その女、女狐につき。

高殿アカリ

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6.不穏

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 彼らは不満たらたらな様子で私に話していた。



 まぁ、分からないこともないわ。

 これじゃあ誰がトップでも変わらないものね。



 そりゃフラストレーションも溜まるってもんよ。



 私は眉毛を下げて話を聞いていた。

 始終、相槌を打ち、私は彼らに同調した。



 ついには彼ら、私にこう言ったのよ。



「この現状、愛美さんの方からフウガさんたちに伝えてくれませんか?」



「確かに、愛美ちゃんの言うことだったらあの人たちも聞いてくれるかもしんねぇな」



 ……私に頼むって……。

 どうやらかなり限界みたいね。



「「「お願いします」」」



 子犬のような顔をして(普段の三割増しで厳ついお兄さんたちなりに)、私に懇願してくる。



 あぁ、その顔、嫌いじゃないのよね。

 ぞくぞくと背中が歓喜に震えた。



「……期待はしないでください」



 私の返事に彼らはきらきらとした瞳を向けてくる。



「「「あ、ありがとうございます!」」」



 どこまでも純粋なその瞳。

 私はそれを踏み潰したくてしょうがない。



 だからね、絶対に伝えてなんかあげないわ。

 せいぜいもがいて、足掻いて、苦しめばいいのよ。



 うふふ、私って性悪ね。



 そして溜まりに溜まった不満を爆発させればいいわ。

 革命を起こしてくれても構わないのよ。



 そうなったら私の計画もおじゃんになっちゃうけど。

 それはそれで面白いと思うもの。



「こんな重大なお願い事してすんません」



「頑張ってください」



「うん、ありがとう。私、頑張ってみるね」



 下っ端くんたちに激励されながら、私は倉庫の二階へと上っていった。
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