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ダンジョン攻略と4人の新人騎士

ザ・ライトスタッフ その2

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「みんな!落ち着いていくゾっ!」
ミラに防御力UPの補助呪文を掛けながら4人を鼓舞する。

「っしゃあぁっ!!」
ードンっ!ー
「くっ!」
防御力が上がったミラがチャージでガルガントを吹き飛ば…
「ぐうぅっ!」
吹き飛ばせないっ!
ガルガントは腰を落とし、吹き飛ばされまいと堪える。

ガルガントが大楯を掴み、力比べになる。
「調子に乗るなよっ!怪力女っ!!」
「くそっ!」
腕力勝負はさすがにガルガントに分があり、
ービシッ!ー
地面にはヒビが入りミラの足がめり込む。
「こんな盾などっ!」
ーミシッー
ガルガントの3本の腕で掴まれた大楯が軋みを上げる。

「我が家の家宝に何をっ!!」
叫びながらアルフリーヌが大剣で切りつける。
「ちぃっ!」
ガルガントがミラから離れたため、
大剣は轟音を立て空を切り、
ーズゴッ!ー
地面に突き刺さる。
「なっ!抜けな…っ?!」
「コノ小娘がっ!」
地面に刺さった大剣が抜けず、
動きの止まったアルフリーヌに攻撃の的を変え、
3本の腕を伸ばし掴みかかる。

「えいっ!」
ーザンッ!ー
アルフリーヌに襲いかかるガルガントの背中を、
エイクが素早く2本の剣で切りつける。
「ガァッ?!」
ガルガントの背中はX字に裂け、血が噴き出す。
アルフリーヌの大剣ほどの威力はないため傷は浅いが、
確実にダメージは与えるっ!

「このっちょこまかと…っ!」
エイクへの後ろ回し蹴りを狙うが、
水球っウォーターボールっ!X2っ!!」
ードパンッ!バパンッ!ー
「くっ!がぼぁっ!!」
サスティが2発の水球を放つ。
1発はガルガントの膝に、もう1発は顔面に命中っ!
ガルガントがたまらず片膝をついた。

「畳み掛けますっ!」
素早さUPの補助呪文を受けたエイクが、
ダメージで立ち上がれないガルガントに斬りかかる。
「ふざけっ…!」
片膝立ちのまま、エイクの剣を掴もうとしたガルガントの腕を、
ードンッ!ドパンッ!ー
「…な…?」
サスティの2発の水球がピンポイントに弾き飛ばし、
ーズブゥッー
残った背中の腕でエイクの剣1本は掴むが、
掴めなかったもう1刀が、
鈍い音をたてガルガントの肩口に突き刺さる。

「があぁぁぁぁぁっ!!!」
ガルガントの叫びが辺りに響く。
ードガンッ!!!ー
「グブッ!」
その叫び声を遮るように、
ガルガントの側面をミラのチャージが襲う。
地面と平行に弾き飛ばされ、ガルガントは地面を転がり、
ードオォォォン!!ー
自身が出てきたボス部屋の扉へ激突し止まる。

上等な仕立てを感じさせた燕尾服は、
擦り切れ、土と血にまみれている。
髪は乱れ、疲労困憊のその相貌に、
優男を思わせた当初の容貌は見る影も無く…。

「はぁ…、はぁ…。」
それでも、震える膝で立ち上がるガルガント。
満身創痍のその姿に、
敵とは言え、むしろ憐憫の情さえ感じてしまう。

「はぁ…、はぁ…、アナタにならともかく、
まさか、足手まといだと思ってたお嬢さん方にここまでやられるとは…。」
「俺も想像以上でビックリしてるよ…。」
適材適所でパーティを最適化すれば、戦力はかなり上がるとは思っていたが、
これは想像以上だ。
俺の補助呪文の効果が高いというのは別にしても、
10日間のダンジョン攻略で地力が随分強化されたようだ。
日は浅いんだろうが、爵位を受けた魔族相手にここまでとは…。
あれ?
こいつさっき、変なコト言ってたような…?

「ガルガントっ!!」
俺の思考は、アルフリーヌの大声に遮られる。
何か大事なことを思い出しそうだったのに!
「ガルガント!貴方の奮闘、敵とは言え天晴れでしたっ!
魔族にしておくのが勿体無いくらいですわっ!」
アルフリーヌを見ると腰に両手を当て仁王立ちで、
「しかし、事ここに至っては、もう戦えないでしょうっ!
素直に降伏なさいっ!!命までは獲りませんわっ!!!」

……お嬢様がなんかゆーとる。
呆気にとられていると、
「はは…は…あは…あはははははははははっっっっっ!!!!」
ガルガントは天を仰ぎ、大笑いする。
あぁ、この世間知らずのお嬢様…。
まさかこんな所でやらかしてくれるとわっ!

知性のある魔物、魔族は得てしてプライドが高い。
爵位持ちともなれば人間でさえそうなのだから、
魔族だって言うまでもない。

「このっ!貴族の末席とは言えっ!爵位を賜ったこのワタクシがっ!」
その声は怒りに震え、怒気をはらむ。
「人族如きにっ!膝を折るわけがあるかぁぁぁっっっっ!!!!」

天に向け伸ばした3本の腕に、魔力が集まっていく。
「俺をっ!愚弄するなぁッッッッ!!!」
怒声を上げ、振り下ろした腕からは、
大量の石つぶてが放たれる。

だが、強気な言葉とは裏腹に、
ガルガントの攻撃に今まで力強さは無い。
石つぶての量は少なく、勢いも弱い。
魔物の魔力は魔界に近いほど強くなると言うのに、だ。
ヤツの体力が底を尽きかけているのだろう。

「ぅおりゃあぁぁぁっ!」
掛け声とともにミラが勢いよくチャージを仕掛ける。
威力の落ちた石つぶては全て大楯に弾かれ、
ミラにダメージを与える事は出来ない。
「くっ!馬鹿の一つ覚えのチャージなどっ!」
石つぶてを放つのを止め、
3本の腕で大楯を掴もうとした瞬間、
大楯がガルガントの視界から消える。
「え?」
突進していたミラの膝が落ちた、
否、膝の力を抜いて体を沈めたため、
ガルガントには突然消えたように見えたのだ。

代わりに、ガルガントの視界に入ったのは、
ミラの背中に隠れ、
ガルガントに近づいていたアルフリーヌだった。

アルフリーヌが突き出した大剣は、
ガルガントの3本の腕を掻い潜り、
ミラのチャージの勢いそのままに、
ーズンッー
ガルガントの胸へ突き立てられ、
そのまま彼の体を貫いた。

つづくっ!

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