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「た、たいちょ、……何で、私の胸」
「触ってるかって?」

 うんうん、と私は首が取れそうなほどに縦に振る。
 すると、隊長は……なぜか胸をそのまま揉みながら『それはな』と爽やかな笑顔で言った。

「お前を俺たちの嫁にするためだ」
「…………お、よめ、さん?」
「ああ。またの名を妻、もしくは奥さん」
「えっと…………それは…………」

 だめだ。言葉の意味は分かるけど、何故そうなるのかが分からない。
 嫁、妻、奥さん、ということは、私……隊長と結婚するの?

 いやいや、待って。
 その前に、隊長が聞き逃せない言葉を言った気がする。

「その前に、隊長。……今『俺たち』って言いました?」

 俺たちってことは複数形……なんだけど、どういうこと?
 混乱しそうな頭を整理するために、私は隊長に疑問を一つずつぶつけた。とにかく状況が分からなすぎる。

「そうだよ、カレンちゃん。カレンちゃんは俺たちのお嫁さんになるんだ。今日ね」
「ミルくん……」

 ベッドから一歩離れたところに立っていたはずのミルくんが枕元に立って顔を近づけてくる。その私の疑問の答えを持って。

「もちろんイグニスもだよ。俺たちは家族だからね」
「俺は隊長が決めたことに従うだけだから」

 ミルくんの言葉にイグニスさんが付け足すように言ってくる。
 イグニスさんは隊長に忠実で、隊長の言うことなら何でも聞くし逆らったりしない。
 でも、不服だったらそこは断ってもいいと思うの。そんな嫌々私と結婚しようとしなくてもいいのだけど。
 あ、その前に、結婚を承諾するわけじゃないけどね。

「ちょっと待ってください。私、三人と結婚するんですか?! というか、その前に何でいきなり結婚? そんな話どこかでありました?!」
「したことないかなぁ、そういえば。でもいずれはそうつもりだったから、遅かれ早かれってやつ?」
「私の意思は?!」
「それは今から確認ってことで」

 軽い! ノリが軽すぎる!!
 いつも隊長のノリは軽いけれど、そんな大事すらも軽く言わないでください! 隊長!
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