上 下
6 / 20

同期に魅せられたデートの日(2)

しおりを挟む



 ホテルでのディナーも終えて、だんだんとそのときが近づくにつれて私の緊張は増していった。
 私、このまま本当に外崎とセックスするんだ……。
 そう思うとどうしても心と身体がガチガチになるのが止まらない。

 だって、元カレと付き合っているとき、こんな豪奢な高級ホテル来たことなかった。
 ホテルディナーもしたことなければ、『上に部屋をとってある』なんてドラマの中でしか聞いたことのないセリフを自分に言われるなんて思いもしなかった。

 ちょっと待って。
 今まで同期として側にいて気が付きもしなかったけれど、この人いわゆるスパダリってやつっぽくない?
 噂のスパダリがこんな身近に存在していたなんて……。
 私、本当に女としてのアンテナがまったく機能していなかったんだな。

「お前がいつもより口数少なくて変な感じだ」

 エレベーターに乗っているとき、外崎がフッと笑いながら言う。
 自分でも自覚しているが、そうさせている本人に言われると癪で仕方がない。
 私は外崎の揶揄うような言葉に反応を見せず、そっぽを向いた。

「その調子でどんどん俺を意識していってくれ」

 これ以上意識しろって?!
 私の頭をどうにかしたいの? 外崎は!
 恐ろしい奴! どんどんと私の頭の中を桃色に染め上げようとしていくよ!

 そんな戦々恐々とした思いでホテルの部屋に入ると、そこはいわゆるスイートルームってやつで、さらに私の心は焦りに焦る。
 外崎、どれだけ気合をいれてどれだけお金をつぎ込んだんだろう。考えるだけで尻込みしてしまう。

「と、外崎……別に私、ラブホとかでもよかったのに」
「俺がよくない。一度のチャンスにしがみつく俺にはここまでする意味がある」
「そ、そっか」

 つい口をついて出そうになった。
 あんたどれだけ私が好きなんだ! と。

 まぁ、そんな自惚れたことは口にできない性分なのでただ黙り込み、しずしずと部屋の奥へと足を進める。外崎の視線が何となく痛かった。

 コートを脱ぎクローゼットの中に仕舞い、とりあえずソファーに座った。さすがにベッドに直行する勇気はない。
 外崎はというと、同じようにコートを置いた後に座る私の目の前までやってきて見下す。

「先にシャワー浴びてきてもいいか?」
「…………う、うん」

 そうね、シャワーは必要よね。私もシャワーを浴びたい。
 真冬とはいえ天気がいい中半日歩いたら少し汗も掻いてしまったし。

 浴室に消えていく外崎の姿を見送った後、私は大きな溜息を吐いて項垂れた。
 とりあえず一緒に入ろうって言われなくてよかったし、部屋に入った瞬間にそういう流れにならなくてよかった。
 外崎の紳士的な態度にただただ安堵するばかりだ。

 …………と、思っていたのも束の間。
 シャワーを終え次は私がと思って立ち上がったときに、外崎からとんでもないものを渡された。
 目の前に差し出された赤い袋とゴールドのリボンで可愛くラッピングされたそれを、私は訝し気に見つめる。

「なにこれ?」
「シャワー浴びたら、これに着替えてきてくれ」

 衣装指定?!
 外崎ってバスローブとかより、エロい下着とかで雰囲気を盛り上げながらシたいタイプ?
 先日言っていた外崎が元彼女に罵られた性癖がこれくらいのなら、別にそこまで騒ぎ立てることのことじゃない。全然私の許容範囲だ。

 実はずっと外崎の性癖が何なのかが気になっていた私は、拍子抜けをして中身を確認せずに『了解~』と軽い感じでシャワーを浴びに行ってしまった。

 シャワー後、ラッピングされた袋を開けて驚きだ。
 中にはエロい下着ではなく、エロいコスチュームが入っていたのだ。

 白いシースルーのネグリジェに、白いガーターベルト、ストッキング。
 ほうほう、外崎は見た目に寄らず純白清楚系がお好きなように見えると意外な趣味に驚きつつ袋に手を伸ばすと、次に出てきたモノに目を剥いた。

「…………いやいやいやいや…………これはきついって、外崎」

 ネグリジェと同じように白いシースルーの生地で作られた下着。
 腰の紐で結ぶタイプのものらしいが、おかしなことに不自然に穴が開いているのだ。お尻に部分に。

 この穴の意味するところは?!
 私の頭の中がパンツの穴に関しての大喜利大会が始まっている。

 いや、待って。
 もしかして外崎の性癖って、お尻? つまりはアナルなプレイか?

 たしかにそこに抵抗を感じる女性からしてみれば変態に思えることもなくはないけれど、そこまでは……と思う。
 肝心なのは私が外崎の要求にどこまでこたえられるかだけど、私ってアナルどうなんだろう。今まで使ったことないからなぁ。
 外崎のモノをまだ見ていないから何とも言えないけれど、普通に考えて男性のモノをお尻の穴に入れるのは簡単ではないとは知っている。ある程度の開発が必要なんだって。

 ん~……これは要相談だな。

 とりあえずは保留にして、私は袋に入っていたものに着替えた。
 外崎が私にこれを着てほしいのだと用意したものなのだから、それを無下にはできない。
 恥ずかしいけれど。
 滅茶苦茶恥ずかしいけれど。
 鏡を見て自分でもこれはどうなの? と不安になる。

 でもまぁ、このくらいならと腹をくくり、そういえばもうひとつまた違う袋が入っていたなと思い出した私は、それを取り出して中身を確認した。

 そして、私は絶句する。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?

すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。 病院で診てくれた医師は幼馴染みだった! 「こんなにかわいくなって・・・。」 10年ぶりに再会した私たち。 お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。 かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」 幼馴染『千秋』。 通称『ちーちゃん』。 きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。 千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」 自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。 ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」 かざねは悩む。 かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?) ※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。 想像の中だけでお楽しみください。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。 すずなり。

憧れの童顔巨乳家庭教師といちゃいちゃラブラブにセックスするのは最高に気持ちいい

suna
恋愛
僕の家庭教師は完璧なひとだ。 かわいいと美しいだったらかわいい寄り。 美女か美少女だったら美少女寄り。 明るく元気と知的で真面目だったら後者。 お嬢様という言葉が彼女以上に似合う人間を僕はこれまて見たことがないような女性。 そのうえ、服の上からでもわかる圧倒的な巨乳。 そんな憧れの家庭教師・・・遠野栞といちゃいちゃラブラブにセックスをするだけの話。 ヒロインは丁寧語・敬語、年上家庭教師、お嬢様、ドMなどの属性・要素があります。

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

秘書のシークレットミッション

Cocytus
恋愛
「二宮さん。君には特別な接待をしてもらうよ」 社長の秘書に抜擢された二宮佳織は、冷酷な社長・氷室礼司に嵌められて身体を使った接待──性接待をすることに。男達の性の捌け口にされ、中出しが当然のまるで性奴隷のような扱いを受ける。鬼畜上司の調教、いやらしいだけのセックス、大人のおもちゃ、複数プレイ……嫌がっていた佳織だったが、快楽には抗えない。

【R18】狐妖の兄妹に気に入られ神隠しされた双子の姉弟の運命は淫らに乱れ逃れられない。

此花チリエージョ
恋愛
「あら。 お兄様、ご覧になって。 可愛らしい姉弟ですこと」 「ああ、双子か。 我らを祀る神社に参拝なんて珍しいな。 人間に忘れられて久しいのに」  とある古びた神社に祀われている白銀の髪と金色の瞳を持つ狐妖の兄妹は、妹は兄に寄り添いながら外の様子、境内を覗き見している。 まだ10才程の男の子と女の子が賽銭を入れ、 『『すてきな人と “ けっこん ” 出来ますように! 』』  そうお願い事を述べる。 「そうですわね。 まだ|10才《子供》ですが、|18歳《大人》に成長するのが楽しみじゃありません」 「そうだな。 もし “ 大人 ” になるまで、この “ 願い ” を忘れずに、我らの元に参拝続けたら叶えてやろう。 我ら兄妹の “ 伴侶 ” としてな」 「ええ、それがよろしいかと」  ーーーー  そして8年の月日は流れ、あの時の10才の双子の姉弟は18歳に成長していた。 「遥香お姉ちゃん、早くー! 」 「もう、陽太。待ってよ。 神社は逃げないわよ! 」 「なんか今日はドキドキすることが起きそうな気がするんだ」 「もう。 どんな気よ」  腰まで長い黒髪をポニーテールに纏めた姉、神谷城遥香は双子の弟、柔らかい黒髪を茶髪に染めた陽太のあとを追いかけて、古びた神社にやってくる。 賽銭箱にお金を入れて、賽銭箱の上にある本坪鈴と繋がった鈴緒を姉弟で握り、ガラガラと本坪鈴を鳴らす。  遥香と陽太がこの “ 神社 ” を見つけた10才の時と同じ “ 願い事 ”を、 「「素敵な人と “ 結婚 ” 出来ますように! 」」  そう願うと、 『『そなたら姉弟の “ 願い ” を我ら兄妹が叶えよう――……』』  その声と共に遥香と陽太は古びた神社から姿を消して、2度と誰にも目撃をされなかった――……。 これは妖狐の神様兄妹に気に入られた双子の姉弟が、神隠しされ妖狐兄妹に愛され乱されて堕ちていくお話ーー……。 ※気晴らしに執筆した短編連載小説ですので、設定など深く考えずにお読みください。 ※ムーンライトノベルで同時掲載中です。

ホストと女医は診察室で

星野しずく
恋愛
町田慶子は開業したばかりのクリニックで忙しい毎日を送っていた。ある日クリニックに招かれざる客、歌舞伎町のホスト、聖夜が後輩の真也に連れられてやってきた。聖夜の強引な誘いを断れず、慶子は初めてホストクラブを訪れる。しかし、その日の夜、慶子が目覚めたのは…、なぜか聖夜と二人きりのホテルの一室だった…。

若妻シリーズ

笹椰かな
恋愛
とある事情により中年男性・飛龍(ひりゅう)の妻となった18歳の愛実(めぐみ)。 気の進まない結婚だったが、優しく接してくれる夫に愛実の気持ちは傾いていく。これはそんな二人の夜(または昼)の営みの話。 乳首責め/クリ責め/潮吹き ※表紙の作成/かんたん表紙メーカー様 ※使用画像/SplitShire様

【R18】僕は愛する双子の姉に、危険な好奇心を向ける

奏音 美都
恋愛
*少年少女の性行為を含みますので、受け入れられない方は閲覧をご遠慮ください。 双子の姉弟として生まれた美羽と類。 まるで運命のように生まれた時から惹かれ合い、一緒にいることが自然だった。互いを好きな気持ちが大きくなるにつれ、触れ合いが増え、そこから更に新たな欲が芽生える。 そんなある日、両親の留守の家で、ふたりの危険な好奇心が頭を擡げることとなる。 こちらは、 「【R18】退廃的な接吻を ー美麗な双子男女が織りなす、切なく激しい禁断愛ー」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/863453072 美羽と類の初めての交わりを描いたエピソードとなります。

処理中です...