出ちゃうって!」
「ちょっとだけ我慢して。フェラ、させて?」
「うぅっ……」
そうして直接的な言葉を使うと、空が照れてしまうのは分かっている。が、恥ずかしそうにしつつも逆らわない空が可愛いくて、ついついそういう言葉を使ってしまう。
累もその場で浴衣を脱いでしまうと、空の手を引いて露天風呂へと誘った。そして岩風呂の縁に空を座らせる。
湯船に入った累が「はぁ……熱い……」と呟いていると、空はさらに顔を赤くして、なぜだか険しい顔をした。
「どうしたの?」
「累の……温泉の入り方が……エッチに見えて」
「えっ、なんで?」
「そういうため息とかさぁ、熱いとか、気持ちいいとか……してる時によく言うじゃん? だから……って、何言ってんだろ俺……」
自分で言いながら恥ずかしくなっているのか、空はさっと両手で顔を覆ってしまった。累は笑って、湯船の中から空の膝頭にキスをした。
太ももにキスをしながら膝を割り、空の脚を開かせてゆく。
「っ……累、ほんとにするの?」
「だめ?」
「だ、っ……だめではない、です」
「ふふ……空にエッチな目で見てもらえるようになれて、僕は嬉しいよ」
「ううっ……ごめん、自分が恥ずかしい……っ、ひ」
れろ……と内腿の敏感なところを舌で舐めくすぐると、空は咄嗟のように口を押さえた。
累は微笑み、すでに大きく反り返った空のペニスに指を伸ばし、透明な体液で濡れた鈴口を舌先で辿ってみた。
「っ……るいっ……も、だめ」
「もう? まだ何もしてないよ」
「だ、だめだよ、声っ……」
「すぐ終わらせるから、がまんして?」
「んっ……ん」
こくん、と頷いた空を見つめながら、累は柔らかな粘膜で先端を口に含んだ。感じている空を見ているだけで唾液が溢れ、身体が熱く火照るのを感じる。
ゆっくりと根元を手で扱きながら、味わうようにくびれた部分や鈴口を舐めるうち、空の腰がびく、びくっと震えるようすが伝わってくる。
「っ……ん、っ」
手で口を押さえ、空は声を必死で殺している。健気に頑張っている空の姿はたまらないが、同時にもっともっといじめてみたいと思うようになってしまう自分をいやらしいと思う。
だが、累の舌の動きひとつで身悶える空があまりにも可愛くて、やめられない。
「……気持ちいい?」
「ふっ……ん、ぅんっ……」
「声、上手に我慢できてる。すごいね」
「もっ……そういうこと、いわなくてもっ……」
「ふふ……エロい顔、すごくかわいい」
あえて舌を見せつけるように、空の竿をゆっくりと舐め上げる。空は腰を震わせ涙目になりながらふるふると首を振り、「あ、あそんでるだろばかっ!!」と呻いた。
「ごめんね……フェラされてる時の空、すごくかわいいから」
「っ……!!」
ちゅ、と先端にキスをした後、深く深く屹立を咥え込む。
舌を絡ませるようにしながら飲み込んで、たっぷり濡れた粘膜で締め付けながらフェラチオをするうち、空の指が累の肩にきつく食い込んだ。
ぱしゃ、と空が下肢をを震わせるたび、湯が跳ねて波紋が広がる。
「っ……っ、……も……イきたいよぉ……っ……」
か細く、限界の声が聞こえてくる。
累がさらに激しく口淫で責め立てると、肩に食い込む指に力がこもり、太ももの肌や腰がビクビクと震えた。
「————っ……っ……!」
喉の奥に勢いよく放たれた空の白濁を、累はあますところなく飲み干した。びくっ、びくっと震えながら吐き出された空の味からは、青い興奮の匂いがする。
「はっ……はぁっ……は……」
くて、と脱力しそうになる空の身体を支えるべく、累はざばりと湯船から出た。身体が芯から熱いのは、温泉による効果だけではなさそうだ。
——はぁ、苦しい。……挿れたい。セックスしたい……。
空の肩を支えながらも、隆々と勃ち上がっている自分の分身が恥ずかしい。無造作に落ちていた浴衣を引っ張り寄せて羽織り、空にも同じように着せようとした。
だが、その手を空に止められてしまう。
「ねぇ……部屋で、なら」
