その女、女狐につき。

高殿アカリ

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7.嵐の前の何とやら

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 あるいは、と私はもう一つの可能性を考えてみる。



 もしかしたら、一花の発言は情報漏洩にはならないのかもしれない。



 そのことを多くの人が知っているのならば。



 なぜならば黒閻が必死に隠そうとしない限り、黒閻の情報はあっという間に広がるものであるからだ。



 フウガたちもそれを分かっていないわけでもないだろう。



 もしも本気で隠したいのならば、軽々しく一花にも告げないだろうし、例え伝えていたとしても箝口令を敷いているはずなのである。



 ……そういえば……。



 タイシやケイの趣味を調査したときに、ファンクラブの子たちが言っていたっけ。



「あのね、私たちね、実は毎年黒閻の夏休み旅行についていくの」



「そう、こっそりね」



「ばれたらファンであることを辞めさせられちゃうかもしれないから」



「でもその分、いつもより素の皆様を見ることが出来るし」



「ちょっとハラハラドキドキもして楽しいのよね」



「「「そうそう」」」



 ……うん、そうね。

 思い出したわ(遠い目)。



 ということは、別に知られても構わない情報だったってことか。



 なんか、拍子抜け。

 何もないには越したことがないんだけどさ。



 楽しそうに旅行について話す一花と、それを興味深そうに聞いている市川を眺める。



 うん、ということは次の段階に進んでも良いかな。



 ユマさんが一緒に来るってことだから、あれをこうして、そうすると。



 うんうん、なんだか良い感じになっちゃうんじゃなぁい?



 私たちと上手くやっていけるか見極めるため、だったかしら?



 何にせよ、ユマさんが参加してくれることになったのは素敵だわ。



 ますますセイさんを好きになっちゃいそう。



 うふふ、楽しくなってきた。



 そうね、まずは早速里奈と連絡を取りましょうか。
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