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皇女アルミラの楽しい世界征服
激突! その8
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「ぐぁっ!」
フラジミルの前蹴りが下腹部に突き刺さり、俺はついにヒザを突く。
「うおおぉぉぉぉぉっっ!!」
「ヤツが膝を突いたぞぉっ!」
「あの子のまだまだ痛みこんなもんじゃないわっ!!」
「さすがフラジミル様っ!異世界勇者もフラジミル様の手に掛かればこんなモンだっ!」
フラジミルの優勢に観客は熱狂し、その歓声で闘技場は割れんばかりだ。
一方、ハヤトの予想外の苦戦にケーラ達は驚愕する。
「おいおいおいっ!ヤバいんじゃねぇかっ?!大将が膝突いちまったゾ?!」
「拙者、ハヤト様のあの様な姿初めて見たぞっ」
「アイツ、本当に強かったんだ…」
「あのおチンポは勿体ないけど、ちょっとこれは…最悪を考えとかなきゃダメかな…?」
皆が弱気になる中、
「ハヤト様ぁーーーっ!立ってくださぁぁいっっ!!」
アルフリーヌは一人声を張り上げる。
「貴女達っ!!」
「は、はいっ!」
「貴女達もワタクシ同様ハヤト様の薫陶を受けたのでしょう!それがそんな弱気でどうするのですっ!!」
「っ!!」
アルフリーヌが弱気になる皆を一喝する。
「ほらっ!声を出して!しっかりハヤト様を応援しますわよっ!」
「そうだな、我々メイドが主を信用しないようではっ!」
「ああ、ルヴォーク様に殺されっちまうな!」
「ハ、ハヤト様ぁっ!まだまだイケますよっ!」
「そんなヤツ、ちゃちゃっとぶっ飛ばしてくださぁいっ!!」
アルフリーヌに叱責され、シンム達も声を張り上げ応援する。
「ふん、健気なものだな」
「アイツら…」
ーゴンッ!ー
「っぶっ!」
俺は顔面を蹴り上げられる。どうやら鼻が折れたようで、鼻血が勢いよく吹き出す。
「こんなボロボロの男に何を期待しているのか…むしろ滑稽だな」
「はぁ…はぁ…うぷぉっ」
フラジミルの蔑む声が聞こえる。俺は溢れる鼻血を防ごうと鼻を押さえるが、鼻血は口内へ逆流してくる。
逆流した鼻血が喉を塞ぎ、息がしにくい。
殴られ続けた口内はザクロの様にグチャグチャで既に血だらけだが、さらに口内が鉄臭くなる。
「もう十分でしょう。貴殿は良く戦った。
ハヤト殿、負けを認めなさい。そして、帝国へ降り、アルミラ殿下に忠誠を誓うと言いなさい。」
フラジミルは俺に負けを勧め仕合の決着を促すが、冗談じゃないっ!
