その女、女狐につき。

高殿アカリ

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6.不穏

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 もちろん、風邪というのは嘘。



 私だって、花の女子高校生。



 毎日、学校に生徒会、それから倉庫なんてつまらないにも程があるでしょうよ。



 今は計画の途中だから、仕方なしに我慢しているけれど。



 時にはこうして休息も必要でしょう?



 私は自室のクローゼットを開け、用意していた変装道具を取り出した。



 さぁて、羽を伸ばさなくっちゃ。



 明るい茶髪ロングの鬘。

 黄色のカラーコンタクト。

 ひらひらぶりぶりショッキングピンクのお洋服。



 肩出し、へそ出し、足出し、スタイル。



 黒のピンヒールを履いて、愛美ちゃん(ギャルバージョン)の完成よ。



 黒閻の人たちがこの私を見たらかなりショッキングなんじゃないかしら。

 ショッキングピンクなだけに。



 ……なんてね。



 どうやらちょっとテンションが高いようね。

 落ち着いていきましょう、愛美。



 玄関にある全身鏡でチェックをしていると、家のインターンホンが鳴った。



 ぴーん、ぽーん。



「はーい!」



 ヴィトンの鞄を持って外に出ると、そこには里奈が私を待っていた。



 里奈もまた同じく変装をしていた。



 赤いショートヘアの鬘。

 灰色のカラーコンタクト。

 男物の服装。



 シークレットブーツを履いて身長を盛っている為、今の彼女はどこからどう見ても少しやんちゃな男の子だった。



「お待たせ」



 私はそんな里奈に甘く微笑み、その手に指を絡ませた。



 派手子と派手男のカップル誕生ね。
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