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2.生徒会へようこそ
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結局のところ、一花は生徒会役員になった。
私の説得が功を奏したの。
とか、カッコよく言ってみたかったんだけど……。
別にそういうわけじゃないらしい。
でも、そういうことにしておこうと思う。
黒閻の総長判断より、一花の気持ちを大事にしたって思ってもらえるからね。
だから、今日も今日とて私は倉庫に通うのです。
あぁ、なんて健気なの。
まるで小公女セイラとかみたい。
私が主役になれる日が近いのかもね。
だって、ここまで尽くしているのよ?
報われなくちゃ、それは嘘よ。
とかなんとか、私はかなりご機嫌だった。
だって、一花のいない倉庫は快適そのもの。
下っ端くん達は相変わらず私の味方だし、幹部たち三人も前ほど私を邪険にしていないもの。
もちろん、まだ二階にはあげてもらえていないけれど。
でもその代わりに、彼らが一階に降りてくるようになったの。
一花の様子を私から聞きたいが為にね。
ほんと、妬けちゃうわ。
でも、今はこれが一筋の希望なの。
なんて言ったら大げさかしら?
この一花がくれたチャンスを逃したら、私は二度と上には登れない。
うまいように使わなくっちゃ。
ほとんど私の匂いが染み付いた倉庫内。
彼らはいつも同じことを問う。
「一花さんは、怒っていますよね」
と、しょんぼりのケイ。
髪の色だけじゃなく、顔色まで真っ青よ。
「そ、そんなことないよ~。元気出して、ね? ……あ、でもっ」
そう言って、慌てたように口を手で押さえる。
ここで大げさにするのが肝心。
お馬鹿な子って思われているのは楽だから。
お馬鹿な子は、素直でしょう?
素直な子は嘘なんか吐けない。
ほら、たっくさんの真実を作り放題じゃない。
そんな私の思惑に気付くことなく、タイシが金髪の奥から睨みを利かせる。
私の説得が功を奏したの。
とか、カッコよく言ってみたかったんだけど……。
別にそういうわけじゃないらしい。
でも、そういうことにしておこうと思う。
黒閻の総長判断より、一花の気持ちを大事にしたって思ってもらえるからね。
だから、今日も今日とて私は倉庫に通うのです。
あぁ、なんて健気なの。
まるで小公女セイラとかみたい。
私が主役になれる日が近いのかもね。
だって、ここまで尽くしているのよ?
報われなくちゃ、それは嘘よ。
とかなんとか、私はかなりご機嫌だった。
だって、一花のいない倉庫は快適そのもの。
下っ端くん達は相変わらず私の味方だし、幹部たち三人も前ほど私を邪険にしていないもの。
もちろん、まだ二階にはあげてもらえていないけれど。
でもその代わりに、彼らが一階に降りてくるようになったの。
一花の様子を私から聞きたいが為にね。
ほんと、妬けちゃうわ。
でも、今はこれが一筋の希望なの。
なんて言ったら大げさかしら?
この一花がくれたチャンスを逃したら、私は二度と上には登れない。
うまいように使わなくっちゃ。
ほとんど私の匂いが染み付いた倉庫内。
彼らはいつも同じことを問う。
「一花さんは、怒っていますよね」
と、しょんぼりのケイ。
髪の色だけじゃなく、顔色まで真っ青よ。
「そ、そんなことないよ~。元気出して、ね? ……あ、でもっ」
そう言って、慌てたように口を手で押さえる。
ここで大げさにするのが肝心。
お馬鹿な子って思われているのは楽だから。
お馬鹿な子は、素直でしょう?
素直な子は嘘なんか吐けない。
ほら、たっくさんの真実を作り放題じゃない。
そんな私の思惑に気付くことなく、タイシが金髪の奥から睨みを利かせる。
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