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 ランジの視線に射抜かれる。

 劣情を隠しもしない瞳に腹の奥がずくりと疼く。

 静かに頷くと髪をひと撫でされ、額にキスが降った。

「腰、上げて」

 言われるがままに従うと、下衣が取り払われ彼に素肌をさらす格好になる。

 じっとりとまとわりつくようなランジの視線。

 焦がされそうなほど熱っぽい瞳にじりじりと羞恥を煽られた。

 たまらなくなって手で隠そうとするが軽々阻まれる。

「隠さないで」

 両手はランジに掴まり秘処は無防備に彼へさらけ出されている。

 羞恥で頬が紅潮してくるのがわかった。

「っ、ランジ……」

 隠したくて身をよじった拍子に、ふとももが彼の昂ぶりをかすめてしまった。

「……っ」

 ランジはびくりと肩を震わせ息を詰める。

 自身の足に触れた剛直の存在感に驚いた。

 見ると、硬く張り詰めたそこは彼の夜着を押し上げ主張している。

 謝ろうと見上げた視線は彼の鋭い眼光とぶつかった。

「……入らせてくれ」

 切羽詰まった彼の表情が扇情的で、背筋が甘く疼いた。

 頷き体の力を抜いてランジに身を任せると、彼がなにかを準備し始めた。

「それは?」

 おそらく避妊具だが、なぜランジが持っているのか。

「避妊具だ」

「それはわかるけど」

 レンリが渡したわけでもないし、この家にも置いていない。

「この前街に行った時に買った」

 一瞬わからなかったが、薬草を買った店でランジがひとり店内に戻ったことを思い出す。

「無責任な行動はしたくないからな」

 彼の気遣いが素直に嬉しかった。

 膝裏を持ち上げられ、秘処に彼の先端が押し付けられた。

 指とは比べ物にならない質量に、緊張できゅっと入り口が締まる。

「力、抜けるか?」

 息を吐き脱力を試みる。

「入るぞ」

 わずかにゆるんだと同時に蜜口が怒張で割り開かれた。

「痛いか? 噛むと唇切れるぞ」

 ランジの親指が下唇をなぞった。

 そこで口を引き結び唇を噛んでいたことに気付く。

「痛いか?」

 彼の指先は唇から頬へ移動し、肌を柔らかく撫でていく。

「大丈夫」

 幸いにも痛みはない。

 顔に触れるランジの手を握ると、彼の指が絡んでそのままシーツへ沈められた。

 掌の温かさにほっとする。

「ゆっくり入るから」

 彼の動きが再開され、じりじりと奥へ進んでくる。

 また力んでしまわないようにゆっくりと呼吸を繰り返した。

 ゆっくりと入ってくるせいか、みしみしと割り開かれていく感覚がより鮮明に感じ取れてしまう。

 ランジが詰めていた呼吸を吐き出した。

 中が彼で満たされている。

「レンリ、痛くないか?」

「ん、痛くない。嬉しい」

「っ……だからそういうところだ、レンリは」

 意味が分からないランジの言葉を問いただす前に唇を奪われた。

 心地よくてきゅっと腹の奥が締まる。

「これ以上煽るな。動くぞ」

 キスの合間にランジが言う。

「うん」

 レンリの返事を合図に、ゆるやかに律動が始まった。

 内側が擦られ、次第に腹の奥に疼きが溜まっていく。

 気付けばくぐもった嬌声が零れていた。

 だんだん突き入る速度が上がり、さっき指で愛撫された部分を重点的に狙われる。

 擦られる以外の感覚が湧き、なにかが込み上げてくる気配がする。

「っん、ぁ」

 急に奥に突き入られ、はずみで嬌声が押し出された。

「すまないレンリ……ッ」

 ランジは切羽詰まった様子で言うが、腰の動きを止めることはしない。

 一層肌のぶつかる破裂音が激しくなる。

 腹側の内壁を擦られ、奥を穿たれ揺さぶられた。

 否応なしに追い立てられくすぶりがせり上がってくる。

 繋がれていた手が離れ、体を起こしたランジに腰を掴まれた。

 状況を理解する前に律動が激しさを増す。

 最奥に振動が直接響き、擦られ打たれるたびに嬌声が洩れて快楽で中は収縮を繰り返す。

 またランジの動きが速まり、強制的に高みへ登らされる。

 今にも溢れそうで、零れてしまいそうな感覚に抗うようにぎゅっと体をこわばらせた。

 だが、抵抗は意味を成さずさらに追い立てられ続ける。

 ついに堪えきれなくなって、レンリは熱を弾けさせて果てを迎えた。

 蜜壺がびくびくと震える。

「っすまない、まだ……」

 彼の腰は止まることなくレンリの最奥を穿ち続けた。

 絶頂の最中さらなる刺激を与えられ、愉悦の痙攣が止まらない。

 数度強く打ち付け、ようやくランジの動きが止まる。

 しばし部屋に互いの乱れた呼吸だけが響く。

「レンリ、大丈夫か?」

 ランジの指に頬を撫でられる。

 その指先にさえ官能を見出し、まだ彼自身が入ったままの秘処がひくついた。

「ッ、 レンリ……。抜くから、もう締めるな」

「体が、勝手に……」

 息も絶え絶えに言い訳をする。

 ランジが困ったように眉を下げた。

「今はこれ以上煽らないでくれ」

 避妊具の処理を終えたランジが横に寝転び抱き締めてくる。

 額や頬にたくさんのキスが降った。

「なに?」

 なんとなく気恥ずかしくて、思わず不愛想な声になる。

「いや、かわいいなって思って。嫌か?」

 ランジがあざとい上目遣いで聞いてくる。

 今までこんな表情見たことないのに。

「嫌じゃないけど」

「ならもっとさせてくれ」

 愛おしそうに自身を見つめる瞳が嬉しくて反論できなくなってしまった。

 素直に頷くと、甘く吸い付くように何度も唇が寄せられた。

「大好きだ、レンリ」

 心臓がきゅっとなってすぐに声を出すことが出来ない。

 私も、と答える代わりに今度は自分からキスを送った。


 
 
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