「…ふざけ…ーっ」
ーゴンッー
「がっ!」
言い終わる前に側頭部を蹴り飛ばされ、衝撃に頭がクラクラする。
「…どうですか?」
「黙…グァっ」
ーガンッ!ー
また、言い終わる前に蹴り飛ばされる。
ーゴンっ!ガンッ!ゴリッ!ゴガッ!ー
フラジミルは何度も殴りつけると、
「…どうですか?」
「……」
ーペッー
口の中がグチャグチャに腫れて話すことも出来なくなった俺は、血まみれのツバを吐き掛け意思表示する。
ヤツの顔の辺りに飛ばしたつもりだったが実際は全然飛ばず、ツバは俺の足元にポタリと糸を引きながら、力無く落ちた。
フラジミルは俺の足元に落ちた真っ赤なツバを見つめると、
ードッ!ー
「!」
無言で俺の顔面を前蹴りで蹴り飛ばし、ついに俺は舞台に仰向けに倒れた。
「うおーっ!殺せぇっ!」
「もう仕合なんてどうでもいいわっ!ソイツを殺してぇっ!!」
「フラジミル様ぁっ!息子の無念を晴らしてやってくだせぇっ!」
「コ・ロ・セッ!コ・ロ・セッ!コ・ロ・セッ!コ・ロ・セッ!」
負けを認めない俺に観客たちは苛立ち、ついに闘技場は大殺せコールに包まれる。
フラジミルは客席の一番上に座るアルミラに、指示を仰ぐための視線を送る。
「ふぅ…馬鹿な男よ」
ーコクリー
彼女も折れない俺に業を煮やしたのだろう、短くため息を吐くと、フラジミルに許可を出すように静かに頷く。
ーさく…さく…ー
フラジミルの近づく足音が、背中越しに伝わる。
「…様の強…志に敬…を示し、一思……してやる」
フラジミルが何か話しかけているが、酷い耳鳴りでよく聞こえない。
俺は声のする方へ手を伸ばす。
「ふー…ふー…」
ーガシッ…ー
どうやら、フラジミルの膝当に手が架かったようだ。
俺はそれを足掛かりに、フラジミルの体に寄り掛かりながら、なんとか起き上がる。
「ふぅー…はぁー…」
そしてついに、俺は膝立ちまで立ち上がった。
「貴殿はよく戦いました。今、楽にしてあげましょう」
フラジミルから労いの言葉を掛けられる。
『オマエがボコボコにしたんだろうがっ!』
そう叫んだつもりだったが、
「あー…うぁー…」
出て来たのはただのうめき声だった。
「貴殿は私が戦った中で一番の強者でした。私は貴殿を忘れることはないでしょう」
腰にしがみ付く痛々しい俺に、フラジミルの声にも憐みが感じられる。
「何か言い残す事はありますか?…しゃべれるなら、ですが」
フラジミルは少し申し訳なさそうだ。ボコりすぎたと反省でもしてるんだろうか?
「こぇ…ぉ…まっ…ぁ…」
俺は声を振り絞りる。
「?なんですか?」
俺の言葉を聞き取ろうと、フラジミルは俺に耳を近づける。
「これを…待ってた…」
そう呟くと、俺はフラジミルの腰を思い切り引き寄せたー。
つづく
フラジミルの前蹴りが下腹部に突き刺さり、俺はついにヒザを突く。
「うおおぉぉぉぉぉっっ!!」
「ヤツが膝を突いたぞぉっ!」
「あの子のまだまだ痛みこんなもんじゃないわっ!!」
「さすがフラジミル様っ!異世界勇者もフラジミル様の手に掛かればこんなモンだっ!」
フラジミルの優勢に観客は熱狂し、その歓声で闘技場は割れんばかりだ。
一方、ハヤトの予想外の苦戦にケーラ達は驚愕する。
「おいおいおいっ!ヤバいんじゃねぇかっ?!大将が膝突いちまったゾ?!」
「拙者、ハヤト様のあの様な姿初めて見たぞっ」
「アイツ、本当に強かったんだ…」
「あのおチンポは勿体ないけど、ちょっとこれは…最悪を考えとかなきゃダメかな…?」
皆が弱気になる中、
「ハヤト様ぁーーーっ!立ってくださぁぁいっっ!!」
アルフリーヌは一人声を張り上げる。
「貴女達っ!!」
「は、はいっ!」
「貴女達もワタクシ同様ハヤト様の薫陶を受けたのでしょう!それがそんな弱気でどうするのですっ!!」
「っ!!」
アルフリーヌが弱気になる皆を一喝する。
「ほらっ!声を出して!しっかりハヤト様を応援しますわよっ!」
「そうだな、我々メイドが主を信用しないようではっ!」
「ああ、ルヴォーク様に殺されっちまうな!」
「ハ、ハヤト様ぁっ!まだまだイケますよっ!」
「そんなヤツ、ちゃちゃっとぶっ飛ばしてくださぁいっ!!」
アルフリーヌに叱責され、シンム達も声を張り上げ応援する。
「ふん、健気なものだな」
「アイツら…」
ーゴンッ!ー
「っぶっ!」
俺は顔面を蹴り上げられる。どうやら鼻が折れたようで、鼻血が勢いよく吹き出す。
「こんなボロボロの男に何を期待しているのか…むしろ滑稽だな」
「はぁ…はぁ…うぷぉっ」
フラジミルの蔑む声が聞こえる。俺は溢れる鼻血を防ごうと鼻を押さえるが、鼻血は口内へ逆流してくる。
逆流した鼻血が喉を塞ぎ、息がしにくい。
殴られ続けた口内はザクロの様にグチャグチャで既に血だらけだが、さらに口内が鉄臭くなる。
「もう十分でしょう。貴殿は良く戦った。
ハヤト殿、負けを認めなさい。そして、帝国へ降り、アルミラ殿下に忠誠を誓うと言いなさい。」
フラジミルは俺に負けを勧め仕合の決着を促すが、冗談じゃないっ!
