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アルフラーデ王国連合と異世界勇者

閑話休題ーその頃の公爵邸 その4ー

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ロイヒに案内さたのは王城の中庭にある庭園。
王城自慢のその庭園のキレイに咲き誇る花壇の花々、丁寧に剪定され整った生垣、
おとぎ話の中で見る様な庭園に、道祖は目を輝かせた。

しかし、遠くにガゼボ(庭園にある屋根付きの西洋風のあずまや)が見えると、道祖の楽しい気分は吹き飛んだ。
近くで見るガゼボは豪華な装飾が施され、立派だ。
柱に掘られた装飾の一部で所々輝いているのは金だろうか?
とても野外の建物とは思えない豪華さ、さすが世界に冠するオスル王国。
その豪華な造りに見惚れながら、道祖は困惑していた。

「どうぞ、こちらへ。」
「あ、ありがとうございます…。」
メイド服の侍女の勧めで席に着く。
一緒に着席したツェ―カは悠然と座っているが、道祖はソワソワ落ち着かない。緊張で恐縮しっぱなしだ。
『女王陛下って、この国で一番偉い人だよね…。確か召喚された時に謁見の間で会ったけど、
あの時はまだ混乱してたし、それどころじゃなかったけど、これは困るよ…。』
一女子高生が国家君主に会う、中々想像出来ない話だ。
しかも、陛下直々にお茶のお誘い…、緊張しない方がおかしい。
『でも、凛ちゃんだったら、大丈夫そうだな…。』
道祖は一足先にこの世界へ順応した親友を思う。
『私も、凛ちゃんみたいだったらな…。もっと楽しく過ごせてるのかな…。』
俯いて、自分の爪先をじっと見る。
『…そしたら、高御座君とも…。』
爪先を揺らし宙で、た・か・み…と書いていると、

「アスカ。」
「え?!」
横からツェ―カの小声で呼ぶ声が。
顔を上げると、一人の少女が侍女を従え歩いてくる。
『わわっ!』
立ち上がろうとするツェ―カにならい、道祖も慌てて立ち上がろうとするが、

「よいのです、そのままで。」
少女はニッコリと笑いながら、それを制する。
「お待たせしてしまって、申し訳ありません。私がお呼びしたのに…。」
「いえ、とんでもありませんっ!」
軽く頭を下げる少女に、道祖は親近感のような、好印象を抱く。
「陛下、こちらがハヤト殿と御一緒に召喚された、ドウソ・アスカ様です。」
ロイヒの紹介に慌てて、
「道祖飛鳥です!初めま…あれ?二度目まして?ほ、本日はおまにぇきいたた…。」
「クスッ。」
盛大に噛んだ道祖に、少女が思わず吹き出す。
「ご、ごめんなさい。そんなに慌てなくて大丈夫です。
私はエタールシア、この国の女王です。」

「お口に合うか、わかりませんが…。」
次々と供されたお菓子の数々は、そのどれもが可愛らしく美しく、食べるのを躊躇わさせ、
もちろん味でも道祖を喜ばせた。
美味しいお茶とお菓子に、いつしか道祖の緊張もほぐれ、
年が近いこともあってか、二人の話は盛り上がった。
色々な話の中でもエタールシアは、道祖の学生生活や家電製品、法律や習慣など、元の世界の話に興味津々だ。
ただ、元の世界での話をエタールシアがあまりにも新鮮そうに聞いているので、
「高御座君とは、元の世界の話をしなかったんですか?」
道祖は疑問に思って聞いてみた。
「…そうですね…。ハヤト様とはあまり、お話しする機会がありませんでしたから…。」
エタールシアは悲しそうに笑う。

「先代の王、私の父が、ハヤト様を殺そうとしまして…。」
「あ…。」
そう言えば、召喚された時にハヤトが先王の悪口を言っていたのを思い出した。
「いきなり勝手に召喚したのですから、誠心誠意お世話させていただくべきでした。なのに父は…。
父に働きかけて、領地や爵位で非礼を詫びたつもりですが、きっとハヤト様はまだお怒りでしょう…。」
エタールシアは俯き、黙ってしまった。

道祖は落ち込んだエタールシア元気づけようと、
「あ、あの…。高御座君はとても優しい男の子です!きっと、陛下の事を怒ってなんかいませんよ!」
「…そうでしょうか?」
「はい!元の世界でも、何度も助けてもらって!それに、とっても真面目…なんです?」
こっちに来てからエッチになった、とは言えず、少し言いよどむ。
道祖は、元の世界でのハヤトに助けられた時の事を思い出す。
『そうだ、高御座君は優しい人だった。きっと今でも変わらない!
部屋から出て、ちゃんと、話し合ってみよう!』
「だ、だから!大丈夫です!」
大丈夫、この言葉はエタールシアへなのか、それとも道祖自身へなのか…?

「ふふ、ありがとうございます。少し…元気が出ました!」
笑いながら顔を上げたエタールシアは、
「ハヤト様の事、お好きなのですね。」
「っなっ?!」
道祖はエタールシアの不意打ちに焦る。
「えっ、あっ、そ、そんなっ!?」
「ふふ。」
「ほー。」
「むぅ…。」
エタールシア、ツェ―カ、ロイヒ、それぞれ含みのある視線に耐えきれず、
「わーーーーっ////」
道祖は机に突っ伏す。
「では、お茶会はこれでお開きにいたしましょう。」


北の空、ホウキに乗って飛んでいくツェ―カと道祖。
エタールシアはそれを小さくなるまで、自室の窓から見送った。
「私も、私自身、ハヤト様の恩義に報いれる日を楽しみにしてるんです、ドウソさん…。」
エタールシアは小さい点になったドウソに向かって呟いた。


つづく

読了ありがとうございます。
『異世界運送~転生した異世界で俺専用の時空魔法で旅行気分で気ままに運送業!のつもりが、ぶっ壊れ性能のせいでまさかの人類最強?!~』という小説を新たに書き始めました。
よろしければ、そちらもどうぞ!
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