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異世界地球編
15歳 勲章授与、辞令交付、そして……
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久しぶりの玉座の間、相変わらず高くて広い。
絨毯の外側には将軍と官僚が並ぶ。
その中で赤い絨毯の上に7列の縦隊で並び膝をつく。
「魔王陛下が入られます。」
その言葉に将軍たちも官僚たちも玉座に対して礼をし、それを維持する。
そして魔王が宰相を連れて入ってくる。
魔王は玉座に座り、宰相はその左側に立った。
「面を上げよ」
その言葉に将軍たちも官僚たちも顔を上げる。
ナベリウス大臣たちはそのままだ。
「これより、インド半島攻略における戦功が大であった者に対する勲章の授与式を始める。ナベリウス=ケルベロス空軍大将!」
「はい!」
ナベリウスは5段ほどの階段の上にある玉座の前まで行くと魔王様に一礼した。
「魔王国王はナベリウス=ケルベロス空軍大将に大勲位菊花章頸飾を授与する。魔王城においてみずから名を署し璽をおさせる。新魔王暦15年10月1日。魔王国宰相サピエンス=カンケラリウス」
玉座の間は拍手で包まれた。
ナベリウスは魔王から賞状を受け取り、勲章をかけられると段を下り、自分の居た列の一番後ろに回る。
(人数が多いからそういうやり方か)
やがてイツキの番になる
「イツキ・ロクス・ウリギノスス・エト・ウィルグルティス=オプシトゥス空軍大佐」
「はい!」
玉座への階段を上り魔王様に一礼した。
「魔王国王はイツキ・ロクス・ウリギノスス・エト・ウィルグルティス=オプシトゥス空軍大佐に桐花大綬章を授与する。魔王城においてみずから名を署し璽をおさせる。新魔王暦15年10月1日。魔王国宰相サピエンス=カンケラリウス」
賞状を受け取り、勲章をかけてもらう。
勲章は刺々しさは少し減った。
ナベリウスの真似をして自分の居た列の一番後ろに回る。
そうして全員に勲章が行き渡ったら終わりかと思ったが違ったようだ。
そこで、魔王様は宰相に小さく声をかけた。
「本日は特別に陛下よりお言葉がある。」
さらに魔王様は声をかける。
「イツキ・ロクス・ウリギノスス・エト・ウィルグルティス=オプシトゥス空軍大佐を第1王女として迎え入れる。王位継承権は第1位とする。この後、イツキ・ロクス・ウリギノスス・エト・ウィルグルティス=オプシトゥス空軍大佐はイツキ・サタン・ルシファー・イブリース・ロキ=プルガトリウムと名乗ることとする。以上」
その言葉に玉座の間はざわめいた。
世継ぎを決めていなかった魔王直々の言葉である。
視線はイツキに集まった。
「イツキ・ロクス・ウリギノスス・エト・ウィルグルティス=オプシトゥス空軍大佐、返事がないぞ!」
「はい!謹んでお受けいたします!」
「以上を以って授与式を終了とする」
こうしてイツキは5つ目の勲章をもらうと同時に魔王の養女となった。
式が終わって玉座の間を出ると、グレモリー少将が列から出た。
「ロンガ大将から辞令をもらうのでここで失礼します」
「うむ、今後も壮健でな」
ナベリウスが労いの言葉を掛ける。
「グレモリー団長、お世話になりました」
イツキも声を掛ける。
「ありがとう。アウィスによろしくね」
その声とともにグレモリー少将は去っていった。
そして別れを惜しむ暇などなく、空軍省へと戻っていく。
「アウィス。グレモリー少将が頑張ってって言ってたよ」
「ああ、団長、空軍から居なくなっちゃうんだっけ……さびしくなるなあ」
空軍省に戻ったらまず自分の部隊の部屋に戻った。
アウィスとそんな話をしているとトントがコーヒーを淹れてくれる。
やっぱり美味しい。
「イツキ・サタン・ルシファー・イブリース・ロキ=プルガトリウム空軍大佐は大臣室においで下さい」
「あれ、名前変わってない?」
「些細なことだよ。じゃあ、ちょっと行ってくるね」
アウィスに疑問に思われながらも大臣室へと向かう。
秘書に挨拶をしたら入るように促された。