「え?」
「累、しよ……?」
「……で、でも」
うっかり空に手を出してしまわないよう、今日はゴムもローションも持ってきてはいない。累が素直にそう言うと、空はまた気恥ずかしげに俯きつつ、こう言った。
「俺……持ってるから」
「えっ!? そ、そうなの?」
「うん……い、一応……万が一のことを思って……一応」
「……空」
——ああもう、かわいすぎる……!! こんな顔されて、我慢できるわけないだろ……。
濡れた肌に浴衣を羽織ったまま、累は空をひょいと横抱きにして部屋に戻った。
そしてそのままどさりとベッドに空を横たえ——
人差し指で空の唇を軽く押さえながら、累は低い声で囁いた。
「部屋だけど、声は我慢だよ、空」
「う……うんっ……」
「そんなに僕とセックスしたかったの?」
「そっ……そういう言い方されるとなぁ……」
「だって、そうでしょ?」
「……そ、その通りですけどぉ!」
羞恥心を噛み殺すような表情でそう言い切った空がかわいいやら面白いやらで、累は声を立てて少し笑った。
そしてそのまま、お互いにキスで喘ぎを塞ぎ合いながら、いつも以上に濃密に身体を繋げ——
熱い熱い温泉宿での夜が、ひそやかに更けてゆく。
『番外編・受験生と、温泉と』おわり♡
˚✧₊⁎⁎⁺˳✧༚✩⑅⋆˚ ˚✧₊⁎⁎⁺˳✧༚✩⑅⋆˚˚✧₊⁎⁎⁺˳✧༚✩⑅⋆˚
ここまで読んでくださって、ありがとうございました!
今夜21時に、おまけの一話として、彩人・壱成のお話をアップしたいと思います。
そちらもぜひ読んでみてやってくださいませ♡
店の経営についての小難しい話し合いをする彩人たちの声をBGMに、空と向かい合って勉強に励んでいたが、さすがに二十三時半をすぎたあたりからくたびれてしまい、もう一度温泉に入って寝ることにしたのだ。
襖を隔てた小上がりの和室でミーティングをしていた彩人たちも「あっ、もうこんな時間か」と我に返っていた。そしてめいめい、自分たちの部屋へと戻っていったというわけである。
ようやく空と二人きりの時間が訪れたものの、久しぶりに集中してじっくり長時間勉強をしていたせいか、頭の芯がずずーんと重く疲れている。空も同じような状態らしく、机に突っ伏して動かない。
「空、空……大丈夫? 寝るならベッドで寝なよ」
「あー……うん、平気。すっごい頑張ったなぁ~と思ってさ」
「ふふ、ほんとだね」
若干目の下にクマを作りながら、空はうーーんと伸びをした。そして気を取り直すように息を吐くと、「温泉、入ろっか」と立ち上がる。
まずは気分転換にと、二人は窓を開いてベランダへ出た。
湯が岩風呂に流れ込む水音を聴きながら夜空を見上げると、予想通り、真っ暗な空にキラキラとたくさんの星が敷き詰められている。
「う、わぁ~~~! すごいねぇ、すごい星見えるじゃん!」
「わ、ほんとだ……」
都内では到底見ることのできないほどの星の数だ。
夜空がすぐそこにまで迫り、手を伸ばせば触れてしまえそうな満点の星々。呼吸をすれば、清涼な山の空気が累の胸を満たし、疲れていた頭と頭をきれいに濯いでゆくようだった。
累はふと、幼い頃に空と共に見た夜空を思い出していた。
お泊まり保育の夜、ふたりきりで見上げた美しい星空と、空の大きな瞳に映った瞬く星々のことを。
——すごく幸せだったな、あのとき。僕の気持ちが、初めて空にきちんと伝わったような気がしたんだ。空はきっと、覚えてないだろうけど……。
トイレに起きた空を連れて用を足した後、宿泊施設内を彷徨ううち偶然見つけた夜空だった。星を見た後すぐ、空は眠たげに目を擦っていた。累は空と手を引いて、そのまま布団に連れ帰ったのだ。
小さな手と手を繋ぎ、誰もいない静かな場所で、二人だけで見上げた星空だった。
「ねぇ、累」
する……と空の手が累の手に繋がる。累ははっとして、空のほうを見下ろした。
「なんか……前もこうやって、累と星を見たような気がするんだけど……」
「えっ」
