一人旅日記

赤羽律紀

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2008年3月 富山市

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 これまで私の一人旅は、あれも行きたいこれも行きたいというないものねだりの旅が続いた。しかし、今回の富山の旅からは一つの街にスポットを当てようという気持ちになり、ゆっくり巡ろうという気持ちになったのだ。
 初日の3月22日、上越新幹線で越後湯沢、ほくほく線経由のはくたか号で富山駅へ。早速アパホテル富山駅前に荷物を置きに行くと、富山市内を散策に出かけた。そこで活用したのが富山市内をめぐる路面電車。そこで目にしたのが富山城址公園にある城の天守閣からの光景。立山連峰や富山市内をあちこち見下ろすことができた。当主の佐々成政らも天守閣から見下ろす町の風景をどのような思いで見たのだろうと想像して見下ろしていた。その後に薬問屋の「池田屋安兵衛商店」に立ち寄った。越中富山の薬売りということもあり、富山市にはたくさんの薬問屋がある。配置薬というシステムも富山ならではのこだわりが詰まっていて母方の実家でも配置薬が置かれていたのをおぼえている。
 そして、夕食にはテレビCMで拝見してから気になっていたブリしゃぶをいただいた。富山湾で採れたブリをしゃぶしゃぶしていただくという贅沢をここで味わうことができて心もお腹も満たされた気がした。ただ、禁酒中のみでありながらビールを飲んだことをうっかり母に話したことで怒らせてしまい、
「飲むなら旅に出るな」
 と、言われてしまった。
 それ以来、旅に出た際にはお酒を一滴を飲まないようにしている。そして、その後アパホテルで一泊した。
 そして2日目の3月23日。チェックアウトまでホテルで過ごした後に北口から出る富山ライトレールに乗って岩瀬の街を巡ることにした。岩瀬は富山市内の中でも有数の港町で、北前船が寄港した港としても知られている。早速東岩瀬駅で降りて、北前船廻船問屋の「森家」に足を運んだ。森家は、テレビアニメの「サザエさん」のオープニングで富山市が取り上げられた時に紹介された上、秋篠宮さまが富山に来られた際には森家をご覧になったことでも知られている。北前船が多く来た富山は昆布が盛んに採れることもあり、船で昆布が関西に送られてきた。歴史ある建物の中に入ると、廻船問屋にふさわしい間など、北前船の来船で栄えた歴史の数々を眺めることができた。案内の方も分かりやすく説明をしてくださって感激を新たにした。
 そして、終点の岩瀬浜駅に着き、そのまま岩瀬浜へ。立山連峰を眺められるということで足を運んだが、その日は曇り空だったこともあり、眺めることはできなかった。それでも岩瀬浜に行けたのは素晴らしいことだったのだ。
 富山市を旅できたことは今も忘れることはできない。
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