コンコンとノックをする。
「イツキ・サタン・ルシファー・イブリース・ロキ=プルガトリウム空軍大佐、入ります!」
「入りたまえ」
大臣室に入室し、大臣の前に立ち一礼する。
「イツキ・サタン・ルシファー・イブリース・ロキ=プルガトリウム空軍大佐。空軍少将に昇任させる。第1戦闘攻撃団長を命ずる」
辞令を受け取って礼をするとナベリウスから声を掛けられた。
「今日のことも話したいし、明日からのことも話したい。少しいいかね?」
「問題ありません」
ということで応接スペースでお話だ。
「王女になるという話はどこから湧いて出たんだ?」
「5年ほど前でしょうか、海賊討伐の功績で勲章貰った後昼食会に呼ばれた時です」
ナベリウスもそんなことがあったと思い出した。
ナベリウスは変な恰好だと思ったのだが、それに魔王が興味を示し昼食に招かれたのだ。
「なるほど、では急な話ではなかったということだな」
「私にとってはですけど。大臣は驚かれたでしょう?」
「青天の霹靂とはまさにこのこと。後継者が決まったのだからな。それまでは魔王様が無くなられたら御子の内で誰がなるか争いになるのではないかと思われていたが、こんな策で来たとは。驚かされたよ。で、明日からのことなんだが、将軍となったからには将軍会議に出席してもらうことになる。毎週月曜日の夕方になる。会場はその時に案内しよう。時間になったら大臣室に来るように」
「わかりました。」
「それから、団長になったのだから個室を持てるのだがどうかね?」
偉い人は大臣の様に個室を持つものだがイツキには不要だった。
「小隊メンバーとの絆を重視してますのでこのままで大丈夫です」
「そうか、では自分の部隊の部屋に戻りなさい」
「はい。それから、この機会に小隊のメンバーと旅行に行ってきたいと思うのですが、問題ないですか?」
「残っている休暇日数の範囲内であれば問題ない。存分に楽しんできたまえ」
「ありがとうございます」
大臣室から出て部隊の部屋に戻る。
「はい、コーヒーのお代わりをどうぞ」
「ありがとう、トントさん」
相変わらずトントの淹れるコーヒーはおいしかった。
「少将になったんでしょ?部屋は貰わなかったの?」
「わたしはみんなと一緒に居るのがいいんだよ」
アウィスの問いに答える。
そのうちアモル以外の第111戦闘攻撃隊のメンバーが呼ばれる。
そして各々辞令をもらって戻ってきた。
「アモル!追いついたわよ」
「だが先に上に上がった私の方が上だ。敬えよ」
そんなやり取りをアウィスとアモルはやっていた。
「皆、辞令見せて」
そう頼むと各々見せてくれる。
アウィスとウェスが大佐、アンビティオとフランマが中佐だ。
今回の昇任で戦闘攻撃師団は群長のポストも埋まったことになる。
(今後、少将が出てくれば、今居る第2、第3戦闘攻撃団も団長が交代して魔王直属になるのだろう。)
「皆3週間くらい予定空いてない?」
そう問うと小隊はトントも含めて予定は開いているという。
「じゃあ、みんなで旅行に行きましょう」
「旅行って言うけど、どこに行くつもりよ?」
「パースとダーウィンとシドニーとアデレードとメルボルン?」
「全部魔王国本土内じゃない!」
「じゃあ、シドニーからニュージーランド島に行こう。帰りはメルボルンで」
「それならまだ行く気が起きるわ」
アウィスの旅行欲を出すのは大変だ。
「それで、いつから行くの?」
「明日からじゃ駄目?」
「列車や船のことも考えて予定は立てましょうね!列車の予約をしてから誘う様に!」
アウィスに念を押されてしまった。
「トントさん、こういう時ってどうすればいいかな?」
「旅行のことなら旅行代理店です」
旅行代理店あったんだ。
家業後にトントに連れていってもらい、城下町からダーウィン、ダーウィンからシドニー、シドニーから船でオークランド、その後ウェリントンからメルボルン、メルボルンからアデレード、アデレードからパース、パースから城下町へのチケットを確保しようとした。
しかし、日数が圧倒的に足りなかった。
シドニーオークランド間の2週間の船旅で休みが終わってしまう。
