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4.腹黒愛美、本領発揮。の一つ手前
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第二ラウンド、開幕。
「ありがとうございます。うーんと、それならコーヒーにします」
私はそう告げると、軽やかに立ち上がり、タイシの元に駆け寄った。
「え、コーヒーでええん? サイフォンっていうやつとかで挽けんの?」
驚くタイシに笑いかけ、私はコーヒー豆とサイフォンを見た。
「あ、はい。これなら大丈夫です。お家で使っているものと一緒ですから」
私の言葉にケイがパソコンから顔を上げる気配がした。
おほほ、なめて貰っちゃあ困るわ。(二回目)
タイシ様の趣味も調査済みということは……。
そう、あなたの好きなもの、凝っているものも調査済みということよ、ケイ様。
ケイ様にも当然ファンの子たちがいる。
彼女たちから聞いたわ、あなたのコーヒーには拘りがあると。
お家で使っている?
もちろん、嘘よ。
これまた、自称ケイ様ファンクラブ会長の子のお家で使わせて頂いたのよ。
家じゃ、インスタントコーヒーがせいぜいね。
コーヒーにわざわざ拘る理由も分からないし、そもそもコーヒーの味の違いも分からない。
とは言え、サイフォンを使えるくらいがなんだ、と思っているんでしょうね。
まだまだ、これからよ。
私はコップを二つ拝借し、サイフォンの前に立った。
何をするのかと楽し気に私を見つめるのは、オレンジジュースの入ったコップを持ったタイシだ。
私はしかるべき手順を踏んで、コーヒーを二つ作った。
そう、しかるべき手順でね。
「ありがとうございます。うーんと、それならコーヒーにします」
私はそう告げると、軽やかに立ち上がり、タイシの元に駆け寄った。
「え、コーヒーでええん? サイフォンっていうやつとかで挽けんの?」
驚くタイシに笑いかけ、私はコーヒー豆とサイフォンを見た。
「あ、はい。これなら大丈夫です。お家で使っているものと一緒ですから」
私の言葉にケイがパソコンから顔を上げる気配がした。
おほほ、なめて貰っちゃあ困るわ。(二回目)
タイシ様の趣味も調査済みということは……。
そう、あなたの好きなもの、凝っているものも調査済みということよ、ケイ様。
ケイ様にも当然ファンの子たちがいる。
彼女たちから聞いたわ、あなたのコーヒーには拘りがあると。
お家で使っている?
もちろん、嘘よ。
これまた、自称ケイ様ファンクラブ会長の子のお家で使わせて頂いたのよ。
家じゃ、インスタントコーヒーがせいぜいね。
コーヒーにわざわざ拘る理由も分からないし、そもそもコーヒーの味の違いも分からない。
とは言え、サイフォンを使えるくらいがなんだ、と思っているんでしょうね。
まだまだ、これからよ。
私はコップを二つ拝借し、サイフォンの前に立った。
何をするのかと楽し気に私を見つめるのは、オレンジジュースの入ったコップを持ったタイシだ。
私はしかるべき手順を踏んで、コーヒーを二つ作った。
そう、しかるべき手順でね。
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