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10.愛ってなんだ
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いつか私にもチャンスがくるわ。
だって、どれほど市川が用心深い人だとしても、所詮は人間。
必ず何かぼろを出すはずよ。
そんなことを考えていた矢先のことだった。
私がその部屋の鍵らしきものを見付けたのは。
ある夜、私はどうしてか寝付けなかった。
寝ようと目を閉じても、一向に睡魔は訪れず、ただひたすらに無意味な時間が過ぎていった。
しまいにはそうやって寝ようとしていることに嫌気が差してきて、私はベッドから起き上がった。
「うん、一杯の水を飲んで、それでもまだ眠れないのなら、もう朝まで起きちゃいましょう」
明日は英語の小テストがあるけど、もう知らない。
恐らく爆睡のフルコースね。
先生、ごめんなさい。
そう言って、リビングに向かう。
食器棚から自分用のグラスを取り出すと、浄水器から水を出した。
そのまま冷たい水をぐいっと一気に飲み干して、私は空になったグラスをシンクの上に置いた。
さぁ部屋に戻ろう、とキッチンから出たときだった。
私の目に、何かが映った。
見慣れない何かが。
私はテーブルの上にあるそれに近づいていった。
この時点ではまだ何か分からなかったわ。
ただ、私の直感が告げていたのね。
ここに、探しているものがあるぞ。
ってね。
だから、恐る恐る近づいていった先に、鍵があるのを見付けたときの喜びは計り知れないわ。
しかも、私が一度も見たことのない鍵なのよ。
これはもう、これはもう。
試すしかないわ!!
そろり、そろり。
私は市川の部屋の前を通る。
扉に耳を当てて、物音がしないことを確認してからね。
そして、その隣の部屋の前。
私は今、そこに立っている。
私にだけ開かずの間。
私の知りたい何かがある場所。
いざ、尋常に勝負。
だって、どれほど市川が用心深い人だとしても、所詮は人間。
必ず何かぼろを出すはずよ。
そんなことを考えていた矢先のことだった。
私がその部屋の鍵らしきものを見付けたのは。
ある夜、私はどうしてか寝付けなかった。
寝ようと目を閉じても、一向に睡魔は訪れず、ただひたすらに無意味な時間が過ぎていった。
しまいにはそうやって寝ようとしていることに嫌気が差してきて、私はベッドから起き上がった。
「うん、一杯の水を飲んで、それでもまだ眠れないのなら、もう朝まで起きちゃいましょう」
明日は英語の小テストがあるけど、もう知らない。
恐らく爆睡のフルコースね。
先生、ごめんなさい。
そう言って、リビングに向かう。
食器棚から自分用のグラスを取り出すと、浄水器から水を出した。
そのまま冷たい水をぐいっと一気に飲み干して、私は空になったグラスをシンクの上に置いた。
さぁ部屋に戻ろう、とキッチンから出たときだった。
私の目に、何かが映った。
見慣れない何かが。
私はテーブルの上にあるそれに近づいていった。
この時点ではまだ何か分からなかったわ。
ただ、私の直感が告げていたのね。
ここに、探しているものがあるぞ。
ってね。
だから、恐る恐る近づいていった先に、鍵があるのを見付けたときの喜びは計り知れないわ。
しかも、私が一度も見たことのない鍵なのよ。
これはもう、これはもう。
試すしかないわ!!
そろり、そろり。
私は市川の部屋の前を通る。
扉に耳を当てて、物音がしないことを確認してからね。
そして、その隣の部屋の前。
私は今、そこに立っている。
私にだけ開かずの間。
私の知りたい何かがある場所。
いざ、尋常に勝負。
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