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第二章 巨大スライム討伐と一人目の嫁
その17 エピローグ
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「あーっ忙しい忙しいぃ~っ!」
アレクシィは大きな荷物を抱え、ウィンパルト家の小さくはない屋敷の廊下を、
アッチへ行ったり、コッチへ行ったり。
「アレクシィ、張り切ってくれるのは嬉しいが、少し落ち着けって。
どうだ、茶でも淹れようか?」
レインズは自室の前を行ったり来たりしているアレクシィに茶を勧める。
「そうよアレクシィ。明日には魔王国からも人手を借りられるわ。
準備はそれからでも大丈夫よ?」
レーナも心配してアレクシィに声を掛ける。
「俺の実家から何人かー…。」
「ダメよ。アナタの実家は信用ならないもの。」
アルソンの提案をレーナはぴしゃりと拒む。
「ウィンパルト家が転封を言い渡された時、転封回避の嘆願書をお願いしたのに無視された事、
私は忘れてませんからねっ。」
「うっ。」
レーナに睨まれ、アルソンが小さくなる。
皆が口々に休憩をアレクシィに勧めるが、彼女はは立ち止まりもせず、
「ダメですっ!御式までもう5日もないんですからっ!
大まかな準備位は当家のメイド達だけで終えておかないとっ!
本当は、全部私一人でやりたいくらいなんですけどねっ!」
巨大スライム討伐の後、アクサナがレインズの屋敷に挨拶に来た日から三ヶ月が経っていた。
あの後、事故で眠っていたレインズが知らなかった事を、いくつか聞かされた。
両親は事故の後見るも無残な姿だった事、その傷をアクサナが魔法[完全治癒]で癒した事。
ただ、完全治癒で体の傷は治っても、意識までは魔法では戻せなかった事。
事故での市民への補償として多くの財産を没収され財政が逼迫したウィンパルト家が、
魔王国からの多額の援助で持ち堪えた事。その際多くの食料も融通してもらった事も初めて知らされた。
ちなみに、レインズの傷が完全治癒で治されなかった理由は、その逆境をどう克服するかが見たい、というコレもアクサナからの試練の一つだったようだ。
彼女はその事を申し訳なさそうにレインズに伝えたが、
その時にはレインズにはもう、そんな事はどうでも良くなっていた。
それほど、レインズもまたアクサナに好意を抱いていた。
男は自分を好いてくれる女性に弱いものだ。
幼子の取るに足らない約束から始まった恋だったが、共に過ごす時間が増え、
アクサナの飾らない性格と細やかな気配りに、レインズはどんどん彼女に惹かれていった。
レインズが正式に婚姻を申し込むのに、そう時間は掛からなかった。
そして今日、アクサナの輿入の日がやってきたー。
控室で出席者が揃うのを待つ二人。
「…綺麗だよ、アクサナ…。」
黒と白の花嫁衣装に身を包んだアクサナに、レインズが声を掛ける。
「ふふ、世辞でも嬉しいものよのぉ。」
「世辞だなんて、そんなっ!」
「ふふふ、冗談じゃ。ありがとう、主様。」
アクサナはイタズラっ子の様に笑うと、
レインズの手を取り、自分の胸に当てる。
「アクサナっ?!///」
「わかるかぇ、主様。
胸の鼓動…ドキドキが凄いじゃろ?」
「ああ…。」
アクサナの小さな胸からレインズの大きな手に、彼女の鼓動が伝わる。
「ワシの全身が、ワシの全てがな、主様と夫婦になれる事を喜んでおる証拠じゃ///」
アクサナの頬が薄桃色に染まる。
「今から、主様の信じる神と、ワシの信じる始祖様に二人の婚姻を報告し、共に生きる事を誓うわけじゃが…。」
「?どうした?魔族には他の儀式も必要なのか?」
「いや、ワシはな、今のこの気持ちを、主様に誓いたいのじゃ…。」
アクサナの予想外の提案に、レインズは顔が熱くなる。
レインズはアクサナの手を握り、彼女の切れ長で緋色の瞳を見つめる。
「…俺も、アクサナに誓うよ。
俺、レインズ・ウィンパルトは、常に貴女と共にある事を。」
「ワシも…アクサナ・シヴィル・ラウドニーナも、永久に主様とあらん事を///」
「アクサナ…。」
「主様…///」
レインズはアクサナをそっと抱き寄せ、身を屈める。
アクサナもレインズに合わせて背伸びする。
「「………///」」
二人の顔が近づき、目を閉じー。
ーばあぁぁんっ!!ー
「坊ちゃまっ!アクサナ様っ!会場の方へっ!」
「~~~~~~っ///」
突然控室の扉が開かれ、アレクシィが飛び込んでくる。
「ちょっ!御二人ともっ!何勝手に始めてるんですかっ!」
「やっ、いやコレはっ!」
「頑張って準備したのにぃーーーーっ!!!」
アレクシィの非難の悲鳴がウィンパルト家の屋敷に響いたー。
ーー第二章 巨大スライム討伐と一人目の嫁 了ーー
第三章 獣隷王国と二人目の嫁 につづく
アレクシィは大きな荷物を抱え、ウィンパルト家の小さくはない屋敷の廊下を、
アッチへ行ったり、コッチへ行ったり。
「アレクシィ、張り切ってくれるのは嬉しいが、少し落ち着けって。
どうだ、茶でも淹れようか?」
レインズは自室の前を行ったり来たりしているアレクシィに茶を勧める。
「そうよアレクシィ。明日には魔王国からも人手を借りられるわ。
準備はそれからでも大丈夫よ?」
レーナも心配してアレクシィに声を掛ける。
「俺の実家から何人かー…。」
「ダメよ。アナタの実家は信用ならないもの。」
アルソンの提案をレーナはぴしゃりと拒む。
「ウィンパルト家が転封を言い渡された時、転封回避の嘆願書をお願いしたのに無視された事、
私は忘れてませんからねっ。」
「うっ。」
レーナに睨まれ、アルソンが小さくなる。
皆が口々に休憩をアレクシィに勧めるが、彼女はは立ち止まりもせず、
「ダメですっ!御式までもう5日もないんですからっ!
