一人旅日記

赤羽律紀

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1999年 長野県松本市

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 最初の本格的な一人旅は、信州・松本へ。かつて近所にあったイトーヨーカドー内にある旅行代理店を訪れて高速バスや宿の予約をした。
 初日(10月30日)は、新宿西口のバスターミナルで京王高速バスに乗り込んだ。かつてはここが発着地だったが、一台一台ごとに到着するために、交通整理も大変だったように思う。ひとまずバスは出発した。首都高や中央道を経由するルートなのだが、これが大変な道のりだったのだ。
 途中道は行楽地へ向かう人たちの車でいっぱいになっていた。テレビを見たくても見られない。高速バスの旅あるあるの真骨頂がここにあった。
 ひとまずバスは目的地の松本バスターミナルに着いた。松本市は、終着地がJR松本駅ではなく、松本バスターミナルになっている。そして、そのままバスで宿であるハミルトンイン松本(現・サザンクロスイン松本)に着いた。早速チェックインを済ませると、目的地である松本城へ。そこで国宝である松本城への天守閣まで階段を登った。
「道のりは結構長い」
 階段は急勾配の如くキツくて、旅の前途多難をうかがわせた。しかし、これも旅の醍醐味なのだ。そして、登り切ると松本市内の街並みとともに中央アルプスの稜線が見えてきた。
「やっとここまで辿り着けた」
 登った後の解放感とともに、信州の自然の素晴らしさを堪能させてもらった。
 その後はホテルに立ち寄った後、市内にある酒蔵の善哉(よいかな)酒造へ。
酒蔵見学をした際に試飲をしたのだが、油断しすぎて、飲み過ぎてしまった。当時は父譲りの酒飲みだった為油断してしまったことが災いしたのだろう。その後どうなったかは定かではないが、上撰の一升瓶を購入したことは覚えている。
 そして、その酔いが覚めぬ中2日目(10月31日)に入った。駅前のお蕎麦屋で蕎麦を頂いた。以来松本市に着くとこのお蕎麦屋で夕食として蕎麦をいただくのだ。蕎麦王国、信州ならではの味で忘れられない蕎麦になっている。
 その後は時間の許す限り、家族や職場に配るお土産探しに乗り出した。家族に申し訳ない気持ちとともにどんなお土産なら喜ばれるだろうかという思いで、雷鳥の里などのお菓子類やおむすびころりんの野沢菜茶漬を買いまくった。そして、帰りの高速バスに乗ったのだが、帰り道は中央道の渋滞に巻き込まれて四苦八苦した。その途中ネプチューンが出演したバラエティー番組のことや、当時の金八先生の主題歌を話す若い人たちのグループの話に耳を傾けた。
 お酒の失敗談もあるが、無事旅を終えることができたのは何よりも嬉しかった。こうして、一人旅第一弾は波乱の中無事終わることができたのである。
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