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高等部2年生
カリーナの回顧録 2/4
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──3回目のループ
ハッと目が覚める。
今回はループしている事に気がついたのに助けられなかった。
何が悪かったのかしら?
どこで間違えたのかしら!?
私が書いた本は、王子と結婚して終わっている。
もしかして、続編を書けば不幸なループは終わるのではないかしら??
早速、藁にもすがる思いで結婚後の続編を執筆する。
まだグモード王子とは結婚していない。
結婚するまでに続編を完成させておけば、きっと大丈夫。
なんでこんな単純な事に気がつかなかったのだろう。
執筆の合間にグモード王子とお会いし、楽しく会話をする。
彼と過ごす3回目の日々の中、ふいに1つの疑問が頭に浮かぶ。
誰に対しても平等に優しく、どんな時も笑顔を絶やさない穏やかな性格。
……理想のグモード王子に会えた事で満足していたけど、何かが物足りない。
もちろん、婚約者という事で定期的には会ってくれる。
私が話せば、笑顔で返してくれる。
ただ思い返すと、当たり障りのない挨拶。
当たり障りのない会話。
私と婚約はしているけれど、グモード王子は……もしかして私の事が好きでは……ない?
しばらくして、私はグモード王子と結婚した。
多少気になる事はあるけれど、今度こそは大丈夫。
幸せな日々を送れるよう、本の続編だって完成している。
もう不安になる事は何一つない。
……と、思っていたのに。
十数年後、王となったグモード王は暗殺された。
今までは分からなかったが、今回のループでは上院の策略により暗殺された事が判明した。
そしてまた、私は王の暗殺に関わったという根も葉もない噂を立てられてしまい、この国を追われる身となった。
──4回目のループ
ハッと目が覚める。
現実を認識すると同時に、どんどんと気持ちが沈んでいく。
続編を書いたのに……未来は何も変わらなかった。
すでに転生しているから?
転生してから、続編を書いても効力がないのかもしれない。
……このまま、未来は変わらない?
私には何が正解か分からなくなっていた。
4回目のループ後、初めてグモード王子にお会いする日。
前のように胸が高鳴らない。
私はもうグモード王子の事が好きではないのかしら?
……そもそも、私はグモード王子のどこを好きだったのかしら??
そんな事を考えていたら、グモード王子がふいに尋ねてきた。
「カリーナ? どうしました?」
心配そうな表情で、グモード王子が私の顔を覗き込む。
「……申し訳ございません。少し考え事をしておりました」
「考え事?」
グモード王子と言葉を交わしつつ、ある考えが頭をよぎる。
もし、私が思い切ってすべてを話したとしたら、彼はどのような反応をするのかしら?
「──実は私、違う国の生まれなのです。本を執筆し書き終えた後、気づいたらこの国に来ていたのです」
グモード王子が不思議そうな顔で私を見つめている。
当たり前ね。
信じるはずもない。
「……申し訳ございません。冗談ですわ」
冗談で終わらせようとした私に、グモード王子が今まで見た事のないような笑顔を浮かべた。
「いや、冗談でも面白い話だ。続きを話してくれないか?」
長い間──4回もループして、その度にグモード王子を見てきたからこそ分かる。
初めて、グモード王子が私に興味を持ってくれた。
私はせきを切ったように“この国ではない記憶”、前の世界の話をグモード王子に話した。
グモード王子は私の話を興味深く、楽しそうに聞いてくれた。
その日以降、自然とグモード王子とお会いする回数が増えていった。
今まで話した事のない、お互いの話もたくさんした。
これまでのループでは有り得ないほどに、親密な関係を築く事ができた。
私は初めて、“グモード王子”に恋をしたのかもしれない。
もちろん、今までも彼の優しさに惹かれたりはしたけれど、それはあくまで“理想の王子様”に対してだった。
私は好きという気持ちを錯覚していたのかもしれない。
何より、グモード王子に愛されていると実感できたのも初めてだった。
間もなくして、私とグモード王子は間違いなく恋愛結婚をした。
──今度こそ、未来を変える!!