大まかな準備位は当家のメイド達だけで終えておかないとっ!
本当は、全部私一人でやりたいくらいなんですけどねっ!」
巨大スライム討伐の後、アクサナがレインズの屋敷に挨拶に来た日から三ヶ月が経っていた。
あの後、事故で眠っていたレインズが知らなかった事を、いくつか聞かされた。
両親は事故の後見るも無残な姿だった事、その傷をアクサナが魔法[完全治癒]で癒した事。
ただ、完全治癒で体の傷は治っても、意識までは魔法では戻せなかった事。
事故での市民への補償として多くの財産を没収され財政が逼迫したウィンパルト家が、
魔王国からの多額の援助で持ち堪えた事。その際多くの食料も融通してもらった事も初めて知らされた。
ちなみに、レインズの傷が完全治癒で治されなかった理由は、その逆境をどう克服するかが見たい、というコレもアクサナからの試練の一つだったようだ。
彼女はその事を申し訳なさそうにレインズに伝えたが、
その時にはレインズにはもう、そんな事はどうでも良くなっていた。
それほど、レインズもまたアクサナに好意を抱いていた。
男は自分を好いてくれる女性に弱いものだ。
幼子の取るに足らない約束から始まった恋だったが、共に過ごす時間が増え、
アクサナの飾らない性格と細やかな気配りに、レインズはどんどん彼女に惹かれていった。
レインズが正式に婚姻を申し込むのに、そう時間は掛からなかった。
そして今日、アクサナの輿入の日がやってきたー。
控室で出席者が揃うのを待つ二人。
「…綺麗だよ、アクサナ…。」
黒と白の花嫁衣装に身を包んだアクサナに、レインズが声を掛ける。
「ふふ、世辞でも嬉しいものよのぉ。」
「世辞だなんて、そんなっ!」
「ふふふ、冗談じゃ。ありがとう、主様。」
アクサナはイタズラっ子の様に笑うと、
レインズの手を取り、自分の胸に当てる。
「アクサナっ?!///」
「わかるかぇ、主様。
胸の鼓動…ドキドキが凄いじゃろ?」
「ああ…。」
アクサナの小さな胸からレインズの大きな手に、彼女の鼓動が伝わる。
「ワシの全身が、ワシの全てがな、主様と夫婦になれる事を喜んでおる証拠じゃ///」
アクサナの頬が薄桃色に染まる。
「今から、主様の信じる神と、ワシの信じる始祖様に二人の婚姻を報告し、共に生きる事を誓うわけじゃが…。」
「?どうした?魔族には他の儀式も必要なのか?」
「いや、ワシはな、今のこの気持ちを、主様に誓いたいのじゃ…。」
アクサナの予想外の提案に、レインズは顔が熱くなる。
レインズはアクサナの手を握り、彼女の切れ長で緋色の瞳を見つめる。
「…俺も、アクサナに誓うよ。
俺、レインズ・ウィンパルトは、常に貴女と共にある事を。」
「ワシも…アクサナ・シヴィル・ラウドニーナも、永久に主様とあらん事を///」
「アクサナ…。」
「主様…///」
レインズはアクサナをそっと抱き寄せ、身を屈める。
アクサナもレインズに合わせて背伸びする。
「「………///」」
二人の顔が近づき、目を閉じー。
ーばあぁぁんっ!!ー
「坊ちゃまっ!アクサナ様っ!会場の方へっ!」
「~~~~~~っ///」
突然控室の扉が開かれ、アレクシィが飛び込んでくる。
「ちょっ!御二人ともっ!何勝手に始めてるんですかっ!」
「やっ、いやコレはっ!」
「頑張って準備したのにぃーーーーっ!!!」
アレクシィの非難の悲鳴がウィンパルト家の屋敷に響いたー。
ーー第二章 巨大スライム討伐と一人目の嫁 了ーー
第三章 獣隷王国と二人目の嫁 につづく
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