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アルフラーデ王国連合と異世界勇者

アルフラーデ王国連合とモータル王国の話

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「そ、それは…災難でしたね…ぷっくっ、す、すいません。」
チェーレが笑いを堪えながら、俺を慰める。
「まったく、冗談じゃないよ。」
俺は自分の息子を爆笑されたショックで、ソファに突っ伏する。
「で、実際のところ、どうなんです?」
カシネが興味津々、といった感じにチェーレに尋ねる。
「どう、とは?」
質問の意図がわからないチェーレが聞き返す。
「サイズですよ、サ・イ・ズ!
僕は今日初めてハヤト様のを見ましたけど、
それ以外のは知らないんですから。
そんなに大きいんですか?」
初めて男のソレを見たカシネは、サイズが気になるようだ。

「そうですね…。私もそんなに見た事があるわけではないですが…。」
チェーレの顔が少し曇る。
チェーレもウチの他の多くのメイド同様、奴隷商から買っている。
恐らく、奴隷市場で裸同然で管理されていた時、
男の奴隷のモノを見たのだろう。
そして、その時の事を思い出し…。

チェーレの変化に気づいた俺は、慌てて話題を変えようと、
「そんな事より!この机は素晴らしい出来だな!
細工の細かさも素晴らしい!」
俺は目の前の机を大げさに褒めちぎる。
いや、大げさではないか。本当に素晴らしい出来だ。
そして、部屋を煌々と照らす、机に置かれたランプを手に取る。
「この魔道具のランプも、装飾が美しい!」
「魔道具や家具、織物などはこの国、モートル王国の特産品ですから。」
チェーレが俺の話に乗る。

「優秀な職人が多いんだな。」
「そうですね、この国は古くはドワーフの国でした。
そこに人間が移り住み、今ではドワーフ、人間、そのハーフが主な国民で、
現モートル国王はそのハーフだったはずです。」
「なるほど、ドワーフとの…。」
俺はモートル国王を思い出す。
あの岩のようにゴツゴツした容貌は、なるほど、
俺のドワーフのイメージにぴったりだ。
恩人との再会、明日の謁見が楽しみだ。

「装飾もそうですけど、魔石も随分贅沢に使われてますよねw
ランプ以外にもシャンデリアや部屋の風呂を沸かす魔道具もw
魔道具だらけですよ、この部屋!」
部屋を見回してカシネが驚く。
照明や熱源には普通は、安価な獣や植物から採った油や薪を使う。
ただ、これだと燃えた時の匂いや煤、煙が問題だ。
その点、魔石を使った照明なら問題ない。
ただ、魔物を倒して入手する魔石は油などに比べ、
入手方法が危険な分、そこそこ高価な消耗品だ。
それをふんだんに使うこの部屋、王宮の貴賓室とは言え破格だろう。

「それは、このモータルの南、
わずかに霞んで見える[モステウス山]から、
50年ほど前に魔鉱石が偶然発見されたからですね。」
チェーレ先生の授業は続く。
「魔鉱石っていうと、
魔物が死ぬ時に残す魔石とほぼ同質の鉱石ですよねw」
カシネが得意そうに答える。
「はい、その通りです。
ご存知の通り、魔石は色々な魔道具の動力源で、
日常生活に大変重要な物です。
それを、魔物を倒す危険を冒さず入手できるんですから重宝されるわけです。
しかも、魔鉱石の鉱脈はモステウス山以外見つかっていません。
貴重ではありますが、大量に採掘されるため、
モートル王国内では豊富に流通しているのでしょう。」
チェーレの説明に、俺はなるほどと頷く。

「ちなみに、このモートル王国を含む4つの王国で構成されるアルフラーデ王国連合は、
今はこのモートル王国が盟主ですが、
魔鉱石が採掘されるまでは西のフーレ王国が盟主でした。」
「変わったのか?」
「はい。それまでは面積が一番大きいフーレ王国が強い発言権を持ち、
連合内でも盟主となっていましたが、魔鉱石が採掘され、
経済面で力を付けたモートル王国の発言権が増し、
結果、連合の盟主が変わったのです。」
「へー。チェーレさんは物知りですねぇw」
「マイヤー様からの受け売りですけどね。」
感心するカシネにチェーレがふふ、と笑う。

「とても勉強になったんですが、僕、眠くなっちゃいましたw」
カシネがふゎぁ~とアクビをすると、
「すいません、僕もう寝ますね。」
そう言い、眠そうに目をこすりながら、
「ハヤト様、おやすみなさいw」
「ああ、おやすみ。」
「チェーレさんも、おやすみなさいw」
「はい、おやすみなさい。」
俺とチェーレにおやすみの挨拶をし、従者用の隣の部屋へ入った。

しばし沈黙が流れ、
「さて、俺たちも寝ようか。
長旅で疲れただろう?」
俺は期待しつつ、白々しいセリフを吐く。
「そうですか?ハヤト様がよろしいのであれば…。」
「……。」
「長旅でしたから、溜まっておられるのかと?」
チェーレが口元に長くしなやかな指を当て、小首を傾げる。
確かに旅の道中、カシネに気を使ってエロい事はしなかった。
領地を出てから、自分でもしていないので、溜まってないと言えば嘘になる。

「それに…。」
チェーレが俺の前に立ち、
「今晩は久々に、可愛がっていただけるかと思っておりました。」
そう言って、メイド服の裾を持ち上げる。
ーむわっ♡ー
一気に部屋がチェーレの匂いで満たされる。
俺はその匂いに誘われ、チェーレの太ももに顔を埋めた。


つづく♡

あとがきーーー
次回はエッチ編です。
頑張りますので、お楽しみに!
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