五十の手習い

赤羽律紀

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新天地への旅立ち

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 楽しかった新潟時代は、1979年の5月に終わりを迎えた。父の勤めていた新潟工場が移転になったのに伴い、千葉県船橋市の工場に転勤になったのだ。
 それに伴い、僕は上所小学校から薬円台南小学校に転校になった。お世話になった先生や友達との別れがつらかった。しかし、それ以上に新しい先生や友達との日々に想いを馳せていた。
 5月10日に家族全員で新潟駅に向かいL特急「とき10号」に乗り込んだ。ここには他の家族も乗っており、集団転勤であることが改めて分かる。
 当時、新潟から上野までは4時間もかかった。1982年に上越新幹線が開業したことで、大宮から新潟まで2時間で行けるようになり、
「新潟も早いうちに行けるんだ」
 と、初めて乗った時に近さを実感したのだった。のちに上野や東京まで延びた時には早めに行けることを嬉しく思った。
 上野から目的の津田沼駅まで山手線や中央総武線に乗り、仮の住まいである高根公団の団地で泊まり込み、翌日に三山の社宅に移った。
 僕たち家族の住んだ部屋は一階にあり、理想の暮らしに想いを馳せていた。
これから先はどうなるかは分からない。しかし、そんなことは気にしてはいられない。そんなことがあろうとも楽しく生きたいと思っていた。だが、そんな日々はやってこないことを実感する事態が起こるのには時間はかからなかった。
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