「気のせいかな。家の近所じゃ、こんなにたくさん星見えるとこなんかないもんね。夢かなぁ……」
「空」
ぎゅ、と空の手を強く握り返す。その強さに驚いたのか、空の視線が累のほうへ。
澄んだ瞳に、夜空が幻想的に映り込んでいる。あのときと同じだ、と累は思った。
幼い頃から何も変わらない、純粋で優しい空の瞳が愛おしい。溢れるほどに募らせていた空への想いが、今はこうして実を結んでいるという奇跡に、改めて感動する。胸が詰まるほどに幸せだ——
累は無言のまま、空にキスを贈った。
触れ合う唇は素直でやわらかく、キスに応える空の吐息はあたたかい。
感じ慣れた空の唇を食み、何度か啄んだあと、累はぎゅっと空を腕の中に閉じ込めた。
「累……?」
「好きだよ、空」
「へっ……どうしたのいきなり」
「あの頃からずっと、ずっと好き。これから先も、僕は空を愛していく」
「っ……」
鼻先を触れ合うほどの距離で累がそう囁くと、指先に感じる空の頬が、ぽっと熱くなる。
「空と一緒にいられて、僕はすごく幸せなんだ」
「累……」
累の瞳に魅入られるように、空の眼差しにも熱がこもってゆく。はっきりと言葉にしなくても、今、空が何を想っているのか——不思議と、体温を通じて伝わってくる。
浴衣の襟を軽く引かれ、少し背伸びをした空の唇が触れる。やや拙さのある空のキスが嬉しくて、累はぐいと空の腰を抱き寄せた。
「ん、っ……ん」
深く空のなかを舌で愛撫すると、空は雛鳥のように口を開いて先をねだった。
付き合いたての頃に噛みつかれたことが嘘のように、空は気持ちよさそうに累のキスを受け止めてくれる。
自分の行為で空が快感を得えているという悦びが、累の欲に火を灯してしまう。すでに何度も交わしてきたキスも、セックスも、今のふたりにとってはごく自然なコミュニケーションだ。
「るいっ……だ、だ、だめだよ、最後までは……っ」
キスをしながら浴衣を落とし、空の唇や耳、首筋にまで唇を這わせていた累の胸を、空が力なく押した。
空の言いたいことは良く分かる。
隣の部屋で彩人と壱成が過ごしていると分かりつつ、外で空を抱くなんてことは累にもできない。
温泉同士が壁一枚を隔てて隣り合うことがないよう、配置に工夫がなされているのは分かっているが……。
「じゃあ、口でさせて。空のこれ……こんなだよ?」
「ひぇっ……」
指の背で、思わせぶりな手つきで空の股座を撫でる。ボクサーパンツの中で硬く張り詰めたそれに触れるだけで、累の興奮も否応なしに高まってしまう。
「け、けどっ……声出ちゃうって!」
「ちょっとだけ我慢して。フェラ、させて?」
「うぅっ……」
そうして直接的な言葉を使うと、空が照れてしまうのは分かっている。が、恥ずかしそうにしつつも逆らわない空が可愛いくて、ついついそういう言葉を使ってしまう。
累もその場で浴衣を脱いでしまうと、空の手を引いて露天風呂へと誘った。そして岩風呂の縁に空を座らせる。
湯船に入った累が「はぁ……熱い……」と呟いていると、空はさらに顔を赤くして、なぜだか険しい顔をした。
「どうしたの?」
「累の……温泉の入り方が……エッチに見えて」
「えっ、なんで?」
「そういうため息とかさぁ、熱いとか、気持ちいいとか……してる時によく言うじゃん? だから……って、何言ってんだろ俺……」
自分で言いながら恥ずかしくなっているのか、空はさっと両手で顔を覆ってしまった。累は笑って、湯船の中から空の膝頭にキスをした。
太ももにキスをしながら膝を割り、空の脚を開かせてゆく。
「っ……累、ほんとにするの?」
「だめ?」
「だ、っ……だめではない、です」
「ふふ……空にエッチな目で見てもらえるようになれて、僕は嬉しいよ」
「ううっ……ごめん、自分が恥ずかしい……っ、ひ」
れろ……と内腿の敏感なところを舌で舐めくすぐると、空は咄嗟のように口を押さえた。
累は微笑み、すでに大きく反り返った空のペニスに指を伸ばし、透明な体液で濡れた鈴口を舌先で辿ってみた。
