74 / 163
6.不穏
10
しおりを挟む
彼らは不満たらたらな様子で私に話していた。
まぁ、分からないこともないわ。
これじゃあ誰がトップでも変わらないものね。
そりゃフラストレーションも溜まるってもんよ。
私は眉毛を下げて話を聞いていた。
始終、相槌を打ち、私は彼らに同調した。
ついには彼ら、私にこう言ったのよ。
「この現状、愛美さんの方からフウガさんたちに伝えてくれませんか?」
「確かに、愛美ちゃんの言うことだったらあの人たちも聞いてくれるかもしんねぇな」
……私に頼むって……。
どうやらかなり限界みたいね。
「「「お願いします」」」
子犬のような顔をして(普段の三割増しで厳ついお兄さんたちなりに)、私に懇願してくる。
あぁ、その顔、嫌いじゃないのよね。
ぞくぞくと背中が歓喜に震えた。
「……期待はしないでください」
私の返事に彼らはきらきらとした瞳を向けてくる。
「「「あ、ありがとうございます!」」」
どこまでも純粋なその瞳。
私はそれを踏み潰したくてしょうがない。
だからね、絶対に伝えてなんかあげないわ。
せいぜいもがいて、足掻いて、苦しめばいいのよ。
うふふ、私って性悪ね。
そして溜まりに溜まった不満を爆発させればいいわ。
革命を起こしてくれても構わないのよ。
そうなったら私の計画もおじゃんになっちゃうけど。
それはそれで面白いと思うもの。
「こんな重大なお願い事してすんません」
「頑張ってください」
「うん、ありがとう。私、頑張ってみるね」
下っ端くんたちに激励されながら、私は倉庫の二階へと上っていった。
まぁ、分からないこともないわ。
これじゃあ誰がトップでも変わらないものね。
そりゃフラストレーションも溜まるってもんよ。
私は眉毛を下げて話を聞いていた。
始終、相槌を打ち、私は彼らに同調した。
ついには彼ら、私にこう言ったのよ。
「この現状、愛美さんの方からフウガさんたちに伝えてくれませんか?」
「確かに、愛美ちゃんの言うことだったらあの人たちも聞いてくれるかもしんねぇな」
……私に頼むって……。
どうやらかなり限界みたいね。
「「「お願いします」」」
子犬のような顔をして(普段の三割増しで厳ついお兄さんたちなりに)、私に懇願してくる。
あぁ、その顔、嫌いじゃないのよね。
ぞくぞくと背中が歓喜に震えた。
「……期待はしないでください」
私の返事に彼らはきらきらとした瞳を向けてくる。
「「「あ、ありがとうございます!」」」
どこまでも純粋なその瞳。
私はそれを踏み潰したくてしょうがない。
だからね、絶対に伝えてなんかあげないわ。
せいぜいもがいて、足掻いて、苦しめばいいのよ。
うふふ、私って性悪ね。
そして溜まりに溜まった不満を爆発させればいいわ。
革命を起こしてくれても構わないのよ。
そうなったら私の計画もおじゃんになっちゃうけど。
それはそれで面白いと思うもの。
「こんな重大なお願い事してすんません」
「頑張ってください」
「うん、ありがとう。私、頑張ってみるね」
下っ端くんたちに激励されながら、私は倉庫の二階へと上っていった。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
理不尽な理由で婚約者から断罪されることを知ったので、ささやかな抵抗をしてみた結果……。
水上
恋愛
バーンズ学園に通う伯爵令嬢である私、マリア・マクベインはある日、とあるトラブルに巻き込まれた。
その際、婚約者である伯爵令息スティーヴ・バークが、理不尽な理由で私のことを断罪するつもりだということを知った。
そこで、ささやかな抵抗をすることにしたのだけれど、その結果……。
【完結】双子の伯爵令嬢とその許婚たちの物語
ひかり芽衣
恋愛
伯爵令嬢のリリカとキャサリンは二卵性双生児。生まれつき病弱でどんどん母似の美女へ成長するキャサリンを母は溺愛し、そんな母に父は何も言えない……。そんな家庭で育った父似のリリカは、とにかく自分に自信がない。幼い頃からの許婚である伯爵家長男ウィリアムが心の支えだ。しかしある日、ウィリアムに許婚の話をなかったことにして欲しいと言われ……
リリカとキャサリン、ウィリアム、キャサリンの許婚である公爵家次男のスターリン……彼らの物語を一緒に見守って下さると嬉しいです。
⭐︎2023.4.24完結⭐︎
※2024.2.8~追加・修正作業のため、2話以降を一旦非公開にしていました。
→2024.3.4再投稿。大幅に追加&修正をしたので、もしよければ読んでみて下さい(^^)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる