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私を水の都へ連れてって

水の都ミュール その5

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「も…もっと…?」
俺はゴクリとつばの飲み込む。
「はい♡もっと…他のトコロも♡」

ーす…すす…ー
エイクは長いスカートの裾を手繰り上げていく。
「ハヤト様に触っていただくために、
お手入れ頑張ってるんですから…♡」
「お、俺のため…。」

スカートが手繰られ、真っ白な太ももが露わになる。
「ねぇ、触ってください…。」
エイクは蠱惑的な笑みを浮かべ、
胸に挟んだのとは反対の手を掴むと、
自分の太ももへと誘う。

ああ、これはダメだ。
絶対触っちゃダメなヤツだ。
だって太ももだけで止まれる自信がないもん。
ダメだ、絶対触っちゃダメだっ!

頭では理解しているが、
俺の手はエイクに誘われ、
肉付きの良い、白く輝く太ももへ引き寄せられるのを拒まない。

アーーーーッ!!もうダメーっ!!!
俺が心の中で悲鳴を上げた瞬間、

「ハヤト様、馬預かって頂いてきました。
お腹減ってたみたいで、凄い食べっぷりでしたよ。」
突然部屋の扉が開き、カシネとスエンが入ってきた。
た、助かったっ!
我に帰った俺は、慌てて手を引き抜くと、エイクと距離を取る。

「あら、残念。」
エイクが悪戯っぽく微笑む。
俺は自分の手をまじまじと見る。
数瞬前までエイクの谷間に挟まれていた手には、
未だ感触と暖かさが残っている。

ーすんすん、すんすんー
俺がその手の香りを嗅ごうとすると、
スエンが鼻をヒクヒクさせ始めた。
「どうした、スエン?」
「なんかぁ、エッチな匂いがしますねぇ~。
ナニかなさってましたぁ~?」
スエンがジロリと俺を睨む。
は、鼻が良いとそんなんまでわかるのかっ?!

「な、何もないっ、何もないぞ、スエンっ!」
「本当ですかぁ~?」
「本当だっ!なあ、エイク!」
「そうですね、、なかったですね♡」
ちょっと、思わせぶりな事言わないでっ!

「まあ、良いですけどぉ~。
…それより、素晴らしいお部屋ですねぇ~。
さすが海運業で古くから財を成されたミュール領領主様。」
「それに、とっても…美味し…甘い香りが…。
香ですかね?」
香じゃないよ、お菓子だよ。
カシネの目が、机の上のお菓子をチラチラと…。
興味があるのだろうが、メイドの身として抑えているようだ。

「どうぞ、お二人も座って、お食べになってください。」
「お気遣いありがとうございます。
ですが我々はハヤト様の従者、
そのような事は…。」
「いいえ、我が邸宅へお招きした以上、お二人も私達の客人です。
なんの気兼ねが要りましょう。
さあ、お茶を御淹れいたしましょう…。」
エイクはカシネの言葉を遮ると、
2人に茶を淹れようとポットの方へー。

「わ、私がぁ~っ!」
エイクに淹れさせるわけにはいかない、とスエンが慌てて駆け寄る。

「あら、それではお願いします。
では、お茶はエイクさんにお任せして、カシネさんはお座りになって。」
エイクがニッコリ微笑んで席を勧める。
「あ、ありがとうございますっ。」
カシネが俺の隣に座ろうとするが、
一瞬早くエイクが座る。

「あら、ごめんなさい。」
口調は申し訳なさそうだが、席を譲る素振りは微塵も見えない。
「い、いえ、僕はコッチで…。
わ、わあ、スゴい座り心地。」
エイクの無言の圧力に屈したカシネは、そそくさと別のソファへ腰を下ろす。

なんてこった。
屋敷に入ってからずぅっと、エイク達の思うがまま、掌の上か…。
いや、エイクが先導しに来た時から、
なんなら、報告会の後に声を掛けられた時からか?
…これも全部、マルクタス家家令の策略か…?
俺の中のイメージが孔明から韓信にレベルアップした。

「ハヤト様?」
「は、はい?」
「どうされました?上の空でしたよ?」
「す、少し考え事を…。
なぁ、お前のトコに有名な家令がいるって聞いたんだー痛っ!」
太ももに突然痛みが走る。
エイクがつねったのだ。

「え、エイク?」
「久し振りにお逢いできましたのに、他の女性の話なんてっ。」
エイクが頬をふくらます。
拗ねた顔もメチャクチャ可愛い。

「そ、そんなつもりはなかったんだっ!
ってか、女性なのかっ?」
「当家の家令は女性です。
ご興味がおありでしたら、いづれご紹介致します。」
「ああ、ありがとう。頼むよ。」
早く敵を確認しないと、イメージがどんどん膨らんでしまう。

「あ、ハヤト様ったら。お口にお菓子のクズが…。」
そう言うと、エイクは俺に寄りかかる。
「おい、エイク…。」
「でも今は…私だけを見てください…。」
しなだれかかってきたエイクが、
カシネとスエンの目を盗んで、耳元で囁く。
「…後で続きをいたしましょ♡」

ーペロリ♡ー
離れ際、口元のお菓子を舌で舐めとるエイク。
「ふふ♡」

脳ミソ直撃だ。

つづく
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