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世界を偶数にするということ
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ペアになれと言われるのが苦手だ。いつも奇数だ。一人余る。大人になると、誰かとペアになることが当然のように要求されている気がする。同じ性別でもペアになっていいんだからと、人類の数を数えてみた。奇数だった。いいや、僕は独身で生きていくさ、なんて考えて生きてきたんだけども。
電車で隣に変なおじさんがいた。呼吸法が独特だった。つられて同じ呼吸をしてしまった。その日から突然、身体が無色透明になってしまった。誰かに見られているわけじゃないから、これで人類もちょうど偶数になっていいんじゃないかなと。
ある日セミナーで隣の人とペアに、と講師が言った。隣の人は「よろしくお願いします」と挨拶してきた。すっとした姿勢に美しい髪。彼女は盲導犬を連れていた。
おどおどしている僕に、盲導犬が「俺、来年で引退なんだ。お前、彼女のペアになってくれよ」と言ってきた。世界を偶数にするのは、自分自身だ。その瞬間僕の身体に色が戻った。
電車で隣に変なおじさんがいた。呼吸法が独特だった。つられて同じ呼吸をしてしまった。その日から突然、身体が無色透明になってしまった。誰かに見られているわけじゃないから、これで人類もちょうど偶数になっていいんじゃないかなと。
ある日セミナーで隣の人とペアに、と講師が言った。隣の人は「よろしくお願いします」と挨拶してきた。すっとした姿勢に美しい髪。彼女は盲導犬を連れていた。
おどおどしている僕に、盲導犬が「俺、来年で引退なんだ。お前、彼女のペアになってくれよ」と言ってきた。世界を偶数にするのは、自分自身だ。その瞬間僕の身体に色が戻った。
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