前回のループで、犯人は上院の誰かだという事は分かっている。
上院によって殺されてしまうなら、そうなる前に上院を変えよう!
だからといって、小さな変化では不十分な可能性がある。
どうせなら、もっと大きな変化を目指そう!
そう考え、グモード王に“格差をなくす改革”を提案する。
格差をなくして国を変えれば、良い方向に運命は変わるはず!!
グモード王は私の提案に賛同してくれた。
「今まで頭の片隅で考えた事はあったが、行動に移すまでには至らなかった。カリーナの後押しに勇気をもらった」
この日からグモード王と共に、国の改革へと乗り出した。
2年という月日を掛け、懸念点を取り除き、綿密に計画を練った。
「この国の未来をより良きものにする為ならば、独裁者と呼ばれる覚悟はできている」
心の底から、素晴らしい王だと思った。
私も愛するグモード王にどこまでもついて行こうと心に決めた。
国の改革は順調に進んだ。
だが、グモード王が死ぬ可能性がなくなったわけではない。
毎日が幸せであると同時に、不安な日々だった。
「今度は大丈夫。今度は大丈夫」
つい口癖のように呟いてしまう。
今思うと、私がその言葉を口にする度にグモード王は心配そうな表情を浮かべていた。
それから数年後、グモード王は改革に不満を持った人間に殺害された。
33歳の時だった。
初めてグモード王と想いが通じ合えたのに。
私の発した“国の改革”がきっかけで、最愛の人が殺されてしまった。
一体どうすればいいのだろう。
また、ループが発生するのを待つ……?
いいえ!
仮にループ出来たしても、“同じグモード王”に会えるとは限らない!!
それなら──禁断の魔法でグモード王を生き返らせればいい!!!
思えばこの時から、私の心は壊れていたのかもしれない。
けれど、その前に……やらなければならない事があるわ。
グモード王を殺した相手を探し出し、極刑に追い込まなければ!!
復讐を誓った矢先、1人の男が私に声を掛けてきた。
「王妃様の心中、お察し致します。私もグモード王に忠誠を誓った身。王を殺害した人物を絶対に許す事ができません!」
それが“ジーノ”──ジメスの父親だった。
ハッと目が覚める。
今回はループしている事に気がついたのに助けられなかった。
何が悪かったのかしら?
どこで間違えたのかしら!?
私が書いた本は、王子と結婚して終わっている。
もしかして、続編を書けば不幸なループは終わるのではないかしら??
早速、藁にもすがる思いで結婚後の続編を執筆する。
まだグモード王子とは結婚していない。
結婚するまでに続編を完成させておけば、きっと大丈夫。
なんでこんな単純な事に気がつかなかったのだろう。
執筆の合間にグモード王子とお会いし、楽しく会話をする。
彼と過ごす3回目の日々の中、ふいに1つの疑問が頭に浮かぶ。
誰に対しても平等に優しく、どんな時も笑顔を絶やさない穏やかな性格。
……理想のグモード王子に会えた事で満足していたけど、何かが物足りない。
もちろん、婚約者という事で定期的には会ってくれる。
私が話せば、笑顔で返してくれる。
ただ思い返すと、当たり障りのない挨拶。
当たり障りのない会話。
私と婚約はしているけれど、グモード王子は……もしかして私の事が好きでは……ない?
しばらくして、私はグモード王子と結婚した。
多少気になる事はあるけれど、今度こそは大丈夫。
幸せな日々を送れるよう、本の続編だって完成している。
もう不安になる事は何一つない。
……と、思っていたのに。
十数年後、王となったグモード王は暗殺された。
今までは分からなかったが、今回のループでは上院の策略により暗殺された事が判明した。
そしてまた、私は王の暗殺に関わったという根も葉もない噂を立てられてしまい、この国を追われる身となった。
──4回目のループ
ハッと目が覚める。
現実を認識すると同時に、どんどんと気持ちが沈んでいく。
続編を書いたのに……未来は何も変わらなかった。
すでに転生しているから?
転生してから、続編を書いても効力がないのかもしれない。
……このまま、未来は変わらない?