「っ……るいっ……も、だめ」
「もう? まだ何もしてないよ」
「だ、だめだよ、声っ……」
「すぐ終わらせるから、がまんして?」
「んっ……ん」
こくん、と頷いた空を見つめながら、累は柔らかな粘膜で先端を口に含んだ。感じている空を見ているだけで唾液が溢れ、身体が熱く火照るのを感じる。
ゆっくりと根元を手で扱きながら、味わうようにくびれた部分や鈴口を舐めるうち、空の腰がびく、びくっと震えるようすが伝わってくる。
「っ……ん、っ」
手で口を押さえ、空は声を必死で殺している。健気に頑張っている空の姿はたまらないが、同時にもっともっといじめてみたいと思うようになってしまう自分をいやらしいと思う。
だが、累の舌の動きひとつで身悶える空があまりにも可愛くて、やめられない。
「……気持ちいい?」
「ふっ……ん、ぅんっ……」
「声、上手に我慢できてる。すごいね」
「もっ……そういうこと、いわなくてもっ……」
「ふふ……エロい顔、すごくかわいい」
あえて舌を見せつけるように、空の竿をゆっくりと舐め上げる。空は腰を震わせ涙目になりながらふるふると首を振り、「あ、あそんでるだろばかっ!!」と呻いた。
「ごめんね……フェラされてる時の空、すごくかわいいから」
「っ……!!」
ちゅ、と先端にキスをした後、深く深く屹立を咥え込む。
舌を絡ませるようにしながら飲み込んで、たっぷり濡れた粘膜で締め付けながらフェラチオをするうち、空の指が累の肩にきつく食い込んだ。
ぱしゃ、と空が下肢をを震わせるたび、湯が跳ねて波紋が広がる。
「っ……っ、……も……イきたいよぉ……っ……」
か細く、限界の声が聞こえてくる。
累がさらに激しく口淫で責め立てると、肩に食い込む指に力がこもり、太ももの肌や腰がビクビクと震えた。
「————っ……っ……!」
喉の奥に勢いよく放たれた空の白濁を、累はあますところなく飲み干した。びくっ、びくっと震えながら吐き出された空の味からは、青い興奮の匂いがする。
「はっ……はぁっ……は……」
くて、と脱力しそうになる空の身体を支えるべく、累はざばりと湯船から出た。身体が芯から熱いのは、温泉による効果だけではなさそうだ。
——はぁ、苦しい。……挿れたい。セックスしたい……。
空の肩を支えながらも、隆々と勃ち上がっている自分の分身が恥ずかしい。無造作に落ちていた浴衣を引っ張り寄せて羽織り、空にも同じように着せようとした。
だが、その手を空に止められてしまう。
「ねぇ……部屋で、なら」
「え?」
「累、しよ……?」
「……で、でも」
うっかり空に手を出してしまわないよう、今日はゴムもローションも持ってきてはいない。累が素直にそう言うと、空はまた気恥ずかしげに俯きつつ、こう言った。
「俺……持ってるから」
「えっ!? そ、そうなの?」
「うん……い、一応……万が一のことを思って……一応」
「……空」
——ああもう、かわいすぎる……!! こんな顔されて、我慢できるわけないだろ……。
濡れた肌に浴衣を羽織ったまま、累は空をひょいと横抱きにして部屋に戻った。
そしてそのままどさりとベッドに空を横たえ——
人差し指で空の唇を軽く押さえながら、累は低い声で囁いた。
「部屋だけど、声は我慢だよ、空」
「う……うんっ……」
「そんなに僕とセックスしたかったの?」
「そっ……そういう言い方されるとなぁ……」
「だって、そうでしょ?」
「……そ、その通りですけどぉ!」
羞恥心を噛み殺すような表情でそう言い切った空がかわいいやら面白いやらで、累は声を立てて少し笑った。
そしてそのまま、お互いにキスで喘ぎを塞ぎ合いながら、いつも以上に濃密に身体を繋げ——
熱い熱い温泉宿での夜が、ひそやかに更けてゆく。
『番外編・受験生と、温泉と』おわり♡
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