新米魔術師の私が手違いで腹黒な王子様を隷属させてしまいました（でも何故か王子はノリノリで私に命令してと言ってきます）

３２．「どうか許して、この先を」

「……ユニ……本当に君って子は」



　シリルがその様子を惚けたように見下ろし、そしてへにゃりと相好を崩す。

　感極まったように呟くと、ユニに抱き着いてきた。



「あぁ……本当に君は俺の心を揺さぶってくる……何故こんなにも優しくていじらしくて、可愛らしいんだ」

「でん、か？」

「……好きだよ、ユニ……君が好きで好きで、もうどうしていいか分からないくらいだ」



　顔じゅうにキスを落とされ、うっとりと蕩けた目で見つめられる。

　ユニはきゅうんと胸が締め付けられた。



「……ユニ……ユニ」

「……ンん」

「どうか許して、この先を」

「この先……？」

「君と繋がること。もっともっと、深いところで二人で一つになりたい」



　繋がると言われて最初どういう意味か分からなかったが、熱く硬いものが秘所に押し当てられてようやく理解できた。



「でも、もう魔力は十分渡ったかと……」

「そうだね。もう十分貰った。だから、これは俺の願い。ユニのすべてが欲しいという、俺の欲」



　指を絡ませ合い、ギュッと握り締められる。

　「お願い」と優しく囁いて、ユニを熱く求めてきた。



「命令して、ユニ。俺を受け入れてくれるのであれば『挿入れて』と。嫌なときは『やめろ』と。そう命令するだけでいい。俺は君には逆らわないって知っているだろう？　――ユニの心次第だ」



　優しくも、瞳の奥で欲を滾らせ我慢に身を焦がすような顔を見せられて、この心が傾かないわけがなかった。