私には何が正解か分からなくなっていた。
4回目のループ後、初めてグモード王子にお会いする日。
前のように胸が高鳴らない。
私はもうグモード王子の事が好きではないのかしら?
……そもそも、私はグモード王子のどこを好きだったのかしら??
そんな事を考えていたら、グモード王子がふいに尋ねてきた。
「カリーナ? どうしました?」
心配そうな表情で、グモード王子が私の顔を覗き込む。
「……申し訳ございません。少し考え事をしておりました」
「考え事?」
グモード王子と言葉を交わしつつ、ある考えが頭をよぎる。
もし、私が思い切ってすべてを話したとしたら、彼はどのような反応をするのかしら?
「──実は私、違う国の生まれなのです。本を執筆し書き終えた後、気づいたらこの国に来ていたのです」
グモード王子が不思議そうな顔で私を見つめている。
当たり前ね。
信じるはずもない。
「……申し訳ございません。冗談ですわ」
冗談で終わらせようとした私に、グモード王子が今まで見た事のないような笑顔を浮かべた。
「いや、冗談でも面白い話だ。続きを話してくれないか?」
長い間──4回もループして、その度にグモード王子を見てきたからこそ分かる。
初めて、グモード王子が私に興味を持ってくれた。
私はせきを切ったように“この国ではない記憶”、前の世界の話をグモード王子に話した。
グモード王子は私の話を興味深く、楽しそうに聞いてくれた。
その日以降、自然とグモード王子とお会いする回数が増えていった。
今まで話した事のない、お互いの話もたくさんした。
これまでのループでは有り得ないほどに、親密な関係を築く事ができた。
私は初めて、“グモード王子”に恋をしたのかもしれない。
もちろん、今までも彼の優しさに惹かれたりはしたけれど、それはあくまで“理想の王子様”に対してだった。
私は好きという気持ちを錯覚していたのかもしれない。
何より、グモード王子に愛されていると実感できたのも初めてだった。
間もなくして、私とグモード王子は間違いなく恋愛結婚をした。
──今度こそ、未来を変える!!
前回のループで、犯人は上院の誰かだという事は分かっている。
上院によって殺されてしまうなら、そうなる前に上院を変えよう!
だからといって、小さな変化では不十分な可能性がある。
どうせなら、もっと大きな変化を目指そう!
そう考え、グモード王に“格差をなくす改革”を提案する。
格差をなくして国を変えれば、良い方向に運命は変わるはず!!
グモード王は私の提案に賛同してくれた。
「今まで頭の片隅で考えた事はあったが、行動に移すまでには至らなかった。カリーナの後押しに勇気をもらった」
この日からグモード王と共に、国の改革へと乗り出した。
2年という月日を掛け、懸念点を取り除き、綿密に計画を練った。
「この国の未来をより良きものにする為ならば、独裁者と呼ばれる覚悟はできている」
心の底から、素晴らしい王だと思った。
私も愛するグモード王にどこまでもついて行こうと心に決めた。
国の改革は順調に進んだ。
だが、グモード王が死ぬ可能性がなくなったわけではない。
毎日が幸せであると同時に、不安な日々だった。
「今度は大丈夫。今度は大丈夫」
つい口癖のように呟いてしまう。
今思うと、私がその言葉を口にする度にグモード王は心配そうな表情を浮かべていた。
それから数年後、グモード王は改革に不満を持った人間に殺害された。
33歳の時だった。
初めてグモード王と想いが通じ合えたのに。
私の発した“国の改革”がきっかけで、最愛の人が殺されてしまった。
一体どうすればいいのだろう。
また、ループが発生するのを待つ……?
いいえ!
仮にループ出来たしても、“同じグモード王”に会えるとは限らない!!
それなら──禁断の魔法でグモード王を生き返らせればいい!!!
思えばこの時から、私の心は壊れていたのかもしれない。
けれど、その前に……やらなければならない事があるわ。
グモード王を殺した相手を探し出し、極刑に追い込まなければ!!
復讐を誓った矢先、1人の男が私に声を掛けてきた。
「王妃様の心中、お察し致します。私もグモード王に忠誠を誓った身。王を殺害した人物を絶対に許す事ができません!」
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