「…ふざけ…ーっ」
ーゴンッー
「がっ!」
言い終わる前に側頭部を蹴り飛ばされ、衝撃に頭がクラクラする。
「…どうですか?」
「黙…グァっ」
ーガンッ!ー
また、言い終わる前に蹴り飛ばされる。
ーゴンっ!ガンッ!ゴリッ!ゴガッ!ー
フラジミルは何度も殴りつけると、
「…どうですか?」
「……」
ーペッー
口の中がグチャグチャに腫れて話すことも出来なくなった俺は、血まみれのツバを吐き掛け意思表示する。
ヤツの顔の辺りに飛ばしたつもりだったが実際は全然飛ばず、ツバは俺の足元にポタリと糸を引きながら、力無く落ちた。
フラジミルは俺の足元に落ちた真っ赤なツバを見つめると、
ードッ!ー
「!」
無言で俺の顔面を前蹴りで蹴り飛ばし、ついに俺は舞台に仰向けに倒れた。
「うおーっ!殺せぇっ!」
「もう仕合なんてどうでもいいわっ!ソイツを殺してぇっ!!」
「フラジミル様ぁっ!息子の無念を晴らしてやってくだせぇっ!」
「コ・ロ・セッ!コ・ロ・セッ!コ・ロ・セッ!コ・ロ・セッ!」
負けを認めない俺に観客たちは苛立ち、ついに闘技場は大殺せコールに包まれる。
フラジミルは客席の一番上に座るアルミラに、指示を仰ぐための視線を送る。
「ふぅ…馬鹿な男よ」
ーコクリー
彼女も折れない俺に業を煮やしたのだろう、短くため息を吐くと、フラジミルに許可を出すように静かに頷く。
ーさく…さく…ー
フラジミルの近づく足音が、背中越しに伝わる。
「…様の強…志に敬…を示し、一思……してやる」
フラジミルが何か話しかけているが、酷い耳鳴りでよく聞こえない。
俺は声のする方へ手を伸ばす。
「ふー…ふー…」
ーガシッ…ー
どうやら、フラジミルの膝当に手が架かったようだ。
俺はそれを足掛かりに、フラジミルの体に寄り掛かりながら、なんとか起き上がる。
「ふぅー…はぁー…」
そしてついに、俺は膝立ちまで立ち上がった。
「貴殿はよく戦いました。今、楽にしてあげましょう」
フラジミルから労いの言葉を掛けられる。
『オマエがボコボコにしたんだろうがっ!』
そう叫んだつもりだったが、
「あー…うぁー…」
出て来たのはただのうめき声だった。
「貴殿は私が戦った中で一番の強者でした。私は貴殿を忘れることはないでしょう」
腰にしがみ付く痛々しい俺に、フラジミルの声にも憐みが感じられる。
「何か言い残す事はありますか?…しゃべれるなら、ですが」
フラジミルは少し申し訳なさそうだ。ボコりすぎたと反省でもしてるんだろうか?
「こぇ…ぉ…まっ…ぁ…」
俺は声を振り絞りる。
「?なんですか?」
俺の言葉を聞き取ろうと、フラジミルは俺に耳を近づける。
「これを…待ってた…」
そう呟くと、俺はフラジミルの腰を思い切り引き寄せたー。
つづく
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