ということで、飛行魔法使いらしく飛んでいくことにした。
(トントさんは自分で運べばいいか)
そんなことを思っていた。
絨毯の外側には将軍と官僚が並ぶ。
その中で赤い絨毯の上に7列の縦隊で並び膝をつく。
「魔王陛下が入られます。」
その言葉に将軍たちも官僚たちも玉座に対して礼をし、それを維持する。
そして魔王が宰相を連れて入ってくる。
魔王は玉座に座り、宰相はその左側に立った。
「面を上げよ」
その言葉に将軍たちも官僚たちも顔を上げる。
ナベリウス大臣たちはそのままだ。
「これより、インド半島攻略における戦功が大であった者に対する勲章の授与式を始める。ナベリウス=ケルベロス空軍大将!」
「はい!」
ナベリウスは5段ほどの階段の上にある玉座の前まで行くと魔王様に一礼した。
「魔王国王はナベリウス=ケルベロス空軍大将に大勲位菊花章頸飾を授与する。魔王城においてみずから名を署し璽をおさせる。新魔王暦15年10月1日。魔王国宰相サピエンス=カンケラリウス」
玉座の間は拍手で包まれた。
ナベリウスは魔王から賞状を受け取り、勲章をかけられると段を下り、自分の居た列の一番後ろに回る。
(人数が多いからそういうやり方か)
やがてイツキの番になる
「イツキ・ロクス・ウリギノスス・エト・ウィルグルティス=オプシトゥス空軍大佐」
「はい!」
玉座への階段を上り魔王様に一礼した。
「魔王国王はイツキ・ロクス・ウリギノスス・エト・ウィルグルティス=オプシトゥス空軍大佐に桐花大綬章を授与する。魔王城においてみずから名を署し璽をおさせる。新魔王暦15年10月1日。魔王国宰相サピエンス=カンケラリウス」
賞状を受け取り、勲章をかけてもらう。
勲章は刺々しさは少し減った。
ナベリウスの真似をして自分の居た列の一番後ろに回る。
そうして全員に勲章が行き渡ったら終わりかと思ったが違ったようだ。
そこで、魔王様は宰相に小さく声をかけた。
「本日は特別に陛下よりお言葉がある。」
さらに魔王様は声をかける。
「イツキ・ロクス・ウリギノスス・エト・ウィルグルティス=オプシトゥス空軍大佐を第1王女として迎え入れる。王位継承権は第1位とする。この後、イツキ・ロクス・ウリギノスス・エト・ウィルグルティス=オプシトゥス空軍大佐はイツキ・サタン・ルシファー・イブリース・ロキ=プルガトリウムと名乗ることとする。以上」
その言葉に玉座の間はざわめいた。
世継ぎを決めていなかった魔王直々の言葉である。
視線はイツキに集まった。
「イツキ・ロクス・ウリギノスス・エト・ウィルグルティス=オプシトゥス空軍大佐、返事がないぞ!」
「はい!謹んでお受けいたします!」
「以上を以って授与式を終了とする」
こうしてイツキは5つ目の勲章をもらうと同時に魔王の養女となった。
式が終わって玉座の間を出ると、グレモリー少将が列から出た。
「ロンガ大将から辞令をもらうのでここで失礼します」
「うむ、今後も壮健でな」
ナベリウスが労いの言葉を掛ける。
「グレモリー団長、お世話になりました」
イツキも声を掛ける。
「ありがとう。アウィスによろしくね」
その声とともにグレモリー少将は去っていった。
そして別れを惜しむ暇などなく、空軍省へと戻っていく。
「アウィス。グレモリー少将が頑張ってって言ってたよ」
「ああ、団長、空軍から居なくなっちゃうんだっけ……さびしくなるなあ」
空軍省に戻ったらまず自分の部隊の部屋に戻った。
アウィスとそんな話をしているとトントがコーヒーを淹れてくれる。
やっぱり美味しい。
「イツキ・サタン・ルシファー・イブリース・ロキ=プルガトリウム空軍大佐は大臣室においで下さい」
「あれ、名前変わってない?」
「些細なことだよ。じゃあ、ちょっと行ってくるね」
アウィスに疑問に思われながらも大臣室へと向かう。
秘書に挨拶をしたら入るように促された。
コンコンとノックをする。
「イツキ・サタン・ルシファー・イブリース・ロキ=プルガトリウム空軍大佐、入ります!」
「入りたまえ」
大臣室に入室し、大臣の前に立ち一礼する。
「イツキ・サタン・ルシファー・イブリース・ロキ=プルガトリウム空軍大佐。空軍少将に昇任させる。第1戦闘攻撃団長を命ずる」
辞令を受け取って礼をするとナベリウスから声を掛けられた。
「今日のことも話したいし、明日からのことも話したい。少しいいかね?」
「問題ありません」
ということで応接スペースでお話だ。
「王女になるという話はどこから湧いて出たんだ?」
「5年ほど前でしょうか、海賊討伐の功績で勲章貰った後昼食会に呼ばれた時です」
ナベリウスもそんなことがあったと思い出した。
ナベリウスは変な恰好だと思ったのだが、それに魔王が興味を示し昼食に招かれたのだ。
「なるほど、では急な話ではなかったということだな」
「私にとってはですけど。大臣は驚かれたでしょう?」
「青天の霹靂とはまさにこのこと。後継者が決まったのだからな。それまでは魔王様が無くなられたら御子の内で誰がなるか争いになるのではないかと思われていたが、こんな策で来たとは。驚かされたよ。で、明日からのことなんだが、将軍となったからには将軍会議に出席してもらうことになる。毎週月曜日の夕方になる。会場はその時に案内しよう。時間になったら大臣室に来るように」
「わかりました。」
「それから、団長になったのだから個室を持てるのだがどうかね?」
偉い人は大臣の様に個室を持つものだがイツキには不要だった。
「小隊メンバーとの絆を重視してますのでこのままで大丈夫です」
「そうか、では自分の部隊の部屋に戻りなさい」
「はい。それから、この機会に小隊のメンバーと旅行に行ってきたいと思うのですが、問題ないですか?」
「残っている休暇日数の範囲内であれば問題ない。存分に楽しんできたまえ」
「ありがとうございます」
大臣室から出て部隊の部屋に戻る。
「はい、コーヒーのお代わりをどうぞ」
「ありがとう、トントさん」
相変わらずトントの淹れるコーヒーはおいしかった。
「少将になったんでしょ?部屋は貰わなかったの?」
「わたしはみんなと一緒に居るのがいいんだよ」
アウィスの問いに答える。
そのうちアモル以外の第111戦闘攻撃隊のメンバーが呼ばれる。
そして各々辞令をもらって戻ってきた。
「アモル!追いついたわよ」
「だが先に上に上がった私の方が上だ。敬えよ」
そんなやり取りをアウィスとアモルはやっていた。
「皆、辞令見せて」
そう頼むと各々見せてくれる。
アウィスとウェスが大佐、アンビティオとフランマが中佐だ。
今回の昇任で戦闘攻撃師団は群長のポストも埋まったことになる。
(今後、少将が出てくれば、今居る第2、第3戦闘攻撃団も団長が交代して魔王直属になるのだろう。)
「皆3週間くらい予定空いてない?」
そう問うと小隊はトントも含めて予定は開いているという。
「じゃあ、みんなで旅行に行きましょう」
「旅行って言うけど、どこに行くつもりよ?」
「パースとダーウィンとシドニーとアデレードとメルボルン?」
「全部魔王国本土内じゃない!」
「じゃあ、シドニーからニュージーランド島に行こう。帰りはメルボルンで」
「それならまだ行く気が起きるわ」
アウィスの旅行欲を出すのは大変だ。
「それで、いつから行くの?」
「明日からじゃ駄目?」
「列車や船のことも考えて予定は立てましょうね!列車の予約をしてから誘う様に!」
アウィスに念を押されてしまった。
「トントさん、こういう時ってどうすればいいかな?」
「旅行のことなら旅行代理店です」
旅行代理店あったんだ。
家業後にトントに連れていってもらい、城下町からダーウィン、ダーウィンからシドニー、シドニーから船でオークランド、その後ウェリントンからメルボルン、メルボルンからアデレード、アデレードからパース、パースから城下町へのチケットを確保しようとした。
しかし、日数が圧倒的に足りなかった。
シドニーオークランド間の2週間の船旅で休みが終わってしまう。
ということで、飛行魔法使いらしく飛んでいくことにした。
(トントさんは自分で運べばいいか)
そんなことを思っていた。
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