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 視線を捕らえられたまま唇が重なる。

 瞳を閉じるタイミングを失い、そのままランジを見つめ続けた。

 彼も目を閉じようとしない。

 絡んだ視線にどきどきして翻弄されているのは自分だけかと思うと悔しくなる。

 が、キスをしながらランジの表情を見てそうでもないことに気付く。

 伏し目がちになったり、時折感じ入るように閉じることもあり、それらがすべて可愛く見えた。

「……見すぎだ」

 耐えかねたのかランジが唇を離して言う。

「つい」

「随分余裕だな」

 少々苛ついたようなランジの声色。

「そんなこと……っ」

 反論の途中でキスで唇を塞がれる。

 堪能していると体に触れる感触に気付く。

 脇腹にランジの手が添っていた。

 夜着の上からではあるが、彼の大きな手の感触がしっかり伝わってくる。

 くすぐったさと羞恥で身を捩るが逃してもらえない。

 そのまま彼の手は上へ登ってふくらみへと辿り着いた。

 ゆっくりとランジの指が沈んでいく。

 恐る恐る、慎重に、壊れ物を扱うかのような繊細な手付きで愛撫される。

 擦れた夜着が肌を刺激していく。

 穏やかな愛撫を続けられ、もどかしい摩擦にさらされ続ける。

 じりじりと追い立てられるような感覚に、思わずきゅっと瞳を閉じた。

「……嫌だったか?」

 ランジの不安そうな声にゆっくり瞳を開くと、眉を寄せ心配そうな表情の彼が見えた。

「違うから」

 ランジを安心させたくて頬に触れる。

 指先からこわばりが伝わってきた。

 軽くつまんでひっぱってみる。

「おい、レンリ……」

 あからさまに困惑しているランジがおかしくて笑いが込み上げた。

 彼の肩の力が抜けたのがわかる。

「嫌じゃない。続き、してほしい」

 彼の目を見て言おうと試みるも、恥ずかしくなってすぐにそらしてしまった。

 しばしの沈黙の後にため息が聞こえる。

「本当にレンリは俺を煽るのがうまいな」

 言葉の意味がわからず問い返そうとするが、その前に手を握られた。

 掴まった指先がランジの口元に寄せられキスをされる。

 ランジの視線はレンリの瞳を見据えたまま。

 指先に軽く歯が立てられた。

 痛みはない。

 目をそらすことが出来ず、指先が彼の唇に弄ばれていく様を見せつけられ続けた。

 ついばむようにキスをしたり、甘噛みをしたり、軽く吸い付いたり頬をすり寄せたりとやりたい放題。

 ずっとレンリの瞳を見つめたまま愛撫が続く。

 自身の指が愛される様を見せつけられて恥ずかしいのに、確実に劣情が煽られていく。

「ランジも……うまいじゃん」

 悔しくて冗談めかそうとするが、思ったよりも声が詰まってしまった。

「なにが?」

「煽るのが」

 ランジの口角がくっと上がり満足げな顔になる。

「なんか悔しい」

「おあいこだろう」

 微笑するランジの表情からはどこか余裕が感じられる。

「尖ってる」

 無意識に突き出していた唇をランジの指につままれた。

「かわいい」

 軽く触れるだけのキス。

「もっと俺に煽られて」

 鼻先が触れ合いそうな距離で甘く囁かれた